「私はね。。。。結婚してもう20数年になるの。年はヨウくんより9つ上で、」と言うと、

「見えない!!」

とすぐさまヨウが言葉を挟んだ。


「正直、年上だろうとは思ったけど、ひとつふたつ上だと思ってた。」

「ごめん。おばさんで(・・;)」

って、何で謝ってるんだろ・・・私が思うと同時にヨウがまた言葉を挟んだ。


「いやぁ~ごめんなさい。どうぞ、続けて」


「子供はいないって言ったよね?1度も出来ないままだったの。って言うか、生活に追われてて造る事出来なかったの。若い頃は本当に生活が苦しくてね。共働きで無いとやってけなかった。

少し楽になったらなったで色んな事があってね・・・。」


「でも、こんな事言うのは間違ってるかも知れないけど、弥生さん、子供を産んでいないからずっと女でいられるんじゃないのかな?僕の周りの弥生さん位の年の女の人とは全然違うもん。」


無邪気にそう言われると、少しくすぐったかったが、悪い気はしなかった。


余りにも無防備に自分の身の上を話すヨウに対して、自分の事を全く話さないのは、ルール違反のような気がしたから、話し始めたのか。。。。


でもその時の私は、まだその色んな事の内容までは話す事は出来なかった。


それでも、普段の私なら初対面の人に、自分の事を細かく話したりはしなかったから、彼とは最初から何か運命の様なものがあったのかも知れない。


(今だから言えるけど、彼の顔は凄く私の好きな顔で、ドストライクだったんです。だから、惹かれたのもあるかも知れないけど・・・・)


私はその2000年の頃、旦那さんと義母との同居生活をし始めた頃だった。


1999年の暮れにそれまで一人で暮らしていた義母が脳梗塞で倒れた。

明け方突然の電話で義母の不調を聞き、駆け付けると既に義母は動けない状態だった。


救急病院に連れて行き、義母はそのまま入院した。


義母は私たちがまだ新婚の頃に、旦那さんの父親とは離婚していたので、退院後は長男である旦那さん=私との同居を選らばざるをえなかった。


同居するまで、私と義母の仲は決して悪くは無かった。

私はその同居までの経緯を掻い摘んでヨウに話した。


彼は何度も由美のお線香を換えながら、私の話を聞いていた。


兄たちが帰ってから2時間程した頃、


「お腹空かない?」と、ヨウが聞いた。


「ちょっと空いたかな?上にお弁当が届いてると思うから、貰って来ようか?」と私が言うと、


「じゃあ、僕が貰って来ます。ちょっと待ってて・・・・。」


言い終わらないうちに、ドアの向こうに消えていた。