ドン☆フェスの姉妹企画「春の胸キュン祭・萌え☆フェス」に
またまた参加です。
期間内に何本このシリーズを書けるかしら?
妄想は色々膨らんでいるのですけど、
なかなか早くには仕上がりません
こちらは、前回「告白10分前」のおよそ10か月前位のお話。
両片想未成立の二人で、顎トンと回転ハグで妄想しております。
ふたりの風景~片想いトキメキ中~
学校が休みの日の急なオフは何をしていいかわからなくて困る。
それもタイミング悪く、だるまやの定休日だったから、
あまり部屋にいては、お二人もゆっくり休めないと思い
早めに部屋を出たから余計だ。
でも特に用事もなく、街をブラブラしてもすぐに行く所もなくなり、結局、いつものように事務所でラブミー部の仕事をするなんて、つくづく私は貧乏性だと思う。
今ではすっかり相棒となったラブミーツナギに袖を通し
いつものように椹主任の元へと行く。
今更ラブミースタンプを集める気なんてないから
(↑欲しいのは、あの人からのものだけ)
お手伝いをするのにわざわざこの服を着る必要もないんだけど
(↑目立つし、やっぱりちょっと恥ずかしい。)
下心もあって、ラブミー部の仕事にしたのだ。
この服で皆さんのお手伝いをしていたら
あの方の有能なマネージャーさんがこの情報を聞きつけ
もしかすると仕事の依頼をしてくれるかもしれない?
なんて甘い事も考えたりしたけど………
(まぁ、人生そんなに上手くいくわけないわよねぇ~~)
椹主任に頼まれた名簿をデーター入力し終えて
大きく伸びをする。
そして、何の気なしにインターネットを開いてみた。
普段はあまり見る事もないんだけど
今日は本当に暇だしね………
気になる記事をポチポチしながら
色んな情報やニュースを読んでいく。
「んんっ?カップル遊び…?何だろう?」
偶然見つけた記事の、ある投稿動画に目が釘付けになった。
「なにこれ!?凄いわねぇ~ あぁ~でも可愛い…」
それは男の子と女の子が向かい合わせに立ち
女の子が股の間から後ろの方に伸ばした手を男の子が上から掴み
勢いよく引っ張る事で女の子がクルッと回転して
女の子の開いた足が男の子の頭から肩へと通り過ぎ
ギュッと男の子に手と足を回して、しがみつく形になる動画だった。
「へぇ~女の子同士や男の子同士のもあるんだ…面白そうw
難しいかな…ああ…でもやってみたいなぁ~私にできるかしら?」
「できるんじゃない?」
ここにいるはずのない人の声に驚いて
後ろを振り返ろうとした瞬間
肩に置かれた手の重みにドキッとした。
(いつの間にここへ来たんだろう?)
すぐに立ち上がり挨拶をしないといけないんだけど
鼓動が激しく脈打ち、今振り向いたら
挙動不審な奴になってしまいそうで、
必死で胸のトキメキを心の奥に閉じ込めようとする。
息を詰めたまま固まっていると
あの人のいい匂いが頭上から降り注いできて
反対の肩におかれた温もりに一層鼓動が早まって
普通を取り繕う暇もない。
(顔ォォォォォ~~~~~~!!!!!)
肩に顎をトンと乗せて同じ顔の位置で画面を覗き込むなんて
この人は、私を殺す気ですか!
