昭和二十二年法律第百二十号

 

国家公務員法

 

 

  目次

 

第一章 総則第一条第二条左矢印ここから

第二章 中央人事行政機関第三条第二十六条

第三章 職員に適用される基準

第一節 通則第二十七条第三十二条

第二節 採用試験及び任免第三十三条第三十三条の二

第一款 通則第三十四条第四十一条

第二款 採用試験第四十二条第四十九条

第三款 採用候補者名簿第五十条第五十三条左矢印ここまで

第四款 任用第五十四条第六十条の二

第五款 休職、復職、退職及び免職第六十一条

第六款 幹部職員の任用等に係る特例第六十一条の二第六十一条の八

第七款 幹部候補育成課程第六十一条の九第六十一条の十一

第三節 給与第六十二条

第一款 通則第六十三条第六十七条

第二款 給与の支払第六十八条第七十条

第四節 人事評価第七十条の二第七十条の四

第四節の二 研修第七十条の五第七十条の七

第五節 能率第七十一条第七十三条の二

第六節 分限、懲戒及び保障第七十四条

第一款 分限

第一目 降任、休職、免職等第七十五条第八十一条

第二目 管理監督職勤務上限年齢による降任等第八十一条の二第八十一条の五

第三目 定年による退職等第八十一条の六第八十一条の八

第二款 懲戒第八十二条第八十五条

第三款 保障

第一目 勤務条件に関する行政措置の要求第八十六条第八十八条

第二目 職員の意に反する不利益な処分に関する審査第八十九条第九十二条の二

第三目 公務傷病に対する補償第九十三条第九十五条

第七節 服務第九十六条第百六条

第八節 退職管理

第一款 離職後の就職に関する規制第百六条の二第百六条の四

第二款 再就職等監視委員会第百六条の五第百六条の二十二

第三款 雑則第百六条の二十三第百六条の二十七

第九節 退職年金制度第百七条第百八条

第十節 職員団体第百八条の二第百八条の七

第四章 罰則第百九条第百十三条

附則

 

  第一章 総則

 

(この法律の目的及び効力)

第一条 この法律は、国家公務員たる職員について適用すべき各般の根本基準(職員の福祉及び利益を保護するための適切な措置を含む。)を確立し、職員がその職務の遂行に当り、最大の能率を発揮し得るように、民主的な方法で、選択され、且つ、指導さるべきことを定め、以て国民に対し、公務の民主的且つ能率的な運営を保障することを目的とする。

② この法律は、もつぱら日本国憲法第七十三条にいう官吏に関する事務を掌理する基準を定めるものである。

③ 何人も、故意に、この法律又はこの法律に基づく命令に違反し、又は違反を企て若しくは共謀してはならない。又、何人も、故意に、この法律又はこの法律に基づく命令の施行に関し、虚偽行為をなし、若しくはなそうと企て、又はその施行を妨げてはならない。

④ この法律のある規定が、効力を失い、又はその適用が無効とされても、この法律の他の規定又は他の関係における適用は、その影響を受けることがない。

⑤ この法律の規定が、従前の法律又はこれに基く法令と矛盾し又は触する場合には、この法律の規定が、優先する。

(一般職及び特別職)

第二条 国家公務員の職は、これを一般職と特別職とに分つ。

② 一般職は、特別職に属する職以外の国家公務員の一切の職を包含する。

③ 特別職は、次に掲げる職員の職とする。

一 内閣総理大臣

二 国務大臣

三 人事官及び検査官

四 内閣法制局長官

五 内閣官房副長官

五の二 内閣危機管理監

五の三 国家安全保障局長

五の四 内閣官房副長官補、内閣広報官及び内閣情報官

六 内閣総理大臣補佐官

七 副大臣

七の二 大臣政務官

七の三 大臣補佐官

七の四 デジタル監

八 内閣総理大臣秘書官及び国務大臣秘書官並びに特別職たる機関の長の秘書官のうち人事院規則で指定するもの

九 就任について選挙によることを必要とし、あるいは国会の両院又は一院の議決又は同意によることを必要とする職員

十 宮内庁長官、侍従長、東宮大夫、式部官長及び侍従次長並びに法律又は人事院規則で指定する宮内庁のその他の職員

十一 特命全権大使、特命全権公使、特派大使、政府代表、全権委員、政府代表又は全権委員の代理並びに特派大使、政府代表又は全権委員の顧問及び随員

十一の二 日本ユネスコ国内委員会の委員

十二 日本学士院会員

十二の二 日本学術会議会員

十三 裁判官及びその他の裁判所職員

十四 国会職員

十五 国会議員の秘書

十六 防衛省の職員(防衛省に置かれる合議制の機関で防衛省設置法(昭和二十九年法律第百六十四号)第四十一条の政令で定めるものの委員及び同法第四条第一項第二十四号又は第二十五号に掲げる事務に従事する職員で同法第四十一条の政令で定めるもののうち、人事院規則で指定するものを除く。)

