7|エンペドクレス(Empedocles)


誕生:紀元前490頃

没年:紀元前430頃

享年:約60歳

出身地:シチリア島・アクラガス(現アグリジェント)



① 生い立ち / 人柄


名家の出身で政治にも深く関わり、さらに医師・詩人・宗教家としても活動した多才な人物だった。

カリスマ的で、人々から“魔術師”のように見られたこともある。

演説が非常に上手く、哲学者の中でも特に異彩を放つ存在だった。



② 学問・宗派など


前ソクラテス期の自然哲学者。

ピタゴラス派の影響を受け、オルペウス教や宗教的思想とも関わりが深い。

科学・神秘主義・宗教が混ざった独特の学問体系を持つ。



③ 立場 / 師弟関係


師については確実な記録は少ないが、アナクサゴラスやパルメニデスなど当時の自然哲学者と並ぶ存在。

後にプラトンやアリストテレスにも影響を与えた。



④ 思想 / 主張・批判 / 名言


【思想】


世界は「四元素(火・水・空気・土)」が混ざり合うことで生まれるとした。

さらに「愛」と「憎しみ」という2つの力が宇宙の運動を生むと考えた。


・愛=結合させる力

・憎しみ=分離させる力


この2つの力が循環しながら世界の変化を生むという独自の宇宙観を持っている。



【主張・批判】


・「無から何も生まれず、無へ消えることもない」

・「全ては混ざり合い、また分かれるだけである」


パルメニデスの“変化否定”を批判し、ヘラクレイトスの“変化の肯定”と、パルメニデスの“存在の一性”を統合しようとした中間タイプ。



【名言】


・「無からは何も生まれないし、無へ消えることもない」

(後の“保存の法則”につながる言葉)


・「愛は結び、憎しみは引き離す」



⑤ 功績・後の歴史や人物への影響


・四元素説を体系化し、後の医学・錬金術・自然科学の基礎に影響した。

・「愛と憎しみの循環」がプラトン思想のモデルの1つになった。

・“無からは何も生まれない”という考えは、後の科学者(ラヴォアジエの質量保存の法則)に影響したと言われる。

・植物と動物の進化を連続的に考えるなど、生物学の前身のような発想も持っていた。



⑥ 逸話 / 豆知識


・「自分は神になった」と語り、民衆に奇跡を見せたという逸話が多い。

・疫病を止めたという伝説もある。

・最期について“エトナ火山に身を投じて神になろうとした”という有名な話が残っているが、神話的な脚色の可能性が高い。



⑦ 最期


確実な史実は不明。

最も有名なのは「火山へ身を投じた」という伝説だが、これは後の人々が作った象徴的な物語と考えられている。



⑧ まとめ


エンペドクレスは、

物質(四元素)と力(愛と憎しみ)を組み合わせて宇宙の変化を説明しようとした最初期の思想家である。


自然哲学・神秘思想・詩が混じった“多彩な哲学”を持ち、パルメニデスとヘラクレイトスの思想を架橋した存在でもあった。