心打つ自然現象 ブログネタ:心打つ自然現象 参加中
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大阪って言う都会に住んでいると、
自然現象って言うものに遭遇する事は、比較的少ない気がする。

子供の頃は、まだまだ今より沢山の自然が有ったとは言え、
家の周りには家また家だったし、
田んぼに咲くレンゲなどは、
田舎に帰る電車の中でしか、見た事が無かった。

雨が降っても、傘も必要の無いアーケードに
覆われた商店街が、生家だった。

でも、ただ一つだけ、とても記憶に残っている自然現象が有る。

私がまだ、未就学児童だった頃、
台風がよく、大阪市内を直撃していた時代の事。

(今は殆ど、大阪直撃と言う事は無くなりました。)

堤防も今ほどしっかりしていなくて、
安治川が溢れる事が多かった。

その日も、朝から雨風が強く、
瓦が飛ぶ程の突風が吹いていた。

そんな荒れた天候の中、
私たちのいる町がそろそろ台風の目に入ると、
ニュースで聞いた兄は、
公園にその目を見に行こうと、言い出した。

私は、台風の目の意味など分からなかったが、
子供心の好奇心から、兄に手を引かれ付いて行った。

公園まではアーケードなので、傘はいらない。

でもアーケードが切れるなり、雨と風に襲われ、足がすくんだ。

ここで暫く待っていようと言う、兄の手をしっかり握り、
私達は空を見上げていた。

そしてそれは、本当にやって来た。

突然の青空が、ぽっかりと公園を包んだ。

私達はいっ時、その青空の下の公園で遊んだ。

公園で1番高い遊具に昇り、空を見上げた。

信じられない位の、静かな青空だった。

これが台風の目やで。と、
兄が得意気に教えてくれたのを、
今でも昨日の事の様に覚えている。

どんな嵐にも、ひと時の静けさが有る事を、
自然が教えてくれた瞬間だった。