十七 独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第四項に規定する行政執行法人(以下「行政執行法人」という。)の役員

④ この法律の規定は、一般職に属するすべての職(以下その職を官職といい、その職を占める者を職員という。)に、これを適用する。人事院は、ある職が、国家公務員の職に属するかどうか及び本条に規定する一般職に属するか特別職に属するかを決定する権限を有する。

⑤ この法律の規定は、この法律の改正法律により、別段の定がなされない限り、特別職に属する職には、これを適用しない。

⑥ 政府は、一般職又は特別職以外の勤務者を置いてその勤務に対し俸給、給料その他の給与を支払つてはならない。

⑦ 前項の規定は、政府又はその機関と外国人の間に、個人的基礎においてなされる勤務の契約には適用されない。

 

  第二章 中央人事行政機関

 

(人事院)

第三条 内閣の所轄の下に人事院を置く。人事院は、この法律に定める基準に従つて、内閣に報告しなければならない。

② 人事院は、法律の定めるところに従い、給与その他の勤務条件の改善及び人事行政の改善に関する勧告、採用試験(採用試験の対象官職及び種類並びに採用試験により確保すべき人材に関する事項を除く。)、任免(標準職務遂行能力、採用昇任等基本方針、幹部職員の任用等に係る特例及び幹部候補育成課程に関する事項(第三十三条第一項に規定する根本基準の実施につき必要な事項であつて、行政需要の変化に対応するために行う優れた人材の養成及び活用の確保に関するものを含む。)を除く。)、給与(一般職の職員の給与に関する法律(昭和二十五年法律第九十五号)第六条の二第一項の規定による指定職俸給表の適用を受ける職員の号俸の決定の方法並びに同法第八条第一項の規定による職務の級の定数の設定及び改定に関する事項を除く。)、研修(第七十条の六第一項第一号に掲げる観点に係るものに限る。)の計画の樹立及び実施並びに当該研修に係る調査研究、分限、懲戒、苦情の処理、職務に係る倫理の保持その他職員に関する人事行政の公正の確保及び職員の利益の保護等に関する事務をつかさどる。

③ 法律により、人事院が処置する権限を与えられている部門においては、人事院の決定及び処分は、人事院によつてのみ審査される。

④ 前項の規定は、法律問題につき裁判所に出訴する権利に影響を及ぼすものではない。

(国家公務員倫理審査会)

第三条の二 前条第二項の所掌事務のうち職務に係る倫理の保持に関する事務を所掌させるため、人事院に国家公務員倫理審査会を置く。

② 国家公務員倫理審査会に関しては、この法律に定めるもののほか、国家公務員倫理法(平成十一年法律第百二十九号)の定めるところによる。

(職員)

第四条 人事院は、人事官三人をもつて、これを組織する。

② 人事官のうち一人は、総裁として命ぜられる。

③ 人事院は、事務総長及び予算の範囲内においてその職務を適切に行うため必要とする職員を任命する。

④ 人事院は、その内部機構を管理する。国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)は、人事院には適用されない。

(人事官)

第五条 人事官は、人格が高潔で、民主的な統治組織と成績本位の原則による能率的な事務の処理に理解があり、かつ、人事行政に関し識見を有する年齢三十五年以上の者のうちから、両議院の同意を経て、内閣が任命する。

② 人事官の任免は、天皇が認証する。

③ 次の各号のいずれかに該当する者は、人事官となることができない。

一 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者

二 禁錮以上の刑に処せられた者又は第四章に規定する罪を犯し、刑に処せられた者

三 第三十八条第二号又は第四号に該当する者

④ 任命の日以前五年間において、政党の役員、政治的顧問その他これらと同様な政治的影響力を有する政党員であつた者又は任命の日以前五年間において、公選による国若しくは都道府県の公職の候補者となつた者は、人事院規則で定めるところにより、人事官となることができない。

