夢とうつつの境目で、
日常と変わらない作業をして。

私の居場所は、どっちなんだろう?
って、思う。

掃除機掛けて、

洗濯機から出した洗濯物を、叩いて干す。

見上げる空の色は、同じなのに。

額を流れる汗は、少ししょっぱくて、
涙と同じ匂いがした。

作ったご飯を
美味しいねって、笑いながら食べた夜。

向かいの彼の顔は、
満面の笑みを浮かべてる。

楽しい?
聞くまでもないよ。

狭い六畳の部屋は、愛で溢れる。

新婚さんみたいやね。

良い歳した男と女が、照れながら、

お互いのお皿に、焼けたお肉を盛る。


食事の後、一緒に片付けをしながら、

明日の夜は、

もうここにはいないんだ・・・って思うと、

不意に涙がこぼれた。


そんな私の背中を、

そっと抱きながら、彼が言った。


時間や回数は少なくても、

一緒にいる時の時間は、どの時間よりも濃いよ。


短い夜を惜しむ様に、私たちは抱き合った。


クーラーの効いたはずの部屋が、

2人の熱気で熱くなって行く。


これは、夢?

夢なら、覚めないで・・・と、願う。


これは、うつつ?

現実なら、ずっと続いてて・・・と、祈る。


あなたとの時間は、いつも早回しの時計の様。


本当はね。

夢でもうつつでも、どっちでも良いの。


あなたがいてくれれば、それだけで良いの。