こんなに近くじゃ、振り返る事もできないよぉ~~~
肩に置かれた手が
身体を近づけることで
後ろから抱きしめられたみたいになって
キュン死しそうな程、恥ずかしい。
「これはある程度の身長差と、引っ張る側の腕の力、それと回転する側の身軽さがポイントかぁ………だったら、俺と最上さんなら、バッチリいけそうだね。」
冷静に動画を分析している蓮に堪らず
キョーコは勢いよく立ち上がって
頭を下げた。
「おはようございます、敦賀さん。お越しになった事も気づかず、挨拶が遅れてしまい申し訳ございませんでした!」
真っ赤になった顔を見せたくなくて
深く頭を下げて大声で挨拶したキョーコは
チッと小さく舌打ちして、一瞬がっかりした表情を見せた蓮に気付けなかったが、背後でその様子を見ていた社はバッチリ見ていた。
(せっかく久しぶりに最上さんを堪能できると思ったのに
一瞬で終わったか・・・残念。
まぁ仕方ないから、ここはさりげなく先輩の顔に戻して、最上さんとの会話を楽しむとしよう。)
な~んてこいつは、この笑顔の裏で考えているんだろうな。
いつもながら見事なポーカーフェイスに社は感心する。
「いや、気にしなくていいよ。一応入る時に声はかけたんだけど、最上さんパソコンに夢中だったから、何見てるのかなぁ~と興味が湧いて勝手に覗いてしまって、ごめんね。」
「そんな滅相もない!大したものは見てませんでしたから!」
「でも、この動画すごいね。色んな人がチャレンジしてるんだ。」
「はい、私も調べててびっくりしました。流行りのカップル遊びらしいですけど、女の子同士とかでもチャレンジしていて、見ているだけでも楽しいです。」
「そう・・・・・・見てるだけじゃなく、本当は最上さんもやってみたいんじゃない?」
「あっ・・・///」
「クスッ・・・試してみない?」
「だ、ダメです。そんなのできません!」
「どうして?結構俺、成功させる自信あるんだけどな。」
「そういう意味じゃなくて、こんなお遊びで、もしも失敗して敦賀さんの大切な身体に傷でもつけたら、お仕事に影響が出ます!」
「う~ん・・・そうか・・・最上さんに傷をつけでもしたら危ないか・・・でもなぁ・・・」
(聞いてない!私は自分のケガの心配ではなく、敦賀さんを心配してるのよぉ~)
蓮はブツブツと何やら考え込み、チラリと社の方を振り返ると、諦めたように社は頷いた。
「やっぱり、やってみようよ。ねっ、一度だけ!それで無理そうだったら、止めればいいんだから。」
誘う蓮の顔は少年のように無邪気で
いつも大人な蓮とはまったく違う顔をしていて
キョーコは激しく母性本能をくすぐられた。
(敦賀さんでも、意外と子供っぽい所もあったんだぁ・・・ちょっと可愛い・・・)
「じゃあ・・・一度だけですよ///もしも敦賀さんが怪我しそうだったら、すぐに私の手を離してくださいね。」
「うん、危なくなったら、ちゃんと最上さんのこと守るから安心して。」
「そうじゃなくて・・・私が心配なのは敦賀さんなんです!」
不毛な言い争いが始まりそうな予感に
忙しい売れっ子俳優の限られた休憩時間を有効に使うため
有能な担当マネージャーは仲裁に入る。
「キョーコちゃん、危ないようだったら、俺がストップをかけるから、一度試してやってくれないか。このままだと蓮、これが気になっちゃって、次の仕事に集中できなくなるかもしれないから。」
(嘘だけどw さすがの蓮でも、この程度では影響されない。)
「それは、いけません!では、不祥!最上キョーコ!敦賀さんにご迷惑をかけないよう精一杯頑張らせていただきます!」
ビシッと背筋を伸ばして敬礼するキョーコに
社は優しく笑って頷いた。