⑤ 人事官の任命については、そのうちの二人が、同一の政党に属し、又は同一の大学学部を卒業した者となることとなつてはならない。

(宣誓及び服務)

第六条 人事官は、任命後、人事院規則の定めるところにより、最高裁判所長官の面前において、宣誓書に署名してからでなければ、その職務を行つてはならない。

② 第三章第七節の規定は、人事官にこれを準用する。

(任期)

第七条 人事官の任期は、四年とする。但し、補欠の人事官は、前任者の残任期間在任する。

② 人事官は、これを再任することができる。但し、引き続き十二年を超えて在任することはできない。

③ 人事官であつた者は、退職後一間年は、人事院の官職以外の官職に、これを任命することができない。

(退職及び罷免)

第八条 人事官は、左の各号の一に該当する場合を除く外、その意に反して罷免されることがない。

一 第五条第三項各号の一に該当するに至つた場合

二 国会の訴追に基き、公開の弾劾手続により罷免を可とすると決定された場合

三 任期が満了して、再任されず又は人事官として引き続き十二年在任するに至つた場合

② 前項第二号の規定による弾劾の事由は、左に掲げるものとする。

一 心身の故障のため、職務の遂行に堪えないこと

二 職務上の義務に違反し、その他人事官たるに適しない非行があること

③ 人事官の中、二人以上が同一の政党に属することとなつた場合においては、これらの者の中一人以外の者は、内閣が両議院の同意を経て、これを罷免するものとする。

④ 前項の規定は、政党所属関係について異動のなかつた人事官の地位に、影響を及ぼすものではない。

(人事官の弾劾)

第九条 人事官の弾劾の裁判は、最高裁判所においてこれを行う。

② 国会は、人事官の弾劾の訴追をしようとするときは、訴追の事由を記載した書面を最高裁判所に提出しなければならない。

③ 国会は、前項の場合においては、同項に規定する書面の写を訴追に係る人事官に送付しなければならない。

④ 最高裁判所は、第二項の書面を受理した日から三十日以上九十日以内の間において裁判開始の日を定め、その日の三十日以前までに、国会及び訴追に係る人事官に、これを通知しなければならない。

⑤ 最高裁判所は、裁判開始の日から百日以内に判決を行わなければならない。

⑥ 人事官の弾劾の裁判の手続は、裁判所規則でこれを定める。

⑦ 裁判に要する費用は、国庫の負担とする。

(人事官の給与)

第十条 人事官の給与は、別に法律で定める。

(総裁)

第十一条 人事院総裁は、人事官の中から、内閣が、これを命ずる。

② 人事院総裁は、院務を総理し、人事院を代表する。

③ 人事院総裁に事故のあるとき、又は人事院総裁が欠けたときは、先任の人事官が、その職務を代行する。

(人事院会議)

第十二条 定例の人事院会議は、人事院規則の定めるところにより、少なくとも一週間に一回、一定の場所において開催することを常例としなければならない。

② 人事院会議の議事は、すべて議事録として記録しておかなければならない。

③ 前項の議事録は、幹事がこれを作成する。

④ 人事院の事務処理の手続に関し必要な事項は、人事院規則でこれを定める。

⑤ 事務総長は、幹事として人事院会議に出席する。

⑥ 人事院は、次に掲げる権限を行う場合においては、人事院の議決を経なければならない。

一 人事院規則の制定及び改廃

二 削除

三 第二十二条の規定による関係大臣その他の機関の長に対する勧告

四 第二十三条の規定による国会及び内閣に対する意見の申出

五 第二十四条の規定による国会及び内閣に対する報告

六 第二十八条の規定による国会及び内閣に対する勧告

七 第四十八条の規定による試験機関の指定

八 第六十条の規定による臨時的任用及びその更新に対する承認、臨時的任用に係る職員の員数の制限及びその資格要件の決定並びに臨時的任用の取消(人事院規則の定める場合を除く。)

九 第六十七条の規定による給与に関する法律に定める事項の改定案の作成並びに国会及び内閣に対する勧告

十 第八十七条の規定による事案の判定

十一 第九十二条の規定による処分の判定

十二 第九十五条の規定による補償に関する重要事項の立案

十三 第百三条第五項の審査請求に対する裁決

十四 第百八条の規定による国会及び内閣に対する意見の申出

十五 第百八条の三第六項の規定による職員団体の登録の効力の停止及び取消し

十六 その他人事院の議決によりその議決を必要とされた事項

(事務総局及び予算)

