彼のお父さんに対する、憎しみも、感情も、

私には本当の所は、分からない。


彼が今までどんな風に育って来たのか、

それも、私が知る術は、彼の言葉によってでしかない。


だから、むやみに同情なんかはしない。


みんな沢山の辛い事、乗り越えて来ている筈。

ヨウだけが不幸だった訳じゃない。


事実、私だってそう。


父親のいない事で虐められ、貧しかった事で差別され、

母の乳がんの痕を、

「お前のお母ちゃん、気持ち悪い。」と、銭湯で言われた。

(気の強かった私は、その男の子を殴り飛ばしたけど。)


数々の辛い経験をして来てる。


ヨウと、生い立ちは違っても、

父親に愛されて育って来てはいない。


だから、ヨウに言った事が有る。


「自分だけが不幸なんて、思ってたら、成長しない。

もっと、辛い思いしてる人は沢山いる。

それでも、皆、懸命に生きてるんだよ。」と。


ただ黙って、頭を撫でて、一緒に泣いているだけでは

ヨウは進めないと、思ったから。


本当は、一緒に泣いてあげたかったんだよ。


でも私は、好きな人に、きつい言葉で発破掛ける辛さを選んだ。


昨日だって、本当は、

黙って話を聞いててあげるだけの方が、楽だった。


でも、ヨウももう40歳を越えている、立派な大人。


自分で分かって欲しかった。


分かれる人だと、信じたかったから、

言わなくても良い言葉を、投げつけてしまった。


今日、今もう16時・・・。

まだメールも電話もない。


後何時間待てば良いのか、分からないけど、

電波状態の悪さのせいにして、

彼が時間を掛けて考えたいなら、それも良しだと思う。


今私がしてあげられる事が、待つ事なら、

私はいつまでだって、待っていてあげるよ。