アイスランドの大自然が生み出す圧巻のゲイシール

アイスランドの大自然が生み出す圧巻の光景、ゲイシールをご存知でしょうか。ゲイシールとは、地下の熱水が高温・高圧になり、一定のサイクルで間欠泉のように吹き上がる現象です。写真のように、勢いよく吹き上がる熱水と水蒸気の柱は、まるで大地が息をしているかのようです。

ゲイシールが見られるのは、世界でもアイスランドなど限られた地域だけ。火山活動が活発な土地柄ならではの貴重な自然現象と言えるでしょう。太古から変わらない姿で迫力満点の景色を作り出すゲイシールは、一度は生で見てみたい大自然のスペクタクルです。





ゲイシールが生まれる仕組みとは

ゲイシールが生まれるには、いくつかの条件が必要です。まず地下深くにマグマだまりがあること。マグマの熱によって地下水が熱せられ、周囲の岩石の隙間に溜まっていきます。さらに上から冷たい地下水が供給され続けることで、高温の熱水と冷水の層ができるのです。

地下の温度と圧力が上昇し続け臨界点に達すると、熱水は一気に沸騰して水蒸気に変わります。すると蒸気の圧力で熱水が地表に向かって押し上げられ、ゲイシールが吹き上がるという仕組みです。一度の噴出で熱と圧力が放出されるので、次の噴出までにはある程度の時間と水の供給が必要になります。だからこそ、一定の間隔をおいて繰り返し吹き上がるのが特徴なのです。



ゲイシール観賞時の注意点

ゲイシールの迫力に圧倒されるのは必至ですが、観賞時にはいくつか注意が必要です。まず噴出口には絶対に近づかないこと。高温の熱水と水蒸気は火傷する恐れがあり大変危険です。噴出の瞬間は地響きと共に轟音が鳴り響くので、驚かないよう心構えが必要でしょう。

また、風向きによっては水蒸気が観賞エリアに流れ込むことがあります。アイスランドの気候は変わりやすいので、レインウェアを着用したり温かい服装を心がけましょう。ゲイシールに割り当てられた滞在時間は意外と短いので、噴出のタイミングを逃さないようにしっかり待機しておくのもポイントです。自然の前では人間はただただ小さな存在だと感じずにはいられません。



アイスランドを代表する人気のゲイシール

アイスランドにはいくつものゲイシールがありますが、中でも人気が高いのがゴールデンサークルにあるストロックル間欠泉です。高さ20メートルにも及ぶ巨大な水柱が、およそ10分間隔で吹き上がります。1周約300メートルの遊歩道からは、その迫力満点の姿を間近に見られるのが魅力。多くの観光客を惹きつけています。

首都レイキャビクから北東に250キロ離れた場所には、ゲイシール地帯として有名なフベルリルがあります。大小様々な泉が点在するエリアで、無数の蒸気が立ち上る光景は圧巻です。なかでも「ゲイシール」の名を冠する「グレート・ゲイシール」は、高さ70メートルにも達した記録を持つ世界最大級の間欠泉。残念ながら現在は活動を休止中ですが、その雄大なスケールに想いを馳せることができます。



アイスランドの大自然とサステナブルな関係

火山が造り出す特殊な地形と、豊富な地熱資源。アイスランドの大地が育んだ自然環境は、ゲイシールをはじめとする数多くの絶景を生み出してきました。しかし一方で、環境保全の取り組みにも熱心に取り組んでいます。国土の約11%を国立公園に指定し、手つかずの自然を守る努力を続けているのです。

さらにアイスランドは地熱発電や水力発電を積極的に活用することで、国内の電力需要のほとんどを再生可能エネルギーで賄っています。自然の脅威と恩恵を同時に受けてきた歴史が、サステナブルな社会を目指す原動力となっているのかもしれません。アイスランドを訪れれば、自然と人間が共生する未来の姿を感じられるはずです。シンボル的存在のゲイシールを通して、私たちのライフスタイルを考えるきっかけになることでしょう。

大自然の息吹を全身で感じられるゲイシール。神秘的でダイナミックなその姿は、一生忘れられない思い出になるはずです。アイスランドの雄大な景色が、私たちを内側から揺さぶり、自然を敬う気持ちを呼び起こしてくれることでしょう。訪れた人の心に、何かを残してくれる特別な存在。それがアイスランドのゲイシールの魅力なのかもしれません。