第十三条 人事院に事務総局及び法律顧問を置く。

② 事務総局の組織及び法律顧問に関し必要な事項は、人事院規則でこれを定める。

③ 人事院は、毎会計年度の開始前に、次の会計年度においてその必要とする経費の要求書を国の予算に計上されるように内閣に提出しなければならない。この要求書には、土地の購入、建物の建造、事務所の借上、家具、備品及び消耗品の購入、俸給及び給料の支払その他必要なあらゆる役務及び物品に関する経費が計上されなければならない。

④ 内閣が、人事院の経費の要求書を修正する場合においては、人事院の要求書は、内閣により修正された要求書とともに、これを国会に提出しなければならない。

⑤ 人事院は、国会の承認を得て、その必要とする地方の事務所を置くことができる。

(事務総長)

第十四条 事務総長は、総裁の職務執行の補助者となり、その一般的監督の下に、人事院の事務上及び技術上のすべての活動を指揮監督し、人事院の職員について計画を立て、募集、配置及び指揮を行い、又、人事院会議の幹事となる。

(人事院の職員の兼職禁止)

第十五条 人事官及び事務総長は、他の官職を兼ねてはならない。

(人事院規則及び人事院指令)

第十六条 人事院は、その所掌事務について、法律を実施するため、又は法律の委任に基づいて、人事院規則を制定し、人事院指令を発し、及び手続を定める。人事院は、いつでも、適宜に、人事院規則を改廃することができる。

② 人事院規則及びその改廃は、官報をもつて、これを公布する。

③ 人事院は、この法律に基いて人事院規則を実施し又はその他の措置を行うため、人事院指令を発することができる。

(人事院の調査)

第十七条 人事院又はその指名する者は、人事院の所掌する人事行政に関する事項に関し調査することができる。

② 人事院又は前項の規定により指名された者は、同項の調査に関し必要があるときは、証人を喚問し、又調査すべき事項に関係があると認められる書類若しくはその写の提出を求めることができる。

③ 人事院は、第一項の調査(職員の職務に係る倫理の保持に関して行われるものに限る。)に関し必要があると認めるときは、当該調査の対象である職員に出頭を求めて質問し、又は同項の規定により指名された者に、当該職員の勤務する場所(職員として勤務していた場所を含む。)に立ち入らせ、帳簿書類その他必要な物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。

④ 前項の規定により立入検査をする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があつたときは、これを提示しなければならない。

⑤ 第三項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

(国家公務員倫理審査会への権限の委任)

第十七条の二 人事院は、前条の規定による権限(職員の職務に係る倫理の保持に関して行われるものに限り、かつ、第九十条第一項に規定する審査請求に係るものを除く。)を国家公務員倫理審査会に委任する。

(給与の支払の監理)

第十八条 人事院は、職員に対する給与の支払を監理する。

② 職員に対する給与の支払は、人事院規則又は人事院指令に反してこれを行つてはならない。

(内閣総理大臣)

第十八条の二 内閣総理大臣は、法律の定めるところに従い、採用試験の対象官職及び種類並びに採用試験により確保すべき人材に関する事務、標準職務遂行能力、採用昇任等基本方針、幹部職員の任用等に係る特例及び幹部候補育成課程に関する事務(第三十三条第一項に規定する根本基準の実施につき必要な事務であつて、行政需要の変化に対応するために行う優れた人材の養成及び活用の確保に関するものを含む。)、一般職の職員の給与に関する法律第六条の二第一項の規定による指定職俸給表の適用を受ける職員の号俸の決定の方法並びに同法第八条第一項の規定による職務の級の定数の設定及び改定に関する事務並びに職員の人事評価(任用、給与、分限その他の人事管理の基礎とするために、職員がその職務を遂行するに当たり発揮した能力及び挙げた業績を把握した上で行われる勤務成績の評価をいう。以下同じ。)、研修、能率、厚生、服務、退職管理等に関する事務(第三条第二項の規定により人事院の所掌に属するものを除く。)をつかさどる。

② 内閣総理大臣は、前項に規定するもののほか、各行政機関がその職員について行なう人事管理に関する方針、計画等に関し、その統一保持上必要な総合調整に関する事務をつかさどる。

