普段聞く外来語の中から間違った用法を指摘し、恥かかないようにちゃんと使いましょう、というコーナーです。
最近良く聞くリスクヘッジという言葉。金融から派生した言葉なので使うとちょっと知ってる人っぽくてカッコいい。ただ、大抵使い方を間違えているのでちょっと恥ずかしい。

『リスク』はリスクで良いとして、『ヘッジ』は何だろう?ヘッジとは、垣根とかそういう意味なのだが、ニュアンスとしては『何か直接的なインパクトを抑制するもの』というのが正しい。オブラートとか、防風林、のような感じである。ようは、リスクヘッジとは、リスクが直接かかっているところを軽減させる、という意味である。

間違いの大半は、『リスクを避ける』のように使うことである。リスクは、避けない。オブラートで包んだって薬は飲むし、防風林があっても風は受けるのである。避ける事はリスク・アバージョン(risk aversion)といい、意味が全く違う。ヘッジとは、あくまで『利益を多少減らしたとしても、損益が出た場合のダメージを押さえる』というところがミソである。リスクヘッジは、そう考えるとなかなか会話の中に使う事が難しい。

ちなみに、先物取引はリスクヘッジの代表例であるが、先物取引とは元来ギャンブル性の高い市場として存在しているのではない。正しくは、自分が取引する商品と同じ商品を先物取引でも売買し、リスクヘッジするのが正しい用法である。先物とは、必ず将来の在る時点での金額が決まっている商品の購買権を取引する、つまり『1ヶ月後100円のモノ、今いくらなら買う?』という取引である。将来の値段が決まっている為、長い話を短くすると、現在の値段と逆の動きをする。よって、先物を買うことにより上手くいっている時の利益は減るが、上手くいかなくなったときのダメージも大幅に削減出来る。これがリスクヘッジである。

間違って使うとカッコわるい。気を付けよう!


はし