只今開催中の東京国際映画祭。
昨夜、1本目を鑑賞して参りました。
アンナと過ごした4日間。
先週、吉祥寺のバウスシアターで映画祭のチラシを入手した際に、
*コンペティション部門で個人的に気になる作品をピックアップしてみました。
といっても参考にできるのは映画のワンシーンを切り取った写真と、
6行程度のあらすじ。
*東京国際映画祭ではコンペティション部門というものがあり、
世界の72国と地域で制作された690本もの作品の中から選りすぐりの15本が上映されます。
そして、この中から映画祭の最高賞である「東京サクラグランプリ」が選ばれるのです。
作品リストの中のトップバッターが『アンナと過ごした4日間』であり、
私の興味を引いたあらすじというのがこちら:
向かいの女性の部屋を覗かずにいられない男性。
その哀しい心理と行為の行く末が、巧みな演出
と編集でサスペンスフルに展開する。巨匠監督
の技巧を存分に堪能したい快作。
このあらすじに、まんまとやられてしまいました。
巨匠監督の作品だけあって、ヒルズのTOHOシネマズでも一番大きい
SCREEN 7での上映だったのですが、席は完璧に埋まっておりました。
(ちなみにSCREEN 7は私の一番お気に入りのスクリーンです)
映画祭のいいところは、大体の作品に舞台挨拶がつくこと。
しかもコンペティション作品に関しては、ティーチ・インという
時間が設けられ、上映後に30分ほど時間を取り観客から直接、
監督や俳優などに質問をすることができます。
映画って、観客の想像力に任せてる部分が必ずあると思うのですが
その作品に対する作り手の想いというのも根底には存在しています。
しかしその作り手の想いを直接聴ける場は、そうめったにありません。
そういった場を提供してくれているのが、映画祭。
そんな映画祭が私は大好きです。
さて。
『アンナと過ごした4日間』では、まず上映前に監督より軽く挨拶。
「シリアスと同時に軽快(lightness)なシーンも含まれてるよ」とのこと。
事前にそういった挨拶があると、映画の見方が固定されちゃう危険性があるので
監督にはできれば上映終了後まで出てきて欲しくなかったのだが・・。
でも実際見てみると、ほんと絶妙なタイミングでユーモアが挿入されておりまして。
やっぱり、ストーリーがずっと張りつめた状態だと観客って疲れちゃいますよね。
なので間の取り方って大事だなぁ、と改めて思わされました。
そして始まったティーチ・インの時間。
いろんな質問が出ましたが、それに対する監督の答えの中から
特に印象に残っている発言などを記します。
発言①:『第二の趣味はペインティングである』
これは納得。
この映画はほとんどセリフがない分、俳優の表情だとか動きだとか
小道具だとか風景だとかそういったものが非常に目立ってきます。
特に、ポーランドの田舎町の無気味な感じを巧みに映し出していた
風景は、絵になるくらいおみごとでした。
発言②:『Making a film isn't just about the picture, but
it's also about the sound.』
音楽や音響って当たり前のように存在しているけど、音が変化することで
無意識のうちに人間の心情も変化したりしちゃうから、面白い。
発言③:二人の主役について
質問は、どのようにして二人の役者を選んだのか。
まずアンナ役に関しては、監督曰く彼女はbest actress in polandらしい。
しかしレオン役においては150人ほどオーディションしたとのこと。
年齢や職業やルックスなどを限定せず幅広く探していたみたいで。
その中から、二人良さげの候補が出てきたのだけれども結局ピンと来ず。
するとそのとき!!
