ヤフー、ヤンCEOが辞任(WSJ→日経)

来るとは分かっていても、いざ来ると悲しいものだ。
プレス用のコメントは別として、これは敗北宣言である。

間髪入れずにマイクロソフトCEOのバルマーがM&A話を否定。ヤンの辞任でマイクロソフトとの合併の可能性を見据えて株価は一時的に上がったが、このコメントで一気に下落。マイクロソフトはもうヤフーとの合併は考えていないとあれ程言っていたのに、ヤンが辞めると復活すると多少なりとも見込んでいたのだろう。確かに、取締役会はあくまで破談になったマイクロソフトとの幻の新婚旅行に固執しているようだったが、この期に及んで『はいそうですか』というバカはいない。マイクロソフトからすると、今回のM&A破談はヤフーの一方的な拒絶でしかない。

ヤンは辞めさせられたと見るのが正しい。まぁ、当たり前である。未だ後任も決まっていない状況での辞任、ということはよっぽど急いだのだろう。ヤンの辞任で下落し続ける株価が持ち直すとまでは思っていなかっただろうが、切羽詰まった感はある。こうなったら、ヤンを降ろしてマイクロソフトとの共同歩調に動く事に活路を見出したいのかもしれない。マイクロソフト無しでも独自路線で行けると踏んだヤンが失敗した今、社内でそれを止める余力はもう残っていないだろう。ヤンをクビにするのは勝手だが、あまり綿密に計画されたようには見えない。何だか投げやりである。

ヤンに特別な思いは無い。ただ、ヤフーを作り上げた、不器用だが新進気鋭で熱い気持ちもある、好感の持てる起業家の1人だった。マイクロソフトからのM&Aオファーの時、彼の脳裏には何がよぎったんだろう?普通の起業家なら、超大金持ちになって引退出来る、起業家としてのゴールと見るのだろう。普通起業家は、自分が買収する側に立たない限り、買収は断らない。ただ、オファーを見て『安く見られた』と感じたんだろうか?それとも共にやってきた社員の顔が過ったのだろうか?新聞記事は前者と言うが、それは分からない。

彼は、ほんとにいい人なんだと私は思う。


はし