12/20(日)の事。


好子ちゃんが帰ってから、2階に上がった旦那さんを、

私の部屋に呼んだ。


旦那さんの部屋は、義母と隣り合あわせなので、

話を聞かれない様にする為だった。


旦那さんは、私が何を言いたいのか既に察していたが、

私の言葉を待っていた。


「今日の好子ちゃんは、何?」

私は意地悪く、旦那さんからの返答を引き出す為、

敢えて、問い掛けた。


旦那さんは、

「おぅ!俺もめっちゃ腹立ったわ。

何であんな言われ方せなあかんか、分からん。

ケーキかて、箱に入れた方が潰れにくいやろと、思たんやし、

電話で何か迎えに来てくれる・・・・みたいな事言うてたんやで。

しゃあから、箱でも良いやろって思って入れたのに。」


かなりのお怒りモードだった。


「そうやったん?私は彼女の電話聞いてないから、よう分からんけど。

何より、何で、私が買って来たケーキを、

『お父さんにでも持って行ってあげて。』

なんて言い方が出来るん?

でもって何よ。自分が買った訳でもないのに!

せやし、何であそこで、彼女に気を遣った言い方せなあかんの?

お金出して、休みの時間割いて用意した事、分かって無いん違う?

悪いけど、私がいる時は、もう2度とこの家に呼ばんといて。」


私も怒りモード炸裂で続けた。


当然旦那さんも、

「そうやな。そうしようか。」

と、言うものと思っていた。


が、彼の口から出た言葉は違っていた。


「それって、正月も呼べへんって事か?

変に思えんかな?」


私は、もう何が何だか分からない位、腹が立った。


「何?それってどう言う意味?

何で、こんな時まで、先に好子ちゃんなんよ!!!!

いい加減にしてよ。

そんなに彼女の方が大事やったら、

ここで一緒に住んだら?

オーちゃんは、やっぱりあの時、山上さんが言った意味、

全然分かってないねんね。

自分にとって1番何が大事か、よー考えって言いはった意味!!」


やっぱりこの人は駄目だ。心から思った瞬間だった。


「そんな風に言わんでもええやんか。

別にやーちゃんより、好子ちゃんの方が大事な訳無いやんか。

ただ、おかんも、正月は楽しみにしてるやろって、思っただけやんか。」


私の余りの勢いに、少し尻込みをしながらも、

それでも、彼女を呼ぼうとするのか・・・と、

思うと、私は本当に呆れてしまった。


「あのね。好子ちゃんが来なかったら、

うちの家のお正月は楽しくないと言いたいの?」


「何で、そんな事言うん。誰もそんなん言うてないのに。」


「言うてるのと同じやんか。

本当に分かってないの?

何で、私が嫌な思いしてまで、彼女を呼ばなあかんの?

私、家族の為に1年間ずっと働いて来て、

やっとゆっくり出来るお正月なんやで?

そのお正月まで、また、好子ちゃんに気を遣って

過ごさなあかんのやったら、本当にもう出て行かせて。」


旦那さんは、黙っていた。


考えているのか、それとも、考えるまでも無いのか・・・・。

私は、本当に旦那さんの事が分からなかった。


先日、山上さんに、

『これからは本当に自分の大切な物をちゃんと見極める様に』

と、助言された時、分かりましたと言ったのは、なんだったのだろう。


頂点にまで達した私の怒りモードの矛先は、

行き場を失ったまま、足元で燻ぶっていた。


「分かった。ちょっと考えてみるから。」

ようやく発した言葉も、結局は答えになっていなかった。