(・・・オーディションではなぜかよくある展開なのですが・・・)
地方の舞台で面白そうな奴がいる、との噂を聞きつけ、会いに行ってみたら
「こいつしかいない。」
と思ってしまったそうな。
『以前まで候補だった二人の男性だと、間違いなく完璧に役を
こなしてくれただろうけど、それはあくまでも「演技」でしかない。
しかしこの「面白そうな奴」は、オーディションの部屋に入ってきた
ときからおどおどしていて自分に自信がなさそうだった。
もうすでに、彼自身がレオンだったのである。』
ちなみに映画の中では、レオンの歩き方がとても不自然だったのですよ。
それがとっても怪しげな雰囲気を醸し出していて良かったのですが、
実は片足ずつ3kgほどの重りをつけていたそうな。
お疲れ様でした。
発言④:思い込みについて
映画前半のいくつかのシーンでは、
「もしかするとレオンはアンナを殺害しようとしてるんじゃないか・・?」
と思わせるような素振りを観客に見せつけていた。
この段取りがまた、上手い・・・。
確かにストーカーちっくなことは沢山するのだけども、
彼は本当は、アンナのことを愛していたのです。
"In this movie there's a thin line between crime and passion.
However, his true passion gradually excuses himself from his
negative character."
・・のようなことを監督は言っていました。
人間の思い込みって、いかに危険かを思い知らせてくれる作品でもあります。
発言⑤:映画のアイディアについて
『カンヌだとかパリだとかLAだとか、色んな映画祭で観客から質問を受けてきた。
一番多かった質問が、「なぜ17年間映画監督を休んでいたのか」。
そして次に多かった質問が、「この映画のアイディアはどこから生まれたのか」。
しかし東京では後者の質問を誰もしてこなかったので最後にその話をしてから帰りたいと思う。
そのアイディアとは、ある日たまたま読んでいた新聞記事がヒントとなった。
どんな記事だったかというと、あるとてもシャイな日本人男性が、
毎晩好きな女性の寝室に忍び込んで一晩過ごしていた、というものであった。』
・・・嬉しいやら若干複雑やら・・。
いや、嬉しいことにしておこうじゃないか。
Cztery noce z Anna(2008)
10/20/2008 20:15-
Director:
Jerzy Skolimowski
Actors:
Kinga Preis
Artur Steranko
昨夜、1本目を鑑賞して参りました。
アンナと過ごした4日間。
先週、吉祥寺のバウスシアターで映画祭のチラシを入手した際に、
*コンペティション部門で個人的に気になる作品をピックアップしてみました。
といっても参考にできるのは映画のワンシーンを切り取った写真と、
6行程度のあらすじ。
*東京国際映画祭ではコンペティション部門というものがあり、
世界の72国と地域で制作された690本もの作品の中から選りすぐりの15本が上映されます。
そして、この中から映画祭の最高賞である「東京サクラグランプリ」が選ばれるのです。
作品リストの中のトップバッターが『アンナと過ごした4日間』であり、
私の興味を引いたあらすじというのがこちら:
向かいの女性の部屋を覗かずにいられない男性。
その哀しい心理と行為の行く末が、巧みな演出
と編集でサスペンスフルに展開する。巨匠監督
の技巧を存分に堪能したい快作。
このあらすじに、まんまとやられてしまいました。
巨匠監督の作品だけあって、ヒルズのTOHOシネマズでも一番大きい
SCREEN 7での上映だったのですが、席は完璧に埋まっておりました。
(ちなみにSCREEN 7は私の一番お気に入りのスクリーンです)
映画祭のいいところは、大体の作品に舞台挨拶がつくこと。
しかもコンペティション作品に関しては、ティーチ・インという
時間が設けられ、上映後に30分ほど時間を取り観客から直接、
監督や俳優などに質問をすることができます。
映画って、観客の想像力に任せてる部分が必ずあると思うのですが
その作品に対する作り手の想いというのも根底には存在しています。
しかしその作り手の想いを直接聴ける場は、そうめったにありません。
そういった場を提供してくれているのが、映画祭。
そんな映画祭が私は大好きです。
さて。
