子どもの頃、無防備に甘える事を
何処かに忘れて来た。
体の弱かった母が、女手ひとつで
私たちを育ててる姿をずっと見て来たから。
我慢する事を覚えて、
そうする事で、母が喜ぶ事を確信してからは、
いつも少し引いた目で、空気を読む子になっていた。
欲しい物を欲しいと、素直に言えない。
したい事をしたいと、発言出来ない。
私が我慢すれば・・・と、
いつも心の隅で計算しながら生きて来た。
だから?
愛する人にも、素直に逢いたい・・・と、
言えない私がいる。
無理。と言われる事が恐い。
心の傷を癒す手立てが分からない。
それなら最初から、強請らないでいる方が良い。
そんな臆病な恋は、やっぱり無理があるのかな?
自分の気持ちが見えなくなりそう。
彼は?
今何を思っているんだろう。
逢えないでいる事が日常で、
逢う事が、非日常の私たち。
私はまた、逢いたいと思う心を
何処かに忘れて来たのかな。
でもね。
彼からも、逢いたいと言う言葉、
随分聞いていないのも、現実なんだよ。