ジュリママについて原作に書かれてない設定がありますが、ピコの勝手な妄想ですのでご理解ください。

また、今回より新たなオリキャラが登場します。

この方原作にも登場してるんですよ。(回想シーンで)

残念ながら名前がわからなかったので、勝手に命名して設定だけ参考にさせて頂きました。

おいおい彼についてもお話の中で説明してゆきますが、気になる方は『人物相関図』 でご確認ください。



セカンド・ラブ 32-4 ーバカンスー


「キョーコ、先にこれを飲んで。」


久遠の後を追ってリビングに行くと
渡された鎮痛剤と水を言われた通りに飲んで
申し訳なさそうに彼の顔を見上げた


「OK。じゃあここに座って、もう少し待っててね。」


指さされたソファーに腰を下ろし
周りをしみじみ見渡すと昨夜の様子が垣間見えた。

空いたワインボトルが床に転がり、飲みかけのワイングラスがテーブルに片付けられずにそのまま残っている。
脱ぎ捨てられたドレスや靴も、あちこちに散らばり
まるでこの部屋に小ちゃいハリケーンが襲ってきたみたい。


ああ、ここでもまた飲んでしまったのかしら・・・・・
あれ?
そういえば、サンドラママは?


ここまで一緒に戻ってきたのは、おぼろげながら覚えている。


ルイと一緒に帰ったのかな・・・


「キョーコ、具合はどう?頭はまだ痛い?」


いつのまにか戻ってきた久遠が冷えたオレンジジュースを手渡してくれて、隣に座った。


「ありがとう、久遠。頭はまだちょっと痛いけど、さっきよりは随分マシになったわ。」


肩を抱き寄せられて促されるままにオレンジジュースを飲む。


冷たくて美味しい。


思っていた以上に喉が渇いていたようで、一気に飲み干すとテーブルにグラスを置いた。


「久遠、本当にごめんなさい。ちょっと昨日は飲みすぎました。」
「全くだ。」
「もうあんな真似は絶対にしません。昨日で懲りました。」
「そう願いたいね。君のあんな姿は例え親でも、他の男に見せたくないからね。」
「え?」


不安気に見上げた久遠の瞳が鋭く光っている。


私は一体どんな醜態を晒してしまったのだろう?
とんでもない事をしてしまったのかしら?

静かな彼が逆に怖い……


そろりと立ち上がり、地べたに向かい合わせで正座をして座り直して一呼吸ついた。
手をついて謝ろうとした時、改めて今自分が来ている服に気づく。


Tシャツだけ!?

恐る恐る、首の所に指をかけて中身も確認する。

の、の、の、ノーブラ!
パ、パンツは!?

……よかった……履いてる。


でも、どうして?
もしかして……脱がせたのは久遠?


「君が勝手に脱ぎ始めたんだよ。」


心の声が聞こえたのか、久遠は答えた。

私は酔うと脱ぎ癖もあるようだ。
これはお酒自体を止めた方がいいのかもしれない。


「別に脱ぎ癖があるって訳ではないよ。」


またまた心の声が聞こえたみたい。


「でも……」


顔を上げた私は、彼の視線とぶつかった。
やけに神妙な面持ち。

今度こそはしっかり謝ろうと手をついた瞬間
堪らず吹き出した彼は口を押さえても、笑いは止まらない。


「……プププ・・・・アハハハ・・・・・駄目だ!我慢できない!」

「?」

「ククク・・・・・今まであまり君を母に似ているとは思った事はなかったけど、昨夜の君は違った。そっくりだったよ!」
「へ?」
「母さんは酔うと、よく服を脱いで踊り出すんだ。」
「はぁ・・・・・」

「母さんとサンドラがドレスを脱ぎ始めて踊り出した時は、またいつものが始まったとショーを楽しんでいたんだけど、いくら誘われたからってまさか、君まで脱ぎ出すとは思ってなかったから焦ったよ。」
「嘘っ!全部脱いじゃったんですか?」


