たまにはホラー映画でも。



M・ナイト・シャマラン監督の名前に惹かれて「デビル」を観た。



でもオープニング観てて気づいた。



これシャマランは監督じゃなくて製作だ。



まぁ別にいいんだけど。





M・ナイト・シャマラン!



ここ数年知名度がグン!と上がってきている。



それはやはり20世紀を締めくくった名作「シックスセンス」によるものが大きい。



僕はいまだに「シックスセンス」以上のラストの大どんでん返しを観たことがない。



あれは実に素晴らしい。



そんなシャマラン監督だが、一発デカイのを当ててしまったが故にその後の作品への期待値が上がってしまっている。



観客は「シックスセンス」と同等か、もしくはそれ以上のモノを求めてしまうがそんなもん無理。



「アンブレイカブル」「サイン」「レディ・イン・ザ・ウォーター」などなど名前を聞けば「あぁ~。あったねそんなの」という作品ばかりだが、どれも正面からは楽しめない。もちろん裏口から入ると非常に面白い発見があるのだが。





さて。



「デビル」です。



「デビル」というと90年代にハリソン・フォード、ブラッド・ピッド共演で話題になったものを思い浮かべる。



”まだ多少は動けた”頃のハリソンと若くて血気盛んなブラピの共に思い出したくない作品ではなかろうか。



最初、今回の「デビル」(シャマラン製作の)を見つけたとき、「え!?まさかリメイク?」と戦慄が走ったが、どうやら違うようで安心した。



ただ、そもそもなコトだがタイトルの「デビル」(原題「Devil」)っていかにもセンスがない。



コメディー映画や恋愛映画で「デビル」なら少しは「お!なになに?」ってなるけれど、サスペンスホラーで「デビル」じゃ~まんまじゃん!



Tシャツ買ったら、ロゴが「Tシャツ」って入ってるようなもん。う~ん。ちょっと違うか。






とはいえ。



映画の内容はスゴかった。



悪魔がエレベーターに閉じ込めた人間をテンポ良くバッサバッサと葬っていくというもの。



そんだけ。



さすがにそれだけじゃアレなので、僕がこの映画の見所を独断と偏見で。



まず数少ない登場人物の中で1人グッっと来る人がいます。いますよね?



そう。ジェイソン!です。ビルの整備責任者の!!



初登場シーンでジェイソンは35階のブチ割れた窓ガラスを直そうとしています。しかし急に停まってしまったエレベーターを直さんかい!と言われて屋上の機械室へ。



屋上では強風に煽られ彼のトレードマークであった、今は亡き誇り高い整備工の親父の形見の帽子(あくまで想像)が飛ばされてしまいます。



飛ばされた帽子を追いかけて何のフェンスもない危険な屋上を走るジェイソン。



みんな思いますよね。



「あぁ、ジェイソンこれ落ちちゃうパターンね」と。



案の定、帽子はビルの屋上から落ちて、そのままジェイソンも・・・と思いきやジェイソンセーフ!ギリセーフ!!



落ちる一歩手前の所で、手で引くタイプのサイドブレーキをグーン引っ張ったんかい!?そんな上げたらもうサイドブレーキ戻らんぞオイ!っていうくらいの見事なストップぶり。



やるねぇ~ジェイソン。




続いてジェイソンがやってきたのは地下室。屋上の機械室には問題がなかったから今度は地下の機械を点検しにきたってワケだ。



この高層ビルは何基ものエレベーターがある。そのエレベーターの下を恐る恐るくぐり抜けていくジェイソン。



すると問題の停まってしまったエレベーターの下に謎の生命体を発見。タヌキ?キツネ?フェレット?



みんな思いますよね。



「あぁ、ジェイソンこれ落ちてきたエレベーターに潰されちゃうパターンね」と。



案の定、謎の生命体を追い払ったジェイソンの上にエレベーターがグワーッンと落ちてきて、そのままジェイソンを・・・と思いきやジェイソンセーフ。ギリセーフ。



タヌキだかなんだか分からん動物の命も結果的に救ってやったし、やるねぇ~ジェイソン!




そして次にジェイソンがやってきたのはワイヤー。ワイヤー?



そう。地下にも異常を発見することができなかったジェイソンは屋上からエレベーターを吊っているワイヤーをつたって直接閉じ込められた人を助けに行こうってワケだ。



今まで警備とやりとりしていた無線も流石にいまは出れない。必死にワイヤーを降りていくジェイソンだが無線からは何度もジェイソンを呼ぶ声が。



みんな思いますよね。



「あぁ、ジェイソンこれワイヤー切れて落ちちゃうパターンね」と。



案の定、ジェイソンに謎の飛行生命体がぶつかり、体勢を崩すジェイソン。体を吊っていたカラビナが外れてしまいワイヤーが切れて、そのままジェイソンも・・・と思いきや、カットが替わりエレベーターの中が映し出されて、あれ?と思っていたらドシーン!って何かが降ってきて、血がジワーッって。ジェイソンアウトー!完全にアウトー!



マジかっ!?



2度も救っておきながら死なせちゃう!?



マジかっ!?



よくよく考えてもらいたい。



普通の人なら即業者を呼ぶであろう割れた窓ガラスを直そうとしていた。彼の持ち場である機械室に通じる屋上は高層ビルなのにフェンスも何もない。地下室では勇敢にも小動物の命を救った。そして2度も死にかけたのに、そんなのレスキュー隊クラスだろ!といいたくなるようなワイヤーを降りて救出作戦を実行した。



これらのことを彼は、ジェイソンは・・・たった1人でやっている!!



時と場所さえ違えばダイ・ハードのジョン・マクレーン刑事に匹敵する働きだよこれは。



この映画を観たことない方は以上のことを踏まえてから観てもらいたい。ジェイソンという哀戦士がいるということを胸に刻んでから。





そして。もうひとつ。



この映画は閉じ込められた人間の追い詰められた感じは良く出ていますが、僕はここでもアメリカン達の対応のスゴさを痛感させられた。



エレベーターが原因不明で停まってしまうワケだが、停まってから1分も経たずに全員が現状を理解し、管理会社や整備責任者の名前を調べつくし悪態をつき始める。日本じゃエレベーター停まってもそんなすぐ騒がずにお互い牽制してるくらいの時間で、アメリカン達は暴動を起こしかねない勢いに憤慨しとる。



アメリカってホントすごいね。



ん?まてよ。悪態つかれてる整備責任者って・・・ジェイソンじゃないか!



悪魔の未知なる力で停まったしまったエレベーター。ジェイソンは日ごろの点検だってちゃんとやってたハズだ!そして命をかけてみんなを助けようとしたジェイソン・マクレーン刑事を悪く言うなんて!



悪魔さんやっちゃってください。



以上がダイ・ハー・・・じゃなくて「デビル」の見所です。お試しあれ。