(内閣総理大臣の調査)

第十八条の三 内閣総理大臣は、職員の退職管理に関する事項(第百六条の二から第百六条の四までに規定するものに限る。)に関し調査することができる。

② 第十七条第二項から第五項までの規定は、前項の規定による調査について準用する。この場合において、同条第二項中「人事院又は前項の規定により指名された者は、同項」とあるのは「内閣総理大臣は、第十八条の三第一項」と、同条第三項中「第一項の調査(職員の職務に係る倫理の保持に関して行われるものに限る。)」とあるのは「第十八条の三第一項の調査」と、「対象である職員」とあるのは「対象である職員若しくは職員であつた者」と、「同項の規定により指名された者に、当該職員」とあるのは「当該職員」と、「立ち入らせ」とあるのは「立ち入り」と、「検査させ、又は関係者に質問させる」とあるのは「検査し、若しくは関係者に質問する」と読み替えるものとする。

(再就職等監視委員会への権限の委任)

第十八条の四 内閣総理大臣は、前条の規定による権限を再就職等監視委員会に委任する。

(内閣総理大臣の援助等)

第十八条の五 内閣総理大臣は、職員の離職に際しての離職後の就職の援助を行う。

② 内閣総理大臣は、官民の人材交流(国と民間企業との間の人事交流に関する法律(平成十一年法律第二百二十四号)第二条第三項に規定する交流派遣及び民間企業に現に雇用され、又は雇用されていた者の職員への第三十六条ただし書の規定による採用その他これらに準ずるものとして政令で定めるものをいう。第五十四条第二項第七号において同じ。)の円滑な実施のための支援を行う。

(官民人材交流センターへの事務の委任)

第十八条の六 内閣総理大臣は、前条に規定する事務を官民人材交流センターに委任する。

② 内閣総理大臣は、前項の規定により委任する事務について、その運営に関する指針を定め、これを公表する。

(官民人材交流センター)

第十八条の七 内閣府に、官民人材交流センターを置く。

② 官民人材交流センターは、この法律及び他の法律の規定によりその権限に属させられた事項を処理する。

③ 官民人材交流センターの長は、官民人材交流センター長とし、内閣官房長官をもつて充てる。

④ 官民人材交流センター長は、官民人材交流センターの事務を統括する。

⑤ 官民人材交流センター長は、官民人材交流センターの所掌事務を遂行するために必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求め、又は意見を述べることができる。

⑥ 官民人材交流センターに、官民人材交流副センター長を置く。

⑦ 官民人材交流副センター長は、官民人材交流センター長の職務を助ける。

⑧ 官民人材交流センターに、所要の職員を置く。

⑨ 内閣総理大臣は、官民人材交流センターの所掌事務の全部又は一部を分掌させるため、所要の地に、官民人材交流センターの支所を置くことができる。

⑩ 第三項から前項までに定めるもののほか、官民人材交流センターの組織に関し必要な事項は、政令で定める。

(人事記録)

第十九条 内閣総理大臣は、職員の人事記録に関することを管理する。

② 内閣総理大臣は、内閣府、デジタル庁、各省その他の機関をして、当該機関の職員の人事に関する一切の事項について、人事記録を作成し、これを保管せしめるものとする。

③ 人事記録の記載事項及び様式その他人事記録に関し必要な事項は、政令でこれを定める。

④ 内閣総理大臣は、内閣府、デジタル庁、各省その他の機関によつて作成保管された人事記録で、前項の規定による政令に違反すると認めるものについて、その改訂を命じ、その他所要の措置をなすことができる。

(統計報告)

第二十条 内閣総理大臣は、政令の定めるところにより、職員の在職関係に関する統計報告の制度を定め、これを実施するものとする。

② 内閣総理大臣は、前項の統計報告に関し必要があるときは、関係庁に対し随時又は定期に一定の形式に基いて、所要の報告を求めることができる。

(権限の委任)

第二十一条 人事院又は内閣総理大臣は、それぞれ人事院規則又は政令の定めるところにより、この法律に基づく権限の一部を他の機関をして行なわせることができる。この場合においては、人事院又は内閣総理大臣は、当該事務に関し、他の機関の長を指揮監督することができる。

(人事行政改善の勧告)

