第三五二海軍航空隊③ | 航空戦史 雑想ノート【海軍編】

第三五二海軍航空隊③

第三五二海軍航空隊


昭和19年11月11日

「大村地区B‐29重爆撃機邀撃戦」
B‐29重爆撃機96機が出撃、大村侵入は29機。主目標爆撃を諦めた24機は、南京方面爆撃にむかう(うち上海地区に侵入したB‐29重爆撃機9機を二五六空が邀撃した)。
0655 支那派遣軍が米機の東進を報告。
0840 済州島の陸軍電波警戒機が目標を捕捉。
0845 大村空の零戦23機、三五二空の零戦33機、雷電11機、月光9機が、大村地区上空に待機。

0850 佐世保鎮守府が空襲警報を発令。
0852 西部軍が空襲警報を発令。
0900 大瀬崎電探が280度155㌔目標を捕捉。
0930~1020 B‐29重爆撃機は16回にわたり雲上よりレーダー照準で投弾。
大村上空に侵入してきた、B‐29重爆撃機29機を邀撃。台風接近の影響で、雲高8,500㍍を越え、 6,000㍍以上では雪を伴う悪天候で視界は極めて不良、密雲を抜けての邀撃戦の為、零戦、雷電の1、2機が接敵出来たのみで、戦果はほとんど挙がらなかった。(当日は正午現在、東経124度、北緯22度の台湾東方に中心指度730ミリバールの台風があり、時速25㌔で北東ないし東北東に進んでおり、九州方面は台風の影響を受けすでに密雲に覆われていた)
侵入したB‐29重爆撃機29機は、悪天候の為、レーダー照準により雲上爆撃を実施したが、二十一航空廠に被害は無く、帰途にB‐29重爆撃機4機が行方不明。
【編成】

零戦33機、雷電11機、月光9機
丙戦隊・第一中隊・第一区隊

 一番機 操縦・井手伊武中尉
       偵察・二村繁三上飛曹
【戦果】

不明
《米軍記録》

損失:5機(地上砲火1機、行方不明4機〈1機はソ連領に不時着〉

損傷:2機(戦闘機による)
【被害】

地上被害は軽微だが、大村基地に命中弾24発。ただし、1500迄に飛行場機能は復旧。


乙戦隊は機材の充実に努める。


昭和19年11月20日付

「雷電」装備機数27機
「月光」可動機数5機


昭和19年11月21日

「大村地区B‐29重爆撃機邀撃戦」
B‐29重爆撃機出撃109機、大村上空侵入61機。
0820 三五二空の月光5機、二式陸偵1機が発進、大村西方190キロの空域にて待機。
0900 月光1機(七番機)が発進。
0904~0920 三五二空の零戦31機、雷電16機が発進、丙戦隊の後方100キロ、高度8,500メートル前後にて待機。
0930 月光1機(八番機)が発進。
大村空は零戦8機(10機説も有り)、零練戦13機が発進。
哨戒高度は7,500~9,000メートル、雲量六~九、小雨まじりの曇天、低高度より高空にかけ厚い層雲が二層に広がり、地点と機位の判定は困難。
0935 男女群島上空にて月光隊がB‐29爆撃機編隊を攻撃。
0945~1030 大村地区上空高度7,000メートルにて、B‐29爆撃機61機と交戦。
甲戦隊、乙戦隊が三号爆弾を投下、B‐29編隊を乱し、銃撃を加える。
甲戦隊の坂本中尉は、三号爆弾投下後、直上方攻撃によりB‐29爆撃機4機を撃破、僚機と別れ追撃し、編隊外側の1機に上方より体当りを敢行。
甲戦隊の清水飛長は、第二悌団を攻撃中に被弾し火を発し、そのままB‐29爆撃機に突入。
乙戦隊の一木飛曹長が、五島列島と九州の中間の洋上で1機を撃墜。名原飛曹長、土屋二飛曹がそれぞ              れ1機を撃墜。三宅上飛曹は直上方攻撃により1機に黒煙を吐かせ、平野二飛曹も1機に火を吐かせた。              丙戦隊の赤松上飛曹/川村少尉機(二式陸上偵察機)は、来襲するB‐29爆撃機編隊の状況を基地に連絡。
丙戦隊の斎藤少尉/奈良二飛曹機が、大村西方海上にて、最初に捕捉したB‐29爆撃機は命中弾を得られず、逆に20発以上被弾、次のB‐29爆撃機編隊に対航戦を挑み、その四番機を撃墜。
矢倉二飛曹/村野少尉機は、五島灘上空でB‐29爆撃機14機編隊を攻撃、1機の翼根部を攻撃、さらに下方銃による後上方攻撃を行い、エンジン3基を止めると、高度が急速に下がり、撃墜と認定。
【編成】

零戦31機、雷電16機、月光8機
甲戦隊・第一中隊・第一区隊

 一番機 神崎国雄大尉    編成不明:3名
 二番機              坂本幹彦中尉   *撃墜:B‐29爆撃機1機(体当り) 撃破:4機 自爆

 三番機              清水貞治飛長   *撃墜:B‐29爆撃機1機(体当り)         自爆

 四番機              安食昭夫飛長   佐賀県唐津の虹の松原に不時着

第二区隊

 一番機
 二番機
 三番機
 四番機
第二中隊・第一区隊

 一番機
 二番機
 三番機
 四番機
第二区隊

 一番機
 二番機
 三番機
 四番機

第三中隊・第一区隊

 一番機
 二番機
 三番機
 四番機

第二区隊

 一番機
 二番機
 三番機
 四番機
第四中隊・第一区隊

 一番機
 二番機
 三番機
 四番機
第二区隊

 一番機
 二番機
 三番機
 四番機
乙戦隊・第一中隊・第一区隊

 一番機           編成不明:1名
 二番機           沢田幸男二飛曹    島原上空にて被弾、自爆

 三番機 
 四番機
第二区隊

 一番機 名原安信飛曹長   *撃墜:B‐29爆撃機1機
 二番機 三宅淳一上飛曹   *撃破:B‐29爆撃機1機
 三番機 平野光夫二飛曹   *撃破:B‐29爆撃機1機
 四番機
第二中隊・第一区隊

