マンガや映画でよく不老不死を追い求めるという展開があります。

前回はドラゴンボールワールドにおける不老不死について書きました。



今回はたいていの作品で得ることができない不老不死を得ることに成功した場合について考えてみました。






実際僕の見識では『やったー!不老不死になったぜ!ヒャッホイ~♪』というところで、めでたしめでたしと話が終わる作品を知りません。



というのも、ストーリー上で不老不死を得てしまうとチェックメイト感が出てしまうのは否めないと思います。



そんな中、限りなく不老不死に近い存在を描いた作品があります。それが、トム・クルーズ、ブラッド・ピット共演で映画化され話題にもなった『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』です。



バンパイアシリーズなら他にもありますし、フランケンシュタインでもいいだろって話ですが『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』の場合、元々人間であった人物がバンパイア化することを描いた作品としては秀逸です。



僕はこの作品が好きなので原作とさらに続編も読みました。



ぶっちゃけてしまうと、オーソドックスなヴァンパイアものなので不老不死とはいえ太陽光を浴びると消滅しちまいます。不死じゃないよねってことですが、そこはまぁご愛嬌。あくまで”限りなく不老不死”ということで・・・。



んで、なにが秀逸なのかというと不老不死の特に『不老』の扱いです。



生きている人間であれば誰しも現時点と1秒後の自分は同じではいられません。目には見えない変化が体の至る所で起きているからです。



細胞単位での活動により髪の毛や爪は伸びますし血も体中を絶えず循環します。それは刻一刻と確実に老いにそして死に向かっていることでもあります。



つまり変化こそが進化であり成長であり老いなのではないかと。



『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』の原作『夜明けのヴァンパイア』。そしてその続編にあたる『ヴァンパイア・レスタト』内でその変化についての葛藤が描かれています。



5歳の若さでヴァンアパイアとして不老不死になった女の子が登場します。彼女は『不老=老いない=変化しない=成長しない』という状態に陥ります。



体は5歳のままでも心や記憶は様々な経験により富んでいきます。ですがいつまで経っても5歳のままなのです。彼女はそのアンバランスさに苦しみます。



またもう一人。主人公(既にヴァンパイア)の母親は病気で明日をも知れぬ状態でした。主人公はそんな母親をヴァンアパイ化し永遠の命を与えます。



しかし彼女もまた苦しみます。なぜなら不老であるが故に変化しない体。それは永遠に病弱な見た目と向き合わなければならなくなったから。






『不老』。それはとてつもなく恐ろしいことなのです。



人間どんなに辛いこともイヤなことも時間の経過と共にある程度は薄れていきます。それは周りの環境が変わり自分も変わってゆけるから。



しかし不老となり成長が止まってしまえば周りがどれほど変わろうと自分を変えることはできません。



それこそ髪を切ってしまえば二度と伸びません。少し痩せようとしても脂肪は消費されません。食事をしても消化されません。



自分の体を構成し動かしているものが全て停止してしまったら・・・。それが『不老』ということではないでしょうか。



もちろん誰も不老を経験したことないですから真相は分かりません。ですが僕は御免こうむりたいことこの上ないです。ハイ。






ちなみに。映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』の主題歌『悪魔を憐れむ歌』(Sympathy for the Devil)はこの映画の影響もあってストーンズよりもガンズverのほうが好きな人いると思います。奇遇ですね。僕もその一人です。