第二十二条 人事院は、人事行政の改善に関し、関係大臣その他の機関の長に勧告することができる。

② 前項の場合においては、人事院は、その旨を内閣に報告しなければならない。

(法令の制定改廃に関する意見の申出)

第二十三条 人事院は、この法律の目的達成上、法令の制定又は改廃に関し意見があるときは、その意見を国会及び内閣に同時に申し出なければならない。

(人事院規則の制定改廃に関する内閣総理大臣からの要請)

第二十三条の二 内閣総理大臣は、この法律の目的達成上必要があると認めるときは、人事院に対し、人事院規則を制定し、又は改廃することを要請することができる。

② 内閣総理大臣は、前項の規定による要請をしたときは、速やかに、その内容を公表するものとする。

(業務の報告)

第二十四条 人事院は、毎年、国会及び内閣に対し、業務の状況を報告しなければならない。

② 内閣は、前項の報告を公表しなければならない。

(人事管理官)

第二十五条 内閣府、デジタル庁及び各省並びに政令で指定するその他の機関には、人事管理官を置かなければならない。

② 人事管理官は、人事に関する部局の長となり、前項の機関の長を助け、人事に関する事務を掌る。この場合において、人事管理官は、中央人事行政機関との緊密な連絡及びこれに対する協力につとめなければならない。

第二十六条 削除

 

  第三章 職員に適用される基準

 

 

  第一節 通則

 

(平等取扱いの原則)

第二十七条 全て国民は、この法律の適用について、平等に取り扱われ、人種、信条、性別、社会的身分、門地又は第三十八条第四号に該当する場合を除くほか政治的意見若しくは政治的所属関係によつて、差別されてはならない。

(人事管理の原則)

第二十七条の二 職員の採用後の任用、給与その他の人事管理は、職員の採用年次、合格した採用試験の種類及び第六十一条の九第二項第二号に規定する課程対象者であるか否か又は同号に規定する課程対象者であつたか否かにとらわれてはならず、この法律に特段の定めがある場合を除くほか、人事評価に基づいて適切に行われなければならない。

(情勢適応の原則)

第二十八条 この法律及び他の法律に基づいて定められる職員の給与、勤務時間その他勤務条件に関する基礎事項は、国会により社会一般の情勢に適応するように、随時これを変更することができる。その変更に関しては、人事院においてこれを勧告することを怠つてはならない。

② 人事院は、毎年、少くとも一回、俸給表が適当であるかどうかについて国会及び内閣に同時に報告しなければならない。給与を決定する諸条件の変化により、俸給表に定める給与を百分の五以上増減する必要が生じたと認められるときは、人事院は、その報告にあわせて、国会及び内閣に適当な勧告をしなければならない。

第二十九条から第三十二条まで 削徐

 

 

  第二節 採用試験及び任免

 

 

(任免の根本基準)

第三十三条 職員の任用は、この法律の定めるところにより、その者の受験成績、人事評価又はその他の能力の実証に基づいて行わなければならない。

② 前項に規定する根本基準の実施に当たつては、次に掲げる事項が確保されなければならない。

一 職員の公正な任用

二 行政需要の変化に対応するために行う優れた人材の養成及び活用

③ 職員の免職は、法律に定める事由に基づいてこれを行わなければならない。

④ 第一項に規定する根本基準の実施につき必要な事項であつて第二項第一号に掲げる事項の確保に関するもの及び前項に規定する根本基準の実施につき必要な事項は、この法律に定めのあるものを除いては、人事院規則でこれを定める。

第三十三条の二 第五十四条第一項に規定する採用昇任等基本方針には、前条第一項に規定する根本基準の実施につき必要な事項であつて同条第二項第二号に掲げる事項の確保に関するものとして、職員の採用、昇任、降任及び転任に関する制度の適切かつ効果的な運用の確保に資する基本的事項を定めるものとする。

 

  第一款 通則

 

(定義)

第三十四条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

一 採用 職員以外の者を官職に任命すること(臨時的任用を除く。)をいう。

二 昇任 職員をその職員が現に任命されている官職より上位の職制上の段階に属する官職に任命することをいう。

三 降任 職員をその職員が現に任命されている官職より下位の職制上の段階に属する官職に任命することをいう。

四 転任 職員をその職員が現に任命されている官職以外の官職に任命することであつて前二号に定めるものに該当しないものをいう。

五 標準職務遂行能力 職制上の段階の標準的な官職の職務を遂行する上で発揮することが求められる能力として内閣総理大臣が定めるものをいう。

六 幹部職員 内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第五十条若しくは国家行政組織法第六条に規定する長官、同法第十八条第一項に規定する事務次官若しくは同法第二十一条第一項に規定する局長若しくは部長の官職又はこれらの官職に準ずる官職であつて政令で定めるもの(以下「幹部職」という。)を占める職員をいう。

