記憶の映像が
沸々と沸き上がり
頭の中で踊っては
ふっと
去ってゆく
いつもなら
思い出さないような
ちいさな日常が
ことこまかく
流れる
2歳の
あのゆきだるまから
連なってきた
記憶を
消し去ることが
できないまま
今日まで
生きてきたんだ
相変わらず
空はきれいで
僕は此処にいて
やっぱり
遠い地に夢を馳せ
毎日を
過ごしている
部屋の外で
声を枯らす蝉が
だんだんと
減ってゆくのが
わかる
郵便屋さんの
バイクの音が
静かな
夏の昼下がりに
ただただ
響く
吹き抜ける風に
挨拶をして
ひとり
立ち尽くす
いったい何を
時折聞こえる
子供たちの
澄んだ声が
僕を現実に戻す
ゆらゆら
揺れる木漏れ日を
窓の向こうに眺めて
懐かしい日々を
思い起こす
僕は
おもちゃのカメラを
首から下げて
あちこち
走り回った
光が漏れたように
オレンジに写るのが
なんだか好きだった
あの頃
僕がとった写真は
今何処にあるんだろう
あんな写真は
もう2度と
撮れやしないよ
ネガさえ
残っていたら
また
見れるのにな
あの時の
僕は
もう何処にも
いやしない
時の流れは
残酷で
やさしいね
やっぱり
閉じ込めて
おきたかった
標本のように
すべての瞬間を
お人形のように
閉じ込めて
ほしかったの
あの時で
止まってしまった
僕を撮れる人は
きっともう
現れやしない
キラキラと
またたく
星のようであったなら
写真に
閉じ込められやしないこと
いいわけに
できたはずだのに
記憶の渦を
破壊して
いつかは
消し去って
でも
だめ
永遠のために
記憶だけは
消し去るわけにはいかないの
そこにしか
永遠はないから
ないんだから
繰り返す想いに
終わりは来ない
続いていく
哀しいほどに
美しいもの
続いていくんだ
限りなく
拡がる空のように
いつまでも
どこまでも
けっして
留まることを知らず
記憶たちを
かき集めて
描いた夢に
何が重なっても
もう
変えることはできない
かくれんぼは終わりにしよう
嘘も偽りも
言い訳すらも投げ棄てて
きっと僕は
やめることをしないんだ
紡ぐことも
願うことも
何もかもを
いったでしょ
つくることを
やめることはないよ
カタチにはならなくても
つくってるよ
毎日
それが
僕のやり方なんだ
だから
終わりはしない
この
記憶と同じように
picka