最近は作曲のことばかり書いていますので、たまにはミックスや機材のことを書いてみたいと思います。

 

 

 

もうかなり前ですが、Focusrite RED3導入しました。

コンプレッサーにはよく知られているように基本的な動作原理に複数の種類がありますが、RED3はVCAタイプでバスやマスタリングコンプレッサーとして人気のあるタイプです。

 

 

WAVESのSignatureシリーズでも有名ですが、Chris Lord-Algeがバスコンプとして使っていて、ヴィンテージというほど昔のものではありませんが、既にディスコンになってしまったやや古い機種です。

 

 

 

最近は本家Focusriteからプラグイン版も出ました。

 

プラグイン版のRED2&3

 

 

RED3にはステレオリンク機能やオートリリース機能があり、VCAタイプでもあるのでやはりバスコンプやマスタリング用途で使っていますが、肝心の音はというとRED1(マイクプリ)と似た印象の高級感のあるキラキラでシルクみたいな感じです。

 

 

リアンプやハード音源からの録音でも使っていますが、アコースティック系の楽器に対しても綺麗に、よい意味で奥行きを感じさせる音になりますし、何より単純に音がカッコ良いです。

 

 

あまりFocusriteのビジネススタイルに詳しくないのですが、初期型は英国で作られており、途中から中国に工場を移してから音が変わったことで当時、色々と方々からクレーム?があったらしく、両方を比較したことがないのでなんとも言えませんが、どうせならと思い初期型を購入しました。

 

さすがに音は素晴らしく、プラグインではなかなか実現できないレベルのコンプレッションを体感することができます。

 

 

Andrew Simper、The GlueとEQ Eightについて語るというページでAndrew SimperさんというAbleton Live 9のThe Glue Compressorの設計者さんのインタビューが読めますが、コンプレッサーについて大体次のようなことを言っています。

 

 

・以前はなぜ多くのプロデューサーが(アウトボードの)コンプレッサーに入れ込むのか理解できなかった。

・自分が使う安価なプラグインコンプレッサーのクオリティーには満足できなかった。

・でもそれは自分の使い方が悪いためで、もっとコンプの使い方の勉強しなきゃならないと思っていた。

・しかしコンプレッサーに関しては使い方ではなく、物としてのクオリティーが重要だったと実際に触ってみてわかった。

 

そして、「優れたアナログコンプレッサーであれば、どのような設定にしても、サウンド自体のすばらしさに違いはありません。スタイルが異なる、というだけのことです。」とも述べています。

 

この意見に関して私も全く同感で、そこそこ値段のするアウトボートのコンプレッサーであればそのコンプの掛かり方は機種ごとにキャラクターは違いますが、コンプレッションそのもののクオリティーに関してはどれも納得のいくものです(合う合わないは別として)。

 

 

クオリティーそのものが高いので後は自分の求めている方向性によって何を使うか?とどうやって使うか?を選んでいくことになります。

 

つまりコンプの種類やアタックタイムなどの設定よりも、コンプとしての純粋な性能の方(潰し方やその質感)が重要であるということです。

 

勿論ある程度のアタックやリリースやレシオなどの設定への理解は必要ですし、プラグインであればなおさら重要であることは言うまでもありません。一通りの使い方や効果は理解しておくべきです。

 

 

これは別にコンプレッサーに限らず、物質的なものであれば何でも同じで高級品であれば趣味嗜好の方向性によって合う合わないがあるかもしれませんが、純粋なクオリティーとしての高さには間違いがないということです。

 

 

高級車であれば、スポーツカーやセダン等色々なタイプがありますが、どのような車であっても値段が高いものはやはり作られ方も高いだけのものがあるわけで、純粋な車としての「クオリティー」と用途・目的における「方向性・コンセプト」というのは少し意味や見るべき部分が異なります。

 

 

私がコンプレッサーに求めるものは方向性やコンセプトというよりは純粋なクオリティー(要するに商業の世界で聞こえてくるような音という意味)の方が大切なポイントになり、もちろん真空管やVCAや光学式の動作の違いや音の違いは理解しているつもりですが、常に方向性よりもクオリティーを重視する傾向にあります(当たり前ですが…)。

 

 

光学式の代表的コンプとも言えるLA-2A(プラグイン)

 

例えば光学式のヌルんとした遅い感じが好ましいトラックがあったとしても、安価な光学式のプラグインコンプレッサーよりも、1176のようなアウトボードのFET式の方が方向性としては違っても、クオリティーとしては後者の方が高いわけで、方向性よりもクオリティーを選ぶことがよくあります(両方とも重視できたら最高ですが…)。

 

 

もちろん方向性を常に完全に無視しているとか、人にも方向性を完全に無視した方がいいと勧めているわけではなく、結局はケースバイケースであり判断は毎回違うわけですが、冒頭に述べた「何より単純に音がカッコ良い」というのが私にとっては何よりも重要であり、ずっと求めてきたものであり、今でも求めているものです。

 

 

低予算であれこれ工夫して良いものを作ることは出来ると思いますし、それ自体は素晴らしいことだと思いますが、同じ工夫を凝らして自分の理想を突き詰めるならば予算が潤沢に使えるほうが、少なくともお金が足りなくて妥協しなければならないという問題は解決できるわけで、設計側も良いものが作れるに決まっています。


 

REDシリーズはRED1,RED2と使っていて今回のRED3もRupert Neve さんのREDシリーズでの音の方向性は自分には合っているし、汎用性もあると感じていたので買ってよかったと思っていますのでこれからも末永く愛用していきたいと思います。現時点ではこれより良いコンプレッサーを持っていないのでマスタリングでも大活躍しています。

 

たまにマスタリングのご依頼も頂きますが、これでもっとお役に立てそうです。

 

 

コンプレッサーに関しては私が知りうる限り、単純に値段の高いものの方が音が良いというのが個人的な印象で、近年はプラグインにも素晴らしいコンプレッサーが続々登場しており、特にUAD2やオーバーサンプリング機能を備えたPlugin Allianceなどのコンプレッサーは私自身も使っていますし、素晴らしいとは思うのですが、まだまだアウトボートのレベルには達していないように思えます。

 

 

達していないと言うよりは、そもそも方向性が似ているようで違うようにも思います。もちろん両方ともダイナミクスをコントロールするという意味では同じことをしているわけですが、0と1でのデジタルシュミレートではひょっとしたら私が現役で活動出来るうちは「体感のレベル」でもアナログと同じ事はできないのかもしれない?とも思います。

 

 

 

同じことがイコライザーを始めアウトボード全般に述べることができます。 ミックス工程ではプラグイン優勢なのはこんな時代ですから誰でも同じだと思いますが、録音やマスタリングではアウトボードがまだまだ優勢です。

 

 



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