『アンナと過ごした4日間』では、まず上映前に監督より軽く挨拶。
「シリアスと同時に軽快(lightness)なシーンも含まれてるよ」とのこと。
事前にそういった挨拶があると、映画の見方が固定されちゃう危険性があるので
監督にはできれば上映終了後まで出てきて欲しくなかったのだが・・。
でも実際見てみると、ほんと絶妙なタイミングでユーモアが挿入されておりまして。
やっぱり、ストーリーがずっと張りつめた状態だと観客って疲れちゃいますよね。
なので間の取り方って大事だなぁ、と改めて思わされました。
そして始まったティーチ・インの時間。
いろんな質問が出ましたが、それに対する監督の答えの中から
特に印象に残っている発言などを記します。
発言①:『第二の趣味はペインティングである』
これは納得。
この映画はほとんどセリフがない分、俳優の表情だとか動きだとか
小道具だとか風景だとかそういったものが非常に目立ってきます。
特に、ポーランドの田舎町の無気味な感じを巧みに映し出していた
風景は、絵になるくらいおみごとでした。
発言②:『Making a film isn't just about the picture, but
it's also about the sound.』
音楽や音響って当たり前のように存在しているけど、音が変化することで
無意識のうちに人間の心情も変化したりしちゃうから、面白い。
発言③:二人の主役について
質問は、どのようにして二人の役者を選んだのか。
まずアンナ役に関しては、監督曰く彼女はbest actress in polandらしい。
しかしレオン役においては150人ほどオーディションしたとのこと。
年齢や職業やルックスなどを限定せず幅広く探していたみたいで。
その中から、二人良さげの候補が出てきたのだけれども結局ピンと来ず。
するとそのとき!!
(・・・オーディションではなぜかよくある展開なのですが・・・)
地方の舞台で面白そうな奴がいる、との噂を聞きつけ、会いに行ってみたら
「こいつしかいない。」
と思ってしまったそうな。
『以前まで候補だった二人の男性だと、間違いなく完璧に役を
こなしてくれただろうけど、それはあくまでも「演技」でしかない。
しかしこの「面白そうな奴」は、オーディションの部屋に入ってきた
ときからおどおどしていて自分に自信がなさそうだった。
もうすでに、彼自身がレオンだったのである。』
ちなみに映画の中では、レオンの歩き方がとても不自然だったのですよ。
それがとっても怪しげな雰囲気を醸し出していて良かったのですが、
実は片足ずつ3kgほどの重りをつけていたそうな。
お疲れ様でした。
発言④:思い込みについて
映画前半のいくつかのシーンでは、
「もしかするとレオンはアンナを殺害しようとしてるんじゃないか・・?」
と思わせるような素振りを観客に見せつけていた。
この段取りがまた、上手い・・・。
確かにストーカーちっくなことは沢山するのだけども、
彼は本当は、アンナのことを愛していたのです。
"In this movie there's a thin line between crime and passion.
However, his true passion gradually excuses himself from his
negative character."
・・のようなことを監督は言っていました。
人間の思い込みって、いかに危険かを思い知らせてくれる作品でもあります。
発言⑤:映画のアイディアについて
『カンヌだとかパリだとかLAだとか、色んな映画祭で観客から質問を受けてきた。
一番多かった質問が、「なぜ17年間映画監督を休んでいたのか」。
そして次に多かった質問が、「この映画のアイディアはどこから生まれたのか」。
しかし東京では後者の質問を誰もしてこなかったので最後にその話をしてから帰りたいと思う。
そのアイディアとは、ある日たまたま読んでいた新聞記事がヒントとなった。
どんな記事だったかというと、あるとてもシャイな日本人男性が、
毎晩好きな女性の寝室に忍び込んで一晩過ごしていた、というものであった。』
・・・嬉しいやら若干複雑やら・・。
いや、嬉しいことにしておこうじゃないか。
Cztery noce z Anna(2008)
10/20/2008 20:15-
Director:
Jerzy Skolimowski
Actors:
Kinga Preis
Artur Steranko