THEE MICHELLE GUN ELEPHANT | 極私的洋楽生活

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豚袋でございます。



前回の邦楽生活書庫もそうでしたが、邦楽書庫をこのような形で更新するのは何とも言えない気持ちがいたします。亡くなられてから思い出したように書くなら、最初から書いておけばいいのに上手くいきません。それでも書くのはやはり自分なりの供養の形としての、思いと気持ちの記録をしておきたいエゴからでしょう。先日7月22日にお亡くなりになったアベフトシさんのご冥福をお祈り申し上げつつ、記事にする事をお許し頂きたいと思います。



私は正直なところ、ミッシェル・ガン・エレファント(以下、TMGE)の熱心なファンではありません。コアなファンの方には怒られそうですが、丁度人気を博してきた1998年頃は名前しか知らず(ダムドのアルバム「マシンガンエチケット」絡みであることは明白でしたので名前は知っておりました)音は聞く気もないままに過ごしておりました。初めて耳にしたのはCATVで2000年を過ぎた頃だったと思います。



最初に聞いた時には正直あまり自分には興味を引く要素がなかったように思いました。激しくソリッドな音は感じましたが、ルースターズのフォロワー的に何故かその時は感じてしまい、声質はハスキーでいいのですがボーカルの表現力としては一本調子に思い、あまり強いオリジナル性を感じなかったことがその理由です。言われるほどパンクやガレージの要素を感じ取るまで至りませんでした。よくできたロックンロールバンドくらいのイメージでしょうか。また、当時の若い世代からの熱狂的な人気があったので、もう中年に手が届いていた自分にとってのリアルな音楽ではない、という一線を斜に構えて引いていたような気がします。



自分が一発で引き込まれたのは、ベタで恥ずかしいのですが、2003年の「ミュージック・ステーション」出演です。この時はご多分にもれずロシアの馬鹿娘「t.A.T.u.」の出演をたまたま見ようと思っていた訳ですが、そこに出演していたTMGEの最初のこの曲を聴いて「ムチャクチャカッコイイ!」と度肝抜かれました。(ホントはMステ出演時の演奏がYOUTUBEにあったのですがTV朝日の申し立てで削除されてしまったので、PVを見て下さい)





特にリフを中心に激しくカッテイングで刻まれるギター、そのギターに絡む粘着質なリズム隊。そして私が一本調子だと思っていたボーカルの劇的な表現力の成長に驚いてしまいました。私が過去抱いていたイメージのバンドとは全く別の本物のバンドがそこにありました。とにかくカッコよいバンドサウンドでした。思わず身を乗り出して見入っていました。



興奮の余韻も覚めやらぬその後、幸運なことに「ロシアの馬鹿娘」が出演をドタキャンしたために、急遽もう一曲生で演奏することになり、この曲が演奏されもう夢中になっていた自分がおりました。(こちらはMステの映像がまだありました。)





セットもない、演出のない、むき出しの、よりリアルでライブな演奏が素晴らしかった。カッコ良過ぎました。ギターのアベのアツイサウンドとクールな立ち振るまい。タンバリンをここまでカッコよくたたけるのかというチバのパフォーム。これを見て彼らのファンにならない人間はいないでしょう。「ロシアの馬鹿娘」のおかげで日本人的な愛国連帯心が刺激され、更なる相乗効果も多分にあったと思います。しかし彼らだったからこそ成しえた、間違いなく世界に恥じないクールでアツイ演奏がそこにありました。いままで彼らを聞かなかった時間を後悔しました。



ほどなくこの2曲が収録されているアルバム「Sabrina No Heaven」と、それと対になっている「Sabrina Heaven」の2枚を聴きました。結果としてそれでこのバンドの凄さを体験した訳です。





ライヴバンドとしての評価は昔から高かったようで、その力溢れる演奏はこの時のフジロックでもいかんなく発揮されているようです。「Sabrina Heaven」の一曲目で幕を開けましたが、この曲ひとつとっても凡百のエセガレージ、エセロッカーたちとは明らかに違う音楽性の深み的なもの、一流のバンド達がまとう固有のオーラがあると思います。



TMGEの初期の曲群はあまりよく知りません。この2枚以外に聴いたのはベスト盤程度のそんな人間が知ったかぶりをして論ずることなど失礼だと思いますが、お許しいただけるならこの後期TMGEは私にとっては別のバンドであると思えるくらい、その音楽性の懐が深いのと、若さではない円熟の狂熱というか、余裕を感じます。そこが初期のストレートでパワフルな熱狂をリアル体験したファンの方々にとっては歓迎されない、一抹の寂しさを感じるところでもあるのでしょうが、まちがいなくこの2枚が生み出した世界だからこそ、幾百のバンドを耳にしてきた私のような門外漢が驚きをもって迎え入れることができたのだと思います。



彼らはこの2枚でやりつくしてしまったかのように、直後にあっという間に解散してしまいました。興味をもったばかりだというのに、早すぎる解散はとても残念な気がしましたが、いつかは再結成するような予感を持っていました。結果として2度と叶うことのない願いとなってしまいましたが。しばらく存在すら忘れていたところに、ギャザーさんのブログを見て突然の訃報をはじめて知り、絶句してしまったのが昨日のことのように思い出されます。



アベフトシさんは寡黙で職人的なギタリストだったと思います。長身で痩身でその手足の長さとギターのマッチングは日本人離れした存在感を持ち、プレイの極限的なストイックなカッコ良さとテクニックは孤高の領域に達していたと思います。清志郎さんにはじまり、マイケル・ジャクソン、そしてアベさん。。。前出の2名と違ってあまり世間でその死が取り上げられないのが非常に残念ですが、例えにわかファンと言われても私にとってはその失った存在の大きさはとても大きいものでした。









天国でのご活躍を切にお祈り申し上げます。アベさん、やすらかに。。。。















追記:



名バイプレーヤー、俳優の山田辰夫さんも亡くなったそうですね。

「狂い咲きサンダーロード」からのファンでした。

これからそうした好きな人たちが次々と亡くなっていくのでしょうか。

生命とは限りあるものだとわかっていても、死に直面するのはいつも感傷を伴います。

ご冥福をお祈り申し上げます。



それにしても。。。何て年なのだろう、今年は。。。。