 一番機 植松真衛中尉
 二番機
 三番機 土屋 進二飛曹   *撃墜:B‐29爆撃機1機
 四番機

第二区隊

 一番機 一木利之飛曹長   *撃墜:B‐29爆撃機1機
 二番機
 三番機
 四番機
丙戦隊・第一中隊・第一区隊

 一番機 操縦・井手伊武中尉
       偵察・半場敏之一飛曹      発動機不調の為、帰還後、再出撃したが、接敵出来ず

 二番機 操縦・岡戸 茂上飛曹
       偵察・大沼正雄飛曹長      発動機不調の為、引返す

 三番機 操縦・岩永夏男飛曹長      *命中弾・多数  
       偵察・稲本安治郎一飛曹     発動機不調の為、佐賀県目達原の陸軍飛行場に不時着          第二区隊

 四番機 操縦・
       偵察・
 五番機 操縦・矢倉幸栄二飛曹      *撃墜:B‐29爆撃機1機
       偵察・村野幾士少尉
 六番機 操縦・赤松 寛上飛曹
       偵察・川村保治少尉
第二中隊・第一区隊

 七番機 操縦・伊東幸男少尉       *撃墜:B‐29爆撃機1機(不確実/墜落の可能性あり)
       偵察・住吉茂信少尉
 八番機 操縦・斎藤 茂少尉        *撃墜:B‐29爆撃機1機
       偵察・奈良三郎二飛曹      左プロペラが吹き飛び、熊本県長洲海岸沖に不時着水

【総合戦果】

撃墜:13機(うち体当り2機) 撃破17機
《米軍記録》

出撃109機 投弾61機

喪失:9機(被撃墜1機、未帰還4機、離陸事故1機、その他3機、戦死51名)
【総合被害】

自爆:3機 大破:4機 不時着:3機

搭乗員戦死3名
【戦死者】

坂本幹彦  中尉  (海兵71期)   甲戦隊  *体当り、自爆。
沢田幸男  二飛曹 (丙飛15期)   乙戦隊
清水貞治  飛長  (特乙1期)    甲戦隊  *体当り、自爆。
 

 

昭和19年12月1日付

甲戦隊保有機数:零戦35機/可動24機
乙戦隊保有機数:雷電26機/可動16機
丙戦隊保有機数:月光10機/可動4機  


昭和19年12月8日

[筆者注:調査未完、詳細不明]
橋口好見     (特乙1期)   *大分県


昭和19年12月19日

「大村地区B‐29邀撃戦」
0920 警戒警報発令。
0927 済州島電探より190キロ西方に五個目標捕捉の報告が入電。
0930過ぎ 丙戦隊の月光6機が発進。
甲戦隊が発進。
乙戦隊が発進。
丙戦隊の月光は、5機が発動機不調で早期に引返し、或いは他飛行場に不時着。
岡戸上飛曹/伊藤中尉機が、大村上空高度7,000メートルにて、7機編隊に接敵、後下方攻撃で命中弾を与え、上方銃を全弾撃ち終わり、下方銃にて攻撃しようとしたが、B‐29爆撃機1機は緩降下で逃走、発動機不調で速度の出ない伊藤機は追撃できなかった。
矢倉二飛曹/村野少尉機が、交戦したが効果は不明。
当時、大村地区上空は曇り一時雨の悪天候の為、甲、乙戦隊は2機に命中弾を与えただけに終わる。
【編成】

零戦 雷電 月光6機

丙戦隊・第一中隊・第一小隊

 一番機 操縦       編成不明:2機/4名
       偵察          操縦 岡戸 茂上飛曹
 二番機 操縦          偵察 伊藤正剛中尉
       偵察          操縦 矢倉幸栄二飛曹

 三番機 操縦          偵察 村野幾士少尉
       偵察
第二小隊

 四番機 操縦
       偵察
 五番機 操縦
       偵察
 六番機 操縦
       偵察
【戦果】

不明
《米軍記録》

発進36機、投弾19機。
【被害】

不明


昭和19年12月下旬

飛行隊長:神崎国雄大尉が、第七二一海軍航空隊/戦闘三〇六飛行隊:飛行隊長に転出。
甲戦隊の河野 茂上飛曹が、第三〇二海軍航空隊に転勤。
乙戦隊の中西健造中尉、三宅淳一上飛曹が、第三四三海軍航空隊に転勤。

乙戦隊に青木義博中尉が、台南海軍航空隊より着任。

     

昭和19年12月下旬

大村の第二一航空廠にて、雷電13機にターボ過給機を装着。 


以下、④に続く 

 

【参考文献】 

テーマ一覧「主要参考文献・資料」を参照下さい。 

 

[筆者注:調査未完につき、今後大幅に加筆・改訂を予定しております] 

 

初稿  2005-05-05

第2稿 2005-06-24 一部改訂、12月分を加筆