七 管理職員 国家行政組織法第二十一条第一項に規定する課長若しくは室長の官職又はこれらの官職に準ずる官職であつて政令で定めるもの(以下「管理職」という。)を占める職員をいう。

② 前項第五号の標準的な官職は、係員、係長、課長補佐、課長その他の官職とし、職制上の段階及び職務の種類に応じ、政令で定める。

(欠員補充の方法)

第三十五条 官職に欠員を生じた場合においては、その任命権者は、法律又は人事院規則に別段の定のある場合を除いては、採用、昇任、降任又は転任のいずれか一の方法により、職員を任命することができる。但し、人事院が特別の必要があると認めて任命の方法を指定した場合は、この限りではない。

(採用の方法)

第三十六条 職員の採用は、競争試験によるものとする。ただし、係員の官職(第三十四条第二項に規定する標準的な官職が係員である職制上の段階に属する官職その他これに準ずる官職として人事院規則で定めるものをいう。第四十五条の二第一項において同じ。)以外の官職に採用しようとする場合又は人事院規則で定める場合には、競争試験以外の能力の実証に基づく試験(以下「選考」という。)の方法によることを妨げない。

第三十七条 削除

(欠格条項)

第三十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、人事院規則で定める場合を除くほか、官職に就く能力を有しない。

一 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者

二 懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から二年を経過しない者

三 人事院の人事官又は事務総長の職にあつて、第百九条から第百十二条までに規定する罪を犯し、刑に処せられた者

四 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者

(人事に関する不法行為の禁止)

第三十九条 何人も、次の各号のいずれかに該当する事項を実現するために、金銭その他の利益を授受し、提供し、要求し、若しくは授受を約束したり、脅迫、強制その他これに類する方法を用いたり、直接たると間接たるとを問わず、公の地位を利用し、又はその利用を提供し、要求し、若しくは約束したり、あるいはこれらの行為に関与してはならない。

一 退職若しくは休職又は任用の不承諾

二 採用のための競争試験(以下「採用試験」という。)若しくは任用の志望の撤回又は任用に対する競争の中止

三 任用、昇給、留職その他官職における利益の実現又はこれらのことの推薦

(人事に関する虚偽行為の禁止)

第四十条 何人も、採用試験、選考、任用又は人事記録に関して、虚偽又は不正の陳述、記載、証明、採点、判断又は報告を行つてはならない。

(受験又は任用の阻害及び情報提供の禁止)

第四十一条 試験機関に属する者その他の職員は、受験若しくは任用を阻害し、又は受験若しくは任用に不当な影響を与える目的を以て特別若しくは秘密の情報を提供してはならない。

 

  第二款 採用試験

 

(採用試験の実施)

第四十二条 採用試験は、この法律に基づく命令で定めるところにより、これを行う。

(受験の欠格条項)

第四十三条 第四十四条に規定する資格に関する制限の外、官職に就く能力を有しない者は、受験することができない。

(受験の資格要件)

第四十四条 人事院は、人事院規則により、受験者に必要な資格として官職に応じ、その職務の遂行に欠くことのできない最小限度の客観的且つ画一的な要件を定めることができる。

(採用試験の内容)

第四十五条 採用試験は、受験者が、当該採用試験に係る官職の属する職制上の段階の標準的な官職に係る標準職務遂行能力及び当該採用試験に係る官職についての適性を有するかどうかを判定することをもつてその目的とする。

(採用試験における対象官職及び種類並びに採用試験により確保すべき人材)

第四十五条の二 採用試験は、次に掲げる官職を対象として行うものとする。

一 係員の官職のうち、政策の企画及び立案又は調査及び研究に関する事務をその職務とする官職その他これらに類する官職であつて政令で定めるもの(第三号に掲げるものを除く。)

二 定型的な事務をその職務とする係員の官職その他の係員の官職(前号及び次号に掲げるものを除く。)