少しでも危険を減らす為、机や椅子を端に寄せ広いスペースを作る。
そしてキョーコは、ウエストポーチを外し
蓮の衣装を汚さないようにと、靴も脱いだ。
「キョーコちゃん、靴を脱ぐなら靴下も脱いだ方がいいよ。滑ったら危ないからね。」
「はい!」
蓮と向かい合わせのまま大きく腰を屈め
言われた通りに靴下を脱いで、ズボンの裾も少し折り曲げて足首を出した。
春らしいピンクのペディキュアを塗った可愛らしい指に
思わず蓮の表情も緩む。
「こっちも少し袖をまくっておいた方がいいな。」
キョーコの腕をとって服の袖をクルクルと巻いていく。
自分の鼓動まで、この袖のようにクルクルと舞い上がって
うるさく響き渡り、腕も震えてくる・・・・・・・
「さっ、できた。じゃあ、やってみようか。」
「はいっ!」
ドキドキを押し隠して、股を開きその間から腕を通して
手を開く。
すると敦賀さんの気配がどんどん近くなってきて
上から覆いかぶさるように私の手を握ってきた。
強く握られた手が熱くて、また鼓動が高ぶってくる。
「いくよ。」
合図と共に強く引き上げられた手に
自分もジャンプして勢いをつける。
「きゃっ!」
回りきれなくて必死で足だけでしがみつく私を
敦賀さんが助け起こしてくれてギュッと抱き上げる。
「大丈夫?」
「はい、すみません。大丈夫です。」
「今の惜しかったね。もう一回やってみようか。」
「はいっ!」
何度も失敗するたびに敦賀さんが助け起こしてくれて
ギュッとしてくれる。
これってもしかすると・・・役得?
ずっと失敗していたいな………
なんて、不埒な事を欲張りに思うけど
敦賀さんだってそうそうこんなお遊びに付き合ってる暇もない。
今度こそは!
と、気合を入れて勢いよく回転した。
「できた!」
くるりと綺麗に回って敦賀さんの胸の中へ。
落ちないように上手く足も巻きつけることができた。
「ほら、危ないよ。落ちちゃうからw」
「きゃぁっ」
ふざけてわざと手を離す敦賀さんに焦って
彼の首にギュとしがみついた。
(れぇ~ん、お前、それ絶対わざとだろ。
キョーコちゃんにしがみついて欲しくて、力抜いてるなw)
嬉しそうに笑って、わざと手を離したり、支えたりして、じゃれ合う二人を社は黙って見守っていた。
しかしチラリと時計を確認すると、そろそろタイムリミットが迫っていて、申し訳ないが仕事モードに切り替えてもらう為、社は声をかけた。
「蓮、そろそろ時間だ。」
名残惜しそうに彼女を降ろしてこちらを向き頷く蓮に
もうひと頑張りしてもらう為、仕事の後のご褒美を用意する。
「キョーコちゃん、もしよかったら、今夜の蓮の食事の手配を依頼してもいいかな?最近忙しくて、野菜が不足してるんだ。栄養のある物を食べさせてやってよ。」
「え?あっ・・・はい!了解しました!」
「ありがとう、最上さん。じゃあ、これ合鍵ね。」
嬉しそうに鍵を手渡して部屋を出る蓮は
すでに仕事を早く終わらせようと気合充分で
今夜は久しぶりに早く帰れそうだと思う社だった。
*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆
それから一年後・・・・・・
「ねぇキョーコ、久しぶりに回転ハグをやってみない?」
「いきなりどうしたんですか?」
「ふふっ、ちょっと思い出してね。あの頃は、お互い片思い同士だったから遠慮してたけど、今なら遠慮せずにできるからね。」
・・・・・・・・ジト目
「あれで遠慮してたんですか?」
「うん(笑)」
(よく言うわ。)
「ん?何か言った?」
「いえ、何もw はい、じゃあやりましょうか。でも、一回だけですよ。」
「うん、前回みたいに成功するまではやるからね。」
