DRACU-RIOT!のBGMを研究していて、
久々にジャズの書籍を紹介したくなった。


ジャズの勉強を独学でしている方向けのお勧め本だが、
 ザ・ジャズ・セオリー(マークレヴィン)がとても勉強になると思う。


比較的たくさんのジャズ理論書を読んでいるほうだとは思うが、
これよりも良い本を見たことがない。

 ザ・ジャズ・セオリー(マークレヴィン著)

http://www.amazon.co.jp/%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%B3-%E3%82%B6%E3%83%BB%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%82%BB%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%83%BC-%E6%84%9B%E5%B7%9D-%E7%AF%A4%E4%BA%BA/dp/4754930789/ref=pd_sim_fb_1 


巷にジャズ関連の書籍はたくさん出ているけれど、
近年ATNからバークリーの教授をしている方などの本が
比較的簡単に手に入るようになったので、
大きめな本屋さんなら置いてあることも多い。
(マーク・レヴィン氏 はバークリーの教授ではありません)


マーク・レヴィン氏は超理論家と言っても良いほどの方で
ほかにも何冊も著作があるが、
ジャズの基本理論を学びたいというならザ・ジャズ・セオリーはとてもお勧め。



基本から優しく教えてくれるわけではないので、
ある程度の予備知識が必要になるが、
とてもためになるし、
ジャズを作曲するための一通りの予備知識が載っている。



従来のジャズ理論をまとめた書籍というよりは、
むしろマーク・レヴィン流のジャズ理論となっている気がしていて
個人的には大好きだ。



理論は学ぶのは初期段階であって、
それが終われば実践の中で
自分なりの作曲技法を作り上げていくものだ。
それを個性と呼んでも良い。


本人は自分なりの作曲技法を理論と思っていなくても、
後の人間が勝手に時代の先を行く人間の技法を
理論と呼ぶようになり、何百何千年の月日の内に
いわゆる音楽理論が出来上がっていく。


つまり音楽理論とは一流の音楽家の感性の集大成であって、
理論と感性はその最高のレベルにおいて区別することは出来ない。


程度の差はあれ、少なくとも作曲を職業にするレベルの方には
そういう部分がある。
それまでの理論という土台の上に新しい建物が作られ、
極めて頑強なものはそれがまた後の世代の土台となっていく。


そういう意味ではマーク・レヴィン氏は
ジャズの歴史を何歩も進めた方だと言って良いと思う。


本書の内容は比較的演奏家視点というか、
セッションをすることを前提にあらゆることが書かれているが、
作曲に役立つこともたくさん載っている。



わりと厚い本だがクラシックとの最大の違いを痛感させられるのが、
何百ページにも渡ってジャズ音楽の理論を語っているにも関わらず
ただの一度もクラシックにおける【T】【S】【D】などの
機能和声(和音の機能)について触れていない点で、
この部分においてクラシック和声が作曲の土台にある人間にとって
決定的に考え方が違うのだと認識させられた。
この点が個人的に一番興味深かった。


クラシック和声はあくまで「機能和声」であり、
ジャズにおけるテンションやアボイドなどの動きは
基本的にすべて「構成音の転位」として考える。
(青本の構成音の転位の箇所に詳しく載っています)


代わりにジャズは「コードスケール」という概念があって、
そのコード(和音)において、
使用可能なスケール云々という風に考えるので、
決定的に作曲における根幹が異なるのだが、
「ジャズという考えた方に立脚した作曲」を理解するのにはとても良い書籍だった。


おそらくマーク・レヴィン氏の中にあるのは
ドミナントモーション、ⅡーⅤ、コードスケール、モード、
などのジャズの根幹を成す理論であって、
【機能和声】という概念はふっとんでいるのだろう。


ハーモニックマイナー という概念もふっとんでいるように感じるし、
なによりも「アボイドノートとは一体何か?」ということに関して
非常に深く考えさせられた。
(ハーモニックマイナーに関しては最後の【未解決の問題】のコンテンツで
 僅かに触れられている)


ドビュッシーを始めとする近代フランスもそういう意味では
似たような作曲技法になるが、
とにかくこの本は非常に面白かった。



値段もやや高めだが、値段以上に楽しませてもらえる。



この本1冊でジャズ理論のすべてがわかるというと言い過ぎかもしれないが、
土台としては十分すぎるし、
今生きている世代の人がやっているジャズの音が書いてあるので、
何かジャズを勉強するのにお勧めの本はないかと探している方にとてもお勧めです。




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