この木はヤエヤマヒルギ。
これは見ての通り、マングローブ植物です。
大潮で最干潮の時間に西表島の浦内川河口付近で撮りました。
マングローブって植物自体の名前だと思われがちですが、これは、例えば高い山の中に育つ植物が「高山植物」というのと同じ様に、熱帯から亜熱帯の海水と淡水が混じり合う"汽水域"の干潟に生育する植物の総称を「マングローブ」と、いいます。
なので、写真はその中の「ヤエヤマヒルギ」という木です。
タコ足状の根っこが特徴です。
実はこの根っこの部分でも光合成をして、酸素を吐き出してるんだそうですよ(^^)
だから、酸素を作り出すパワーが通常の樹木よりも多いそうなんです。
この根っこも潮が満ちた時には完全に水の中へ沈んでしまいます。
西表の河川は、高低差がないので、川の流れが殆どありません。
上流は滝になっていたりすることもあり、そこからちょっとの間は、川の流れも割と激しいんですけどね。
なので、そういった場所以外は、海の干満の差を大いに受けてしまい、川の水位も大きく変わってしまいます。
もし、西表島に旅行される場合は、潮汐を確認された方がより旅行を楽しめると思います!
大潮の時なんか、朝と昼過ぎでかなり景色が違うんですよ!
![ニコニコ](https://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/139.gif)
因みに大潮は、新月と満月の前後3~4日ぐらいに起こります。
月の引力が最も強まるからなんですって。
![叫び](https://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/254.gif)
これはヤエヤマヒルギの種がぶら下がっています。
この種の形状をみると、下が尖っています。
この種が、木から落とされ、柔らかい干潟の泥の中にプスっと刺さる様にできている訳なんですが、もちろん、全てが全て、そんなふうにうまい事刺さる訳なんかないんです。
満ち潮の時に落ちてしまった場合は、当然刺さらずに、そのままプカプカと流されて、流されて、たまたまたどり着いた場所に根を張ります。
もちろん、そのまま大海に出てしまい一生根を張れない種子もいますし、誰かに拾われて育つ種子もいますし、まぁとにかく、落とされた種子がどうなるかなんてなにも決まってません。
でも、根を張れたって、台風などで根こそぎ倒れたりする事もあります。
ヒルギとは沖縄の言葉で、漢字では「漂木」と書きます。
古来は山の中に育つ、普通の樹木だったそうです。
マングローブは決して塩分を好んではおらず、むしろ嫌いで、独自の方法で塩分を処理しています。
成長が遅いマングローブは、進化の過程で、他の植物との生存競争に勝てなかったそうで、「追いやられて仕方なく」なのか、「自ら選んで」なのかわかりませんが、自分だって生きづらい環境で根をおろし現在に至っています。
敵はいないけど、生きづらい環境で生きて行く為に、マングローブは自分で知恵を使い、進化していき、繁栄しました。
例えばこのヤエヤマヒルギのタコ足根っこの中はコルク状になっていて、それが塩分濾過フィルターの役目を果たしています。
それでも1~2割塩分が残るので、残りの塩水は、一番古い葉を選んでそこに送り込み、最後にその葉を落として塩分とサヨナラをする…という事を生きてる限り絶え間なくしています。
このマングローブに出会って、植物にだって心はあると確信してしまいました。
だから、進化するんだと思います。
ヤエヤマヒルギに「生きる」ってなんなのか、ちょっと考えさせられてしまった西表島の日々でした。
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