9月19日 土曜日。


夜遅く、彼からのメール。

ただいまメールの後、1時を回ってた。

いつもなら、絶対にヨウは眠っている時間。


旦那さんとホテル前の屋台で飲んでいる時、徳永くんの

『抱きしめてあげる』の着メロが・・・・。

私の大好きな歌で、ヨウからのメールの着音にしている事は、

旦那さんも既知の事。


それでも、こんな時間に?と、不機嫌そうな顔をされ、

一瞬にして険悪なムードに。

旅先での喧嘩は嫌なので、携帯をドライブモードにしつつ、

メールを見た。


お祖母ちゃんが亡くなった。との内容に、

雰囲気云々などの気持ちは飛び、すぐさま返信。


大丈夫?明日はお通夜になるの?

仕事、休めるの?


また直ぐにヨウからの返信。


弥生ドキドキお休みラブラブ


うん。休めるようにした。

旅行中にごめんね。


じゃあ、また明日。

弥生が大阪にいないと寂しい・・・。


あんまり飲み過ぎない様にあせる

旦那さんと仲良くし過ぎない様にパンチ!


           独り寂しい洋より。


旅行に行く前に、旦那さんと義母と、義母の姪(旦那さんの従妹 真弓さん)の4人で行く事を告げた時、少し間があったのも分かってた。


HOTELはツインで、旦那さんと同じ部屋なのは言えなかったけど、

薄々気付いていたのだろう。


一緒に寝たりしないでね・・・と、寂しげなメールが届いていた。


大丈夫!!絶対にそんな事はしないから、信じて・・・・と、返信をした。


旦那さんを拒み、彼氏であるヨウに操を立てる私は、

誠実なのか、不誠実なのか。


翌朝、20日。

初めてお通夜に行くヨウは、不安がり、次々と質問をして来る。


お花代はどうやって持って行けば良い?

お数珠はこれで良い?(写メールで)

お焼香する時は、そのお数珠はどうするの?

お焼香は何回?

手はいつ合わせるの?


阿修羅展の行列を進みつつ、メールを続けた。

少し離れた場所から聞こえてくる旦那さんたちの会話に

耳を傾けながらも、心は遠くヨウの元へ。

電話を架けて教えてあげたかったが、旦那さんは兎も角、

真弓さんの手前それも出来ない。


電話無理なん?とのメールにも、

今親戚の人も一緒で、行列に並んでるから、

ここを離れる事も出来ないの。

としか、返信出来ない。


普段、不倫をしている意識は無いけど、こう言った時に思い知らされる。

心が繋がっていなくても、紙1枚の繋がりの重さが胸に圧し掛かる。


夫婦なんて言葉を使いたくは無いけど、今一緒に旅行中の私たちは、

紛れもなく夫婦なのだと気付かされる。


九州でいつも行く焼肉屋さんのマスターにも、

『いつも家族仲良くて良いですね。』と、言われる。


こんな私たちの姿を、ヨウには絶対見せたくない。

本当は旅行に行く事も言わずにいたかった位なのに・・・・。


でも、もし何も言わないままで、後で分かった時の方が罪が重い気がして、旦那さんと一緒の行動の時は、出来るだけ話す様にしている。


ヨウがその事を聞きたいと思っているのか、聞きたくないと思っているのかを、尋ねた事は無いけど、ヨウは必ず、私がお休みの時には、明日は何してる?と聞く。


ヨウとの事で数々の嘘を付かなくてはいけない私は、

それ以上の嘘は付きたくはないし、

ヨウには決して嘘を付きたくないから、ありのままを告げる。


話さない事と、嘘を付く事は違うと思っているから、

言わなくて良い事は、出来るだけ口にしない。


だから、旅行の事は話しても、部屋割りの事までは言わないでいた。

メールもいつもと同じ様に返したし、電話にも出られる時は出た。


それでも、家族で旅行に出ている事は、

ヨウにとっては居た堪れない辛さだったのかな?と、不安になる。


そんな中の訃報に、私も、何もしてあげられない辛さを感じた。


旅行自体はとても楽しい物だったけれど、やっぱり、これがヨウとの旅行なら・・・・と、思ってしまう。


長いお休みが続くと、楽しさと背中合わせの寂しさが存在する事を知ってから、もう9年。

これからも、その事を肝に銘じてヨウとの愛を育んで行く。