「もぉ~蓮さんったらww」
あの頃より息も合っていて
お互い信頼し合っていたせいか
すぐに上手くできてしまった。
「できた!」
「やったね。」
お尻を支えるように抱きとめて
首にしがみついていたキョーコと顔を見合わせて成功を喜び合う。
あの時と同じように………
でも今は我慢する必要もなくて
愛しい人に顔を近づけ
チュッと唇を重ね、顔を離すとまた笑い合って抱きしめて
今度は熱くて甘いキスを交わすのだった--------
おわり
お気に召しましたらポチッとよろしく。
*拍手*
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妄想は色々膨らんでいるのですけど、
なかなか早くには仕上がりません
こちらは、前回「告白10分前」のおよそ10か月前位のお話。
両片想未成立の二人で、顎トンと回転ハグで妄想しております。
ふたりの風景~片想いトキメキ中~
学校が休みの日の急なオフは何をしていいかわからなくて困る。
それもタイミング悪く、だるまやの定休日だったから、
あまり部屋にいては、お二人もゆっくり休めないと思い
早めに部屋を出たから余計だ。
でも特に用事もなく、街をブラブラしてもすぐに行く所もなくなり、結局、いつものように事務所でラブミー部の仕事をするなんて、つくづく私は貧乏性だと思う。
今ではすっかり相棒となったラブミーツナギに袖を通し
いつものように椹主任の元へと行く。
今更ラブミースタンプを集める気なんてないから
(↑欲しいのは、あの人からのものだけ)
お手伝いをするのにわざわざこの服を着る必要もないんだけど
(↑目立つし、やっぱりちょっと恥ずかしい。)
下心もあって、ラブミー部の仕事にしたのだ。
この服で皆さんのお手伝いをしていたら
あの方の有能なマネージャーさんがこの情報を聞きつけ
もしかすると仕事の依頼をしてくれるかもしれない?
なんて甘い事も考えたりしたけど………
(まぁ、人生そんなに上手くいくわけないわよねぇ~~)
椹主任に頼まれた名簿をデーター入力し終えて
大きく伸びをする。
そして、何の気なしにインターネットを開いてみた。
普段はあまり見る事もないんだけど
今日は本当に暇だしね………
気になる記事をポチポチしながら
色んな情報やニュースを読んでいく。
「んんっ?カップル遊び…?何だろう?」
偶然見つけた記事の、ある投稿動画に目が釘付けになった。
「なにこれ!?凄いわねぇ~ あぁ~でも可愛い…」
それは男の子と女の子が向かい合わせに立ち
女の子が股の間から後ろの方に伸ばした手を男の子が上から掴み
勢いよく引っ張る事で女の子がクルッと回転して
女の子の開いた足が男の子の頭から肩へと通り過ぎ
ギュッと男の子に手と足を回して、しがみつく形になる動画だった。
「へぇ~女の子同士や男の子同士のもあるんだ…面白そうw
難しいかな…ああ…でもやってみたいなぁ~私にできるかしら?」
「できるんじゃない?」
ここにいるはずのない人の声に驚いて
後ろを振り返ろうとした瞬間
肩に置かれた手の重みにドキッとした。
(いつの間にここへ来たんだろう?)
すぐに立ち上がり挨拶をしないといけないんだけど
鼓動が激しく脈打ち、今振り向いたら
挙動不審な奴になってしまいそうで、
必死で胸のトキメキを心の奥に閉じ込めようとする。
息を詰めたまま固まっていると
あの人のいい匂いが頭上から降り注いできて
反対の肩におかれた温もりに一層鼓動が早まって
普通を取り繕う暇もない。
(顔ォォォォォ~~~~~~!!!!!)
肩に顎をトンと乗せて同じ顔の位置で画面を覗き込むなんて
この人は、私を殺す気ですか!
