モラする人は

周りの人間に対して自分が

上に立てる人間か下なのか

自己基準によりそんな視点で人を区別する。



結婚したら妻は下僕として扱う。

気配り無用な相手。

外で封じ込めている自分をさらけ出せる相手。


妻には夫に全ての意識を集中させ

機嫌を伺わせ

夫優先で配慮するのは当然となり


夫が気に入らないことは許されず

夫の敷いた威圧と制限の中で暮らすことを求められる。



私が早くに結婚した理由には

父の愛が重すぎて息苦しく感じていたからもあった。


両親は良い人ではあったけど

ひとり娘を大切に思うばかりか

親の子への意識が私に集中していて


自由に羽ばたく羽が欲しくて仕方なかった。



夫と付き合い結婚するまでの期間は半年。

父の賛同を得られない状態のまま

夜逃げ同然のような形で家を出た。

結婚式等一切やらなかった。


しかし


父の夫への見立ては間違ってはいなかった…


「アイツはダメな男だ」


夫に挨拶させたときの父の感想。


そう言われたって恋は盲目。

説得する気もなく

推し進めてさっさと結婚して


結局父の言う通りになった。










今こんな生活をしていて思うのは


私が夫の自信を全て削いでしまったせい?


振り返ったりもする。



悪い癖だ。



私が悪いのかも?



こういう自責的思考は

夫から強化されていったのだろう。




夫は今

私の手を借りずに暮らす。



家庭内別居当初は

私のいる一階のお風呂にも入りに来ていたし

キッチンの流しも私が寝静まってから

使いに来ていた。

洗濯物も籠に入れてあった。


タバコの補充は玄関の飾り棚に私が買ってきて置くようにしていて

ビールもケースで買ったものを玄関に積んでおいた。

それを持って二階に上がっていっていたけど


3月後半辺りから

一階にある水回りを使わなくなり

買い置きしてあるそれらにも

一切、手を出さなくなっている。


一階には用事を作らない形にもっていった。



二階にも洗面所があるから

そこで洗い物をしている音が毎日聞こえる。

お風呂はどうしてるんだろう?

ま、いいか。



夫は自分の生活面に関して

妻からのサポートを切ってきた。



私は史上最大に傷付いた夫の不倫発覚以降

夫の失礼な言動に関して

心が動かなくなっている。


なにも誰も信じない。信じられない。

自分を見失う程どん底まで落ちた心を回復させるには


あれ程の傷を受けるのは

残りの人生無いだろうと思えているから。


夫のモラ程度では全く傷付かない。

そもそも不倫が発覚した時点で見損なっている。

期待もなにも捨ててしまっている。



精神が落ち着き出したのは4年後辺りからか。

随分と時間を要してしまった。


その間事有れば不倫をネタに夫を責め立てる日々だった。


止められなかった。


霧が立ち込める心になると

晴らす為に全てをぶつけまくっていた。




5年を過ぎる頃には

心が整っていって



不倫の話題を全く出すことはなくなった。

過ぎた事はどうにもならない。

この人はそういう事を平気でやれる人。

諦めが普通に持てるよう私は変わっていた。



すると夫も同時に徐々にモラへと回復していった。


責めない妻。

配慮してくれる妻。



夫の不倫による一過性の私の攻撃により

夫は夫でズタボロになっていただろう。


そもそも自己肯定感の低さから始まるモラハラ行為だ。


肯定感もなにも、私に責め続けられる毎日があったせいで夫は夫で傷ついていたことだろう。


平穏を絵に描いた生活になると

どん底まで落ちた肯定感を復活させるべく


ほんの些細な事でも見つけ出し

つついてくるようになりだした。


最初は「モラハラ出てきてるよ!」と

指摘して

(責め立てていた頃に夫に聞いていた。

故意のモラハラをしていたと自覚していた)

言われるとシュンとなっていた夫だったが



そんな指摘すらしなくなると


モラハラ具合は増幅。



夫からすると

バレ以降は妻が正しいから上扱いになっていて

抑制していたものの

沈静化するとやはり自分が上に立ちたい願望が抑えきれなくなっていったのだと思った。


自分勝手な生活に抑えが効かなくなり

元通りの夫が復活。



それでも深層心理的部分では

不倫したという世間から叩かれてしまう題材を持っていてそこが夫の負の遺産として残り



八つ当たり的に妻へのモラハラを始めることになっていた。



夫は事業がうまくいかなかったり

仕事先からの圧力に屈したり


それはそれで苦労はあるとは思う。



しかしそれらの腹いせに八つ当たりして

自分だけを守ろうとする精神は

家族であっても受け入れがたいものだ。



自分は特別な人間だと思い込み

周りがその自分を認めてくれないというジレンマ。


自分で自分を癒やす方法を

いい歳してまだ作れていない。




私がいくら許容しようと

こんな男だからと見くびって

それを微塵も表に出さず過ごせていても



夫は自分がしでかした不倫の代償を

いつまでも引きずり

心の奥底ではそんな自分を認めきれず


つつくところのない妻と過ごす時間は

苦痛以外の何ものでもないはず。


自分の弱さを認められないから

妻の小さなあら捜しを続けては

そこを叩き

まるで自分が上位にいるように振る舞う。

それが夫にとってはせめてもの肯定感なのだろう。



勝手に自分でやらかした不倫が

結局綱渡り的に続けられてきた夫の描いた夫婦関係を

木っ端微塵に壊してしまうという


なんともお粗末な結果にしかならなかった。




不倫とは

夫婦の信頼関係を根こそぎ無くしてしまう

恐ろしい行い。



あの辛さ悲しみを引きずることはなくなっても


一生何かしらの影響がどこかに残る。

お互いに。




夫が私を敵対視する理由はきっとそこにある。


下僕として置いてあった妻が

勝ち目の無い相手に変わってしまったからだ。