僕が洗礼を受けた理由を
話したことがあったでせうか?

高校に入学した頃から
僕はほんのり真面目に
神様のお勉強をしていました

それでも
クリスマスやイースターが
くりかえしやって来る度
僕は受洗することをやめておりました

高校も卒業してしまった頃でした

たしか春だったかと思います

入門式の前でした

「ゴミ」と言われました

僕はゴミだから
神様は選んだのだといいました

だから受洗を決めました

ゴミだと
僕がいることは罪だと
認めたかったのです

罪でも
生きていたかった

息をしていたかった





いつでも
僕が口にしたことは
嘘になりました

残酷なことをいいました

あの時もし
僕があんなことを言わなければ
今も変わらず
傍に笑っていてくれたでせうか

「じゃあまたすぐに会えるね」

会えませんでしたね、
彼はその夜、ニュースになりました

残酷なことをしました

僕は悪い子でした

どうして今も生かされているのか

いっそ僕を罰してほしかった

ずっとずっと

そのことを考えておりました



そのことを
思い出しておりました



僕の幻想は
声にしてはいけないんだ

夢は夢のままで
眠らせておくべきでした



後悔はしたことがないの

強がりを繰り返して
此処まで参りました

どうして今もまた
過去を悔やんでいるのでせう



からだがあつい

ずっと此処にいて
此処で眠っていたら
明日には溶けてしまえているだろうか



ダメだ

ダメみたい

あっちのほうで
きいの遊んでる音がする

だからきっと
「ねーちゃん、なんでここにいるの?」
「いえでねなさい、ね」
そう宥められて
僕はまた朝を迎えるでせう



ときどき
思うことがあります



この家族は
僕がいないほうがうんと
幸せに暮らしていけたのではないかと

なんども
世界を終わらせることを考えました

ですが僕はまだ
罪を償わなくてはなりません



天使などではないんです

僕は

残酷な子でした

とても、悪い子でした



さよなら

さよなら



出来ることならもういちど
その手に触れたかったです



何処までも
罪深き僕を神様
どうか
あなただけは
お許しくださいますように



もう
誰にも何も望みません

ひとりきり
生きてまいります



picka

c l a p *