こんなに近くじゃ、振り返る事もできないよぉ~~~
肩に置かれた手が
身体を近づけることで
後ろから抱きしめられたみたいになって
キュン死しそうな程、恥ずかしい。
「これはある程度の身長差と、引っ張る側の腕の力、それと回転する側の身軽さがポイントかぁ………だったら、俺と最上さんなら、バッチリいけそうだね。」
冷静に動画を分析している蓮に堪らず
キョーコは勢いよく立ち上がって
頭を下げた。
「おはようございます、敦賀さん。お越しになった事も気づかず、挨拶が遅れてしまい申し訳ございませんでした!」
真っ赤になった顔を見せたくなくて
深く頭を下げて大声で挨拶したキョーコは
チッと小さく舌打ちして、一瞬がっかりした表情を見せた蓮に気付けなかったが、背後でその様子を見ていた社はバッチリ見ていた。
(せっかく久しぶりに最上さんを堪能できると思ったのに
一瞬で終わったか・・・残念。
まぁ仕方ないから、ここはさりげなく先輩の顔に戻して、最上さんとの会話を楽しむとしよう。)
な~んてこいつは、この笑顔の裏で考えているんだろうな。
いつもながら見事なポーカーフェイスに社は感心する。
「いや、気にしなくていいよ。一応入る時に声はかけたんだけど、最上さんパソコンに夢中だったから、何見てるのかなぁ~と興味が湧いて勝手に覗いてしまって、ごめんね。」
「そんな滅相もない!大したものは見てませんでしたから!」
「でも、この動画すごいね。色んな人がチャレンジしてるんだ。」
「はい、私も調べててびっくりしました。流行りのカップル遊びらしいですけど、女の子同士とかでもチャレンジしていて、見ているだけでも楽しいです。」
「そう・・・・・・見てるだけじゃなく、本当は最上さんもやってみたいんじゃない?」
「あっ・・・///」
「クスッ・・・試してみない?」
「だ、ダメです。そんなのできません!」
「どうして?結構俺、成功させる自信あるんだけどな。」
「そういう意味じゃなくて、こんなお遊びで、もしも失敗して敦賀さんの大切な身体に傷でもつけたら、お仕事に影響が出ます!」
「う~ん・・・そうか・・・最上さんに傷をつけでもしたら危ないか・・・でもなぁ・・・」
(聞いてない!私は自分のケガの心配ではなく、敦賀さんを心配してるのよぉ~)
蓮はブツブツと何やら考え込み、チラリと社の方を振り返ると、諦めたように社は頷いた。
「やっぱり、やってみようよ。ねっ、一度だけ!それで無理そうだったら、止めればいいんだから。」
誘う蓮の顔は少年のように無邪気で
いつも大人な蓮とはまったく違う顔をしていて
キョーコは激しく母性本能をくすぐられた。
(敦賀さんでも、意外と子供っぽい所もあったんだぁ・・・ちょっと可愛い・・・)
「じゃあ・・・一度だけですよ///もしも敦賀さんが怪我しそうだったら、すぐに私の手を離してくださいね。」
「うん、危なくなったら、ちゃんと最上さんのこと守るから安心して。」
「そうじゃなくて・・・私が心配なのは敦賀さんなんです!」
不毛な言い争いが始まりそうな予感に
忙しい売れっ子俳優の限られた休憩時間を有効に使うため
有能な担当マネージャーは仲裁に入る。
「キョーコちゃん、危ないようだったら、俺がストップをかけるから、一度試してやってくれないか。このままだと蓮、これが気になっちゃって、次の仕事に集中できなくなるかもしれないから。」
(嘘だけどw さすがの蓮でも、この程度では影響されない。)
「それは、いけません!では、不祥!最上キョーコ!敦賀さんにご迷惑をかけないよう精一杯頑張らせていただきます!」
ビシッと背筋を伸ばして敬礼するキョーコに
社は優しく笑って頷いた。
少しでも危険を減らす為、机や椅子を端に寄せ広いスペースを作る。
そしてキョーコは、ウエストポーチを外し
蓮の衣装を汚さないようにと、靴も脱いだ。
「キョーコちゃん、靴を脱ぐなら靴下も脱いだ方がいいよ。滑ったら危ないからね。」
「はい!」
蓮と向かい合わせのまま大きく腰を屈め
言われた通りに靴下を脱いで、ズボンの裾も少し折り曲げて足首を出した。
春らしいピンクのペディキュアを塗った可愛らしい指に
思わず蓮の表情も緩む。
「こっちも少し袖をまくっておいた方がいいな。」
キョーコの腕をとって服の袖をクルクルと巻いていく。
自分の鼓動まで、この袖のようにクルクルと舞い上がって
うるさく響き渡り、腕も震えてくる・・・・・・・
「さっ、できた。じゃあ、やってみようか。」
「はいっ!」
ドキドキを押し隠して、股を開きその間から腕を通して
手を開く。
すると敦賀さんの気配がどんどん近くなってきて
上から覆いかぶさるように私の手を握ってきた。
強く握られた手が熱くて、また鼓動が高ぶってくる。
「いくよ。」
合図と共に強く引き上げられた手に
自分もジャンプして勢いをつける。
「きゃっ!」
回りきれなくて必死で足だけでしがみつく私を
敦賀さんが助け起こしてくれてギュッと抱き上げる。
「大丈夫?」
「はい、すみません。大丈夫です。」
「今の惜しかったね。もう一回やってみようか。」
「はいっ!」
何度も失敗するたびに敦賀さんが助け起こしてくれて
ギュッとしてくれる。
これってもしかすると・・・役得?
