時間が限られている。
自分の家にいるだけなのに焦らされている。
また、あのカーテンで囲まれた場所に戻らなければならない。
母は自分の部屋に僕を呼んだ。
金庫の鍵やら暗証番号やらを教えてもらった。
身辺整理のつもりか。
まあ、いずれは聞かねばならないことだったので、黙って聞いた。
母の部屋をちゃんと見たことはない。
見渡すとブランド物の袋がたくさん。
ほとんど開けていない。
僕のその行動に気付いたか、ボソッと
「自分へのご褒美のつもりでね」
「本当に辛くて、そうでもしないと自分を奮い立たせることができなかった」
「今思うとバカなことしてたなぁと思うんだけど、自分をほめてあげたかったんだ」
と
また、胸が締め付けられた。
自分の母を自分と同じ膵臓ガンで亡くした。
夫もまた一年以上の闘病の末、ガンで亡くした。
そこからはもう地獄。
一人で子供二人を大学まで出し、あとは自分の人生をという矢先、自分の父の介護が始まり、それは3年前まで続いた。
ブランド物はその間15年で自然と集まったのだろう。
僕は苦しみを理解してあげられなかった。
正確には
理解してるつもりで、何も解っていなかった。
限られた外出の時間はもう終わる
家を出る間際
茶目っ気たっぷりに被っているニット帽を指差した。
「お前に貰った帽子!」
1年ほど前、誕生日に買ってやったものだ
健康のためウォーキングが日課になっていた母に寒いだろとプレゼントしていた。
大事に使ってくれてたんだね
自分の家にいるだけなのに焦らされている。
また、あのカーテンで囲まれた場所に戻らなければならない。
母は自分の部屋に僕を呼んだ。
金庫の鍵やら暗証番号やらを教えてもらった。
身辺整理のつもりか。
まあ、いずれは聞かねばならないことだったので、黙って聞いた。
母の部屋をちゃんと見たことはない。
見渡すとブランド物の袋がたくさん。
ほとんど開けていない。
僕のその行動に気付いたか、ボソッと
「自分へのご褒美のつもりでね」
「本当に辛くて、そうでもしないと自分を奮い立たせることができなかった」
「今思うとバカなことしてたなぁと思うんだけど、自分をほめてあげたかったんだ」
と
また、胸が締め付けられた。
自分の母を自分と同じ膵臓ガンで亡くした。
夫もまた一年以上の闘病の末、ガンで亡くした。
そこからはもう地獄。
一人で子供二人を大学まで出し、あとは自分の人生をという矢先、自分の父の介護が始まり、それは3年前まで続いた。
ブランド物はその間15年で自然と集まったのだろう。
僕は苦しみを理解してあげられなかった。
正確には
理解してるつもりで、何も解っていなかった。
限られた外出の時間はもう終わる
家を出る間際
茶目っ気たっぷりに被っているニット帽を指差した。
「お前に貰った帽子!」
1年ほど前、誕生日に買ってやったものだ
健康のためウォーキングが日課になっていた母に寒いだろとプレゼントしていた。
大事に使ってくれてたんだね