ヨウが果てた後、2人は抱き合ったまま眠った。
(正確には、眠ったのではなく、眼を閉じ余韻に浸ったのだ。)
10分程して、ヨウが声を発した。
「弥生。イかなかったね。ごめんね。俺、1年以上ぶりで・・・・。」
「ばか。そんな事聞きたくないよ。
1年以上前の相手は私じゃないんだから。」
直ぐにヨウは、ごめん。そんなつもりじゃなかったんだけど、と謝った。
私は本気で怒っている訳ではなかったが、拗ねた振りをした。
ヨウは困った顔のまま黙り込んだので、今度は私が声を出した。
「私ね。今までイった事ってないんだ。
男の人も旦那さんしか知らないの。」
「そうかぁ~でも、弥生って学生の頃、モテたでしょ?
付き合った人も旦那さんだけ?」
「ううん。それは違う。結構付き合った人はいたけど、
学生の頃は勉強が忙しかったし、
付き合った相手も同じ年の人ばかりだったから。
みんな同じ様に勉強に忙しかったんだ。
それにね、私たちの時代って、皆あんまり経験豊富!!
って人は少なかったんだよ。」
ヨウは、ふ~ん^^と、私の髪を撫でながら呟いた。
「俺ね。弥生に言うの恥ずかしいjけど、高校中退してるんだ。
弥生は大学中退って言ったよね?
何か、女子大生の頃の弥生、見たかったなぁ~」
「そうだね、その頃に出逢いたかったね。」
と、無理だとは分かっていても、本当にそう思った。
「でも考えたら、私が大学1年の時って、ヨウはまだ小学生やん。
出逢ってても、恋には落ちて無かったよ。
付き合ったりしたら、私、警察に捕まってるし^^」
「ほんまや。今こうして裸で抱き合ってると、
年の差なんて、感じへんのにね。
じゃあ、出逢えたのって、今で良かったんだね。」
今で良かった・・・。本当に、今だから良かったんだと私は思った。
旦那さんに対して、少しでも女としての思いがある頃なら、
きっと、出逢っても付き合う事は無かっただろう。
まして、裸で抱き合う様な関係には、絶対なっていない筈だ。
暫く、ベッドでまどろんだ後、ソファに移り缶ビールを飲んだ。
思っていた以上に喉が渇いていた。
音を立ててビールを飲む私に、
「喉、渇いてたんやね。気が付かんで、ごめんね。
でも、ココはもう渇いて無いよ。」
と、私の足を開かせた。
私自身、初めてと言う位、濡れているのが分かっていた。
今さっき、ヨウを飲み込んだ筈の場所は、私の物では無い様に思えた。
「弥生。も1回しても良い?」
小さな声とは反対の大きなヨウが、私に向かって進む。
ソファの位置がズレる程、激しくヨウが動く。
私は、初めてと言う位の大きな声を出していた。
(それでも、イくと言う感覚では無かったです。)
「ごめん。弥生の事、体が目的じゃ無いって言いながら、
何か、無理させて。俺、覚えたてのサルみたいやね。」
と、ヨウが言った。
「私ね。ホントに嬉しい。だって、
ヨウ、私に感じてくれたから、2回も・・・・。」
「2回も、何?ちゃんと言うてみ?
弥生は、俺の前ではただの女になれば良いねん。
そしたら、きっとイけるよ。
恥ずかしい事なんかじゃ無いんやで。
好きやから、ひとつになりたいって思うんやもん。」
ヨウの言う事は正しいのだろうが、私はまだまだ羞恥心の塊だった。
「時間掛けて、ヨウに染まる様、頑張る。
けど、今日はまだ駄目。ココが限度だよ。」
「そうやね。ゆっくりで良いって言ったんやもんね。
こうして俺に弥生を見せてくれただけで、今日は良しとするか!」
ヨウはまた満面の笑みを浮かべ、おどけた。
3時間近くHOTELにいた私たちは、予約していたイタリアンの事など
すっかり忘れていた。
「そう言えば、お腹空いたね。」と、どちらともなく口に出し、
初めて予約していた事を思い出した。
お店に謝りの電話を架け、HOTELを後にした。
久し振りに女に戻った私は、ポカポカする程幸せな気分だった。
ママの言った、
飛び越えてみたら、なんや大した事ないわって、分かるよ。
の言葉を実感していた。
今、抱かれた筈なのに、もう1度と言いたかった。
覚えたてのサルは、私じゃん・・・と、思うと、自然と笑いがこぼれた。