ずっと失敗していたいな………
なんて、不埒な事を欲張りに思うけど
敦賀さんだってそうそうこんなお遊びに付き合ってる暇もない。
今度こそは!
と、気合を入れて勢いよく回転した。
「できた!」
くるりと綺麗に回って敦賀さんの胸の中へ。
落ちないように上手く足も巻きつけることができた。
「ほら、危ないよ。落ちちゃうからw」
「きゃぁっ」
ふざけてわざと手を離す敦賀さんに焦って
彼の首にギュとしがみついた。
(れぇ~ん、お前、それ絶対わざとだろ。
キョーコちゃんにしがみついて欲しくて、力抜いてるなw)
嬉しそうに笑って、わざと手を離したり、支えたりして、じゃれ合う二人を社は黙って見守っていた。
しかしチラリと時計を確認すると、そろそろタイムリミットが迫っていて、申し訳ないが仕事モードに切り替えてもらう為、社は声をかけた。
「蓮、そろそろ時間だ。」
名残惜しそうに彼女を降ろしてこちらを向き頷く蓮に
もうひと頑張りしてもらう為、仕事の後のご褒美を用意する。
「キョーコちゃん、もしよかったら、今夜の蓮の食事の手配を依頼してもいいかな?最近忙しくて、野菜が不足してるんだ。栄養のある物を食べさせてやってよ。」
「え?あっ・・・はい!了解しました!」
「ありがとう、最上さん。じゃあ、これ合鍵ね。」
嬉しそうに鍵を手渡して部屋を出る蓮は
すでに仕事を早く終わらせようと気合充分で
今夜は久しぶりに早く帰れそうだと思う社だった。
*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆
それから一年後・・・・・・
「ねぇキョーコ、久しぶりに回転ハグをやってみない?」
「いきなりどうしたんですか?」
「ふふっ、ちょっと思い出してね。あの頃は、お互い片思い同士だったから遠慮してたけど、今なら遠慮せずにできるからね。」
・・・・・・・・ジト目
「あれで遠慮してたんですか?」
「うん(笑)」
(よく言うわ。)
「ん?何か言った?」
「いえ、何もw はい、じゃあやりましょうか。でも、一回だけですよ。」
「うん、前回みたいに成功するまではやるからね。」
「もぉ~蓮さんったらww」
あの頃より息も合っていて
お互い信頼し合っていたせいか
すぐに上手くできてしまった。
「できた!」
「やったね。」
お尻を支えるように抱きとめて
首にしがみついていたキョーコと顔を見合わせて成功を喜び合う。
あの時と同じように………
でも今は我慢する必要もなくて
愛しい人に顔を近づけ
チュッと唇を重ね、顔を離すとまた笑い合って抱きしめて
今度は熱くて甘いキスを交わすのだった--------
おわり
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