三 係員の官職のうち、特定の行政分野に係る専門的な知識を必要とする事務をその職務とする官職として政令で定めるもの

四 係員の官職より上位の職制上の段階に属する官職のうち、民間企業における実務の経験その他これに類する経験を有する者を採用することが適当なものとして政令で定めるもの

② 採用試験の種類は、次に掲げるとおりとする。

一 総合職試験(前項第一号に掲げる官職への採用を目的とした競争試験をいう。)であつて、一定の範囲の知識、技術その他の能力(以下この項において「知識等」という。)を有する者として政令で定めるものごとに、受験者が同号に掲げる官職の属する職制上の段階の標準的な官職に係る標準職務遂行能力及び同号に掲げる官職についての適性を有するかどうかを判定することを目的として行うそれぞれの採用試験

二 一般職試験(前項第二号に掲げる官職への採用を目的とした競争試験をいう。)であつて、一定の範囲の知識等を有する者として政令で定めるものごとに、受験者が同号に掲げる官職の属する職制上の段階の標準的な官職に係る標準職務遂行能力及び同号に掲げる官職についての適性を有するかどうかを判定することを目的として行うそれぞれの採用試験

三 専門職試験(前項第三号に掲げる官職への採用を目的とした競争試験をいう。)であつて、同号に規定する特定の行政分野に応じて一定の範囲の知識等を有する者として政令で定めるものごとに、受験者が同号に掲げる官職の属する職制上の段階の標準的な官職に係る標準職務遂行能力及び同号に掲げる官職についての適性を有するかどうかを判定することを目的として行うそれぞれの採用試験

四 経験者採用試験(前項第四号に掲げる官職への採用を目的とした競争試験をいう。)であつて、同号に規定する職制上の段階その他の官職に係る分類に応じて一定の範囲の知識等を有する者として政令で定めるものごとに、受験者が同号に掲げる官職の属する職制上の段階の標準的な官職に係る標準職務遂行能力及び同号に掲げる官職についての適性を有するかどうかを判定することを目的として行うそれぞれの採用試験

③ 採用試験により確保すべき人材に関する事項は、前項各号に掲げる採用試験の種類ごとに、政令で定める。

④ 前三項の政令は、人事院の意見を聴いて定めるものとする。

(採用試験の方法等)

第四十五条の三 採用試験の方法、試験科目、合格者の決定の方法その他採用試験に関する事項については、この法律に定めのあるものを除いては、前条第二項各号に掲げる採用試験の種類に応じ、人事院規則で定める。

(採用試験の公開平等)

第四十六条 採用試験は、人事院規則の定める受験の資格を有するすべての国民に対して、平等の条件で公開されなければならない。

(採用試験の告知)

第四十七条 採用試験の告知は、公告によらなければならない。

② 前項の告知には、その採用試験に係る官職についての職務及び責任の概要及び給与、受験の資格要件、採用試験の時期及び場所、願書の入手及び提出の場所、時期及び手続その他の必要な受験手続並びに人事院が必要と認めるその他の注意事項を記載するものとする。

③ 第一項の規定による公告は、人事院規則の定めるところにより、受験の資格を有するすべての者に対し、受験に必要な事項を周知させることができるように、これを行わなければならない。

④ 人事院は、受験の資格を有すると認められる者が受験するように、常に努めなければならない。

⑤ 人事院は、公告された採用試験又は実施中の採用試験を、取り消し又は変更することができる。

(試験機関)

第四十八条 採用試験は、人事院規則の定めるところにより、人事院の定める試験機関が、これを行う。

(採用試験の時期及び場所)

第四十九条 採用試験の時期及び場所は、国内の受験資格者が、無理なく受験することができるように、これを定めなければならない。

 

  第三款 採用候補者名簿

 

(名簿の作成)

第五十条 採用試験による職員の採用については、人事院規則の定めるところにより、採用候補者名簿を作成するものとする。

(採用候補者名簿に記載される者)

第五十一条 採用候補者名簿には、当該官職に採用することができる者として、採用試験において合格点以上を得た者の氏名及び得点を記載するものとする。

(名簿の閲覧)

第五十二条 採用候補者名簿は、受験者、任命権者その他関係者の請求に応じて、常に閲覧に供されなければならない。

(名簿の失効)

第五十三条 採用候補者名簿が、その作成後一年以上を経過したとき、又は人事院の定める事由に該当するときは、いつでも、人事院は、任意に、これを失効させることができる。