青褪めた顔で、久遠に詰め寄った。


「いや……上だけだ。しかしかなり際どい姿でキャバレーのワンシーンを踊っていたよ。ブロードウェイ仕込みのセクシーで切れのある腰さばきでね。」


うう…、穴があったら入りたい…
ストリッパーに出ていた時に恥じらいは捨てていたから、そのまま置いてきちゃったみたい。


すごすごと後ろに下がって、また久遠の前に正座で頭を垂れた。


「まぁ、そこまではギリギリ笑っていられたんだ。」
「え!まだ他に何かやらかしたんですか?」
「サンドラ達が寝ると言って、母さんたちの部屋に行った後だった。母さんもすぐに寝ると言い出して下着を脱ぎ始めたものだから、父さんが急いで母を止めたんだ。そしたら母さんの真似をして君まで脱ぎ始めるから……マジ焦った。君を抱きとめて近くにあった俺のシャツを着せたんだよ。覚えてない?」
「全然…」


消え入りそうな弱々しい声


「本当に申し訳ございません。」


このまま床に同化してしまいたいと思えるくらい突っ伏して謝る。


「二人とも随分酔っていたから仕方ないよ。それから父さんと二人をベッドに運んだんだけど、今度は一緒に寝ると二人がゴネだして、俺と父さんの手をそのまま引っ張って4人でベッドにダイブさ。俺たちもすでにだいぶ飲んでたから、そのまま疲れて一緒に寝てしまったんだ。キョーコがせっかく抱きついてくれたのに、振りほどくなんてできないだろ。」


「誠に申し訳ございませぇぇ~~~ん!!!!!」


正座していたお尻を少し上げて突き出し、両手を目一杯伸ばして頭と顔を床にぴったり付けて土下座よりも低姿勢で低く低く謝った。


「ヒュ~~ぅ!!朝からホットな姿で、俺を誘ってるの?

おはよう、リサ。今日も綺麗だね。」


口笛を吹き背後から現れたルイは、ニヤニヤとシャツからはみ出たヒップを見ていた。

いきなりの登場に驚いて、小さな悲鳴を上げて立ち上がったつもりだったが、気づいた時には久遠の足の間にいてお尻も胸も見られないように彼の長い手足を回されてすっぽり隠された。


「おはよう、ルイ。ゆっくり眠れたかい?冷蔵庫に飲み物が入っているから、どれでもお好きなものをどうぞ。」
「おはよう、クオン。ありがとう。」
「鎮痛剤が必要だったら、そこのカウンターに置いているから、よければそれも使ってくれ。」
「ああ、貰おうかな。昨夜はちょっと飲みすぎた。」
「俺もだよ。」


ウインクして、バーカウンターの方へと歩き出すルイの視界からキョーコが完全に見えなくなるのを待って、久遠は彼女を解放した。


「今のうちにシャワーを浴びておいで。プライベートのこんな姿を見ていいのは俺だけだ。油断してはいけないよ。」


キョーコは素早く頷くと、渡されたバスローブを羽織って、バスルームへと急いだ。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「やぁ、ケイト。」
「はい、ヘンリー。」
「昨日、海岸通りでリサを見かけたよ。」
「え、本当?」
「ああ、ヴェネツィアからこっちにバカンスで寄ったんだろ。連絡してやったらどうだい?」
「そうね、久しぶりにリサにも会いたいな。」
「時間があるなら、リサの新人賞受賞を祝ってサプライズパーティを開いてあげないか?彼女の友人として、俺もお祝いしたい。」
「おお!!それは素敵なアイデアだわ。早速電話してみる。」
「会場選びは任せてくれ。彼女の受賞は同じ俳優仲間として誇らしいから是非協力させてくれ。」
「あら、それだけかしら?」
「ふふ・・・・・・」


電話を切って、開いていたノートパソコンに視線を戻す。
トロフィーを抱いて誇らしく微笑む彼女は、以前にも増して輝きを放っていた。


彼女の隣にふさわしい男はこの俺だ。

リサもすぐに、その事に気づくだろう。


つづく



お礼にもならない妄想話の続きも更新しております。
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