UADのChandler Limited【Zener Limiter】を導入しました。

マスタリング用、バス用、トラッキング用、など色々な用途で使えるとても個性的なコンプレッサーで、要所要所でぼちぼち使っています。

 

 

UAD Chandler Limited【Zener Limiter】

 

 

 

こちらは実機

 

実機はとてもではありませんが価格的に手は出ないのですが、Abbey Road系のプラグインは昔から好きなので気に入っています。

 

以前はAbbey Roadスタジオから複数出ていたプラグインも大棚のAbbey Roadスタジオが経営難でプラグイン版は一部softubeに移行し、使えなくなってしまったものもあるのでUADで復活してくれて嬉しい限りです(作っているのはSoftubeですが)。

 

 

RS124

 

昔RS124というコンプレッサーのプラグインがあったのですが、RS124とキャラ的に似ています。

 

 

UADの販売カテゴリーではマスタリングに分類されていて、ステレオコンプレッサーですのでマスタリングで使っているスタジオもあり、原則プラグインでも同じ用途だと思うのですが、私はバスコンプレッサーとして使うことが多いです。

 

〇3つのコンプ・リミッターモード

 

 

 

Fairchild660

 

3種類の設定がありますが、comp1はRS124をエミュレートし、LimitはFairchild660のレスポンスカーブをエミュレートしているらしく、comp1はアタック遅め、Limitは速めです。

その中間くらいの設定がComp2でコンプでアタック感を作りたい時に使えます。


 

VUメーターでGRを見れらるのも良い感じです。

 

 

〇アタックとリリース

 

 

アタックとリリースは具体的な数字ではなく感覚的な設定になります。これはコンプモードとリミッターモードで実際の数字が変わるからだと思いますが、Comp1、Comp2、Limitの3つのモードで幅の広いアタックとリリースの設定が可能なので使い勝手は良いです。

Limitモードは遅いアタックで使えばハイレシオのアタックの遅いコンプと同じですので、実際は3つのコンプレッサーがあると言えるかもしれません。

 

〇サイドチェイン

 

これがなければ買わなかったというパラメーターがHPFサイドチェインです。昨今のコンプではHPF以外にも多彩なサイドチェインが付いているものがありますが、とりあえずバス用やマスタリング用として、あるいはトラッキング用としてもHPFがあれば十分です。

 

むしろサイドチェインがないとどうしてもポンピングっぽくなってしまうことがあるので、重宝するというよりはバスでは必須とも言えます。ベースやキックでもよく使います。

 

ポンピングしないようにローを減らせばサイドチェインなしでも行けますが、それだと寂しいですし、それでなくてもキャラ作りとしても有益なのでサイドチェインはあった方が便利です。

 

 

このサイドチェインとアタック・リリース+3つのモードで結構広い音作りが可能であり、見た目よりもずっと応用の効くコンプレッサーと言えます。

 

 

〇INPUT GAIN

High で 300Ω 、Low で 1200Ω と説明書に書いてありますが、HIGHにするとより強烈なZener Limiterのキャラクターを得ることが出来ます。キャラを薄くしたいときはLowにするのですが、元のソースが小さい時にINPUTだけで対応出来なかったり、INPUTを下げてHIGHモードにしたりしたりするものの、私の耳ではインピーダンスによる音色の違いはいまいち感じ取れません(実際はエミュレートされているのかもしれませんが…)。

 

キャラが強くなるという言葉を単純に入力音が増えればコンプを通る音が増える=個性が強く反映されるという意味で使っています。将来的にUnisonレコーディングに対応すればその辺も実装されるのかもしれません。

 

 

〇MSモード

MSモードがあるので、ミックスやマスタリングでMS処理をしたいときに簡単にできます。マルチモノとして動作しているのでL/R、またはM/Sで個別の設定が出来ます。

 

 

〇THDモード

THDはtotal harmonic distortion、つまり歪みを加えるだけのモードでコンプレッションが行われない設定です。

 

よくコンプにあるレシオ1:1の設定と同じで単純にそのコンプのカラーを付け加えるためだけのモードですが、サイドチェイン+INPUT(スレッショルド)の動きに対応して倍音が加わります。

 

最大で5%と設定次第で結構強い歪みを得ることが出来ますが、これがZener Limiterの個性的な音のポイントとも言える部分で、アナログ的な心地よい歪みです。

 

 

Distressorの1:1レシオ

 

 

Kramer PIE Compの1:1レシオ

 

 

1176のコンプレッションOFFモード(1:1と同じ)

 

 

1:1のレシオでコンプレッサーのトランスやアンプだけを使う設定はほかのコンプにもたくさんありますが、プラグインにおいていまいちそれらの使い方に魅力を感じなかったものの、Zener Limiterではその魅力を感じさせてくれます。

 

 

テープや真空管やコンソールやプリアンプのシミュレーターと似ていますが、それらとはまたちょっと違った個性的な音であり、効果の強弱をコントロール出来るので、単にアナログ的な歪みを加えるだけの目的で薄らと使うこともあります。

 

 

コンプレッションとしては個性の強いものですが、設定としてはサイドチェインに加えて幅広い色々な設定が出来るためトラッキング、バス、マスタリングなんでも使えます。

 

 

アナログ感が強いため透明な感じが欲しいとは選択肢から外れますが、デジタル全盛のこの時代にソフト音源中心で曲を作る中では質の良いアナログ感を出してくれる優秀なプラグインです。

 

 



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