私の実家には、クーラーがありません。

私が25歳の時に家を建て直したのですが、そのときに自分から「クーラーを付けてください」と言わなかったのがいけなかったのか、不動産やさんが「クーラーを付けますか?」と聞かなかったのがいけなかったのか、どっちか分かりませんが、クーラーがありません。

 

30歳で実家を出る迄、私もクーラーとは無縁でした。

実家は決して涼しいわけではなく、扇風機だけでは暑いです。

特に台所は、地獄のような暑さです。

 

クーラーが無い生活をしていたので、母の中のクーラーの認識は「クーラーは電気代は高い」です。

私が一人暮らしを始めた家はクーラーがあったのですが、クーラーは電気代が高いから使っては駄目だとしつこく言われていました。

 

今思うとクーラーを使った時の電気代を自分で調べれば良かったのに、調べることなく母の言葉を信じていました。

締め切った部屋で、扇風機だけで寝る毎日。

実家と違い、窓を開けて寝ることが怖く窓は閉めて寝ていました。

その結果、朝目が覚めると酷いめまいでまともに歩くことが出来なく、慌てて飲んだ水は全て吐くという最悪なことになりました。

 

病院には言っていないけど、多分熱中症だったと思います。

この経験から母の教えを破り、クーラーを使用することにしました。

しかしやはり母の言葉が頭をよぎり、お風呂上りや本当に暑い時だけ使用するようにしていました。

クーラーを使用した結果、電気代はいつもの月と大して変わりはなく、なんだと思いました。

母に報告すると「クーラーは電気代がかかると思っていた、そんなに安いならどんどん使いなさい」と、母の意見はガラッと変わりました。

 

話はそれましたが、実家にはクーラーが無いので、毎年母が大変な思いをしています。

クーラーを付けたいのですが、一緒に暮らしている私の兄が反対するのです。

理由は「壁に穴が開くのが嫌だ」です。

穴が開くって、壊すわけでないのに。

殴って穴が開くわけではないのに。

今住んでいる家は長男である自分が受け継ぐと思っている兄は、自分の所有物に傷を付けたくないのです。

 

しかし今年75歳になる母が、命の危険を感じ「高血圧の年寄りに暑さは大敵!クーラーを付けて欲しい!このままでは死んでしまう!」と兄にクーラーを付けることを了承してほしく、お願いしたそうです。

 

答えは「壁に穴が開くから駄目!」でした。

兄ももちろん、暑いです。

母はこっそり窓を開けて寝ているから、夜はそこまで暑くないそうなのですが、窓を閉め切って寝ている兄の部屋はとんでもない暑さだと、母が言っていました。

 

「おにいちゃんが会社に行った後に、おにいちゃんの部屋に入るんだけど、とんでもなく蒸し暑い」と母から聞きます。

このままだと母か兄が、暑さで亡くなるのではないかと心配です。

 

実家には扇風機の他に冷風機があるのですが、兄が家にいる時間は「音がうるさい!」と言われて使えることが出来ないそうです。

 

母の事が心配なので、暑い夏よ、早く過ぎてくれ!と心から願います。