日曜洋画劇場で放送されていた『紀元前1万年』という映画。



お恥ずかしながら、こんな映画があるなんて知りませんでした。



ということで観てみました。









さて。



内容ですが、たぶん地球によく似た星の出来事なのでしょうか。ツッコミどころが満載です。



ネタバレですが。



どうやら主人公達はアルプス山中の部族らしい。一方、敵国になるのはエジプトか。



ヒロインが連れさられてからの道中はアルプスをアジア側に抜け中東を抜けてエジプトというルートっぽい。



そして帆船でナイル川を下った先の首都では奴隷とマンモスを使って複数のピラミッドを建造中ときたものだ。







文明とはすなわちテクノロジーとも言えます。



この映画を見る限り主人公は旧石器時代の文明ですが、敵国は馬術、弓術、帆船、水道橋、石工、陶器、冶金、縫製、奴隷、農耕、鋳鉄、鉄器(どう見ても青銅器ではなかった)といったかなり進んだテクノロジーを有しています。これは古代ローマ帝国並の文明です。紀元前1万年前なのに。




そして技術の差というのは文化や軍事の差に反映されます。



それこそ鉄器を有した古代ローマ帝国のプラエトリアンが石器や青銅器を振り回していた周辺部族を瞬く間に制圧し根こそぎに文化を伝播させていったように。



それを考えれば旧石器時代VS鉄器時代というのは、わかりやすく言うならば刀を振り回しているサムライが戦車に突っ込んでいく位、戦力に違いがあるということです。



まさに戦国自衛隊!







こういう設定以外にも、雪山で活動するようなマンモスが砂漠にいたり、かなりの長距離を移動しているのに道に迷わなかったり、敵ボスの神と名乗る男が白人だったりと、なんかもうごちゃまぜ。



ハリウッドが描くアメリカ以外の国のストーリー。そんな映画を観るといつも思う。



ハリウッドってスゲーなって。



なにがすごいって、現地の文化とか歴史とか全然どうでもよくて、自分たちの持つその国のイメージだけを膨らませてエンタテイメントに仕上げる。そしてそれを違和感感じることなく享受することができる。



そしてその他文化への愛着がまったく感じられないのが、共通言語として英語が使われているということ。



明治維新頃を描いたラストサムライ、清末期を描いたラストエンペラー共に英語です。マジか!?



ジュード・ロウがソ連兵を演じたスターリングラード。エド・ハリス演じる敵国はドイツ第三帝国です。しかし二人とも英語喋ってる。マジか!?



そして極めつけはこの紀元前1万年。



アルファベットが発明されていない時代なのに英語喋ってる。しかも北欧~アフリカの全員が共通言語として。スゲーな!



本当にアメリカという国は、政治でも映画でも他国の文化に土足で乗り込んできて蹂躙するのがお好きな国ですね。







と、まぁ筆舌に尽くし難い作品ではあるものの、やはりそこはエンタテイメントして割り切るべき。



なんだかんだ言ってもハリウッドが生み出す娯楽は時として素晴らしい。この作品とて良かった点はいくつかある。



①ヒロインをさらった一団のリーダー格とその部下らしき隻眼のオッサンの確執。



なにを内輪もめしとんねん!っていうおもしろさと、結局隻眼のオッサンは何がしたかったんだという謎も残りますが、この隻眼のオッサンが一番好きなキャラ。






②大掛かりな人員配置



2008年公開の映画とは思えないほどCGがちゃちかった。CGというか合成だろこれ!っていうシーンが多々あった。その中で終盤の群集シーンなどはスペクタクルさ溢れるシーンだったと思う。






③マナクと言われていたマンモスの瞳が可愛かった。



終盤にヒロインが生き返った事を示唆していたマナクのこと。





こんな感じですかね。



さすがにもう一度観ようと思える作品ではないですが。