私は手紙を書く事を、ヨウには告げないつもりだった。
ヨウとの事を書くのではあっても、自分が決めた事を、自分の気持を書くのだから、責任は自分が負うしかないと思ったからだった。
ただ、全ての事を正直に書くべきなのかは、悩んだ。
言ってしまう事で、私は楽になれる。
そこまでしたのなら、別れるしかない。。。。と、言われても、
嫌、言われる方が本意なのかも知れなかった。
でもそうなると、2人の生活は誰が面倒を見れば良いのだろう?
友人の弁護士に聞いてみると、弥生たちの場合は、結果的には夫婦とも同じ事をしているのだし、旦那さんは以前の己の不貞も認めているのなら、弥生が慰謝料を支払う必要は無い。
子供もいないし、別れるのは簡単だと、言われた。
と言って、私は何が何でも、別れる事を願っている訳でもなかった。
今までの積み重ねで、旦那さんへの妻としての愛情は無くなっていた。
指先が触れるだけで嫌悪感が走るのも、紛れも無い事実だった。
それでも、家族としての情は間違いなくあった。
肩を揉んであげると言われて、触られる事に嫌悪感は無かった。
男と女ではなく、夫と妻としてではなく、
家族としての触れ合いなら、平気なのだ。
長い間、苦楽を共にして来た歴史はやはり重い。
旦那さんが、身体の具合が悪いと言えば、心配したし、
怪我をしたと言えば、病院にだって付いて行った。
好きか嫌いかと問われれば、好きだと答えるだろう。
でもそれは、男と女の愛情ではなく、家族に対する情(なさけ)なのだ。
私は手紙を書く事を、○○○のママに相談しようと思った。
お店の女の子からのメールの件も伝えたかった。
昨日今日お店に来た子より、私とママとの付き合いの方が深い。
まして彼女のした事は、水商売の女の人として、
絶対にしてはいけない事だった。
ママに会い、メールの件を告げるより先に、
「弥生ちゃん。この前の今日子ちゃんって言う子覚えてる?」と、尋ねられた。
私は勿論!!と言い、メールの旨を告げた。
「やっぱり。何か、この前の日曜日にオーちゃんと同伴で入って来た時に、
変な感じやったのよ。
それで、お店のお客さんと仲良くなるのは構わないけど、
小田さんはあかんで。って言ったら、
次の日からお店に来なくなったんよ。」
「別に、オーちゃんと言い仲になるのは良いんやけど、
私にお店に来るななんて言うのは酷いやん?
だから、その事はママにちゃんと言いたかってん。」
でも、私にお店に来るなと言った彼女は、既にお店を辞めていたのだ。
それからママに、ヨウとの事を手紙にして、
旦那さんに渡そうと思っていると話した。
ママは、話すにしても、男と女の関係にまでなってる事は
告げない方が良いと言った。
言わなくても分かるだろうけど、言葉にされると結構きついと思うよ・・・・と。
私は、何だかズルイ気もしたが、まずはヨウに対する気持ちだけを
手紙に書こうと思った。
そして、それ以上の事を尋ねられたら、その時には流れに任せ様と、決めた。