すみませーん
歌っているのは
決して岸田今日子
ではありませんから!

 北イタリアの主要都市を潤しポー川は、ロンバルディア平原を傍流しながら、生まれ故郷ジェノバのガリバルディ通りに涼気をもたらしつつ、ついにリグリア海へと潅ぐ。
 後期マティア・バザール第二作目「歌が叶う地平まで」のトップチューン “あなたへ捧ぐ” は彼らの全身全霊を持って昇華した至高の一曲となった。
 天啓を得たかのような絶妙のメランコリックかつアップなメロディを謳うラウラ・ヴァレンテカルロ・マッラーレの力強いデュエットは、しかしながら侘び寂びにも似た知足天な間[ma]を持って曲自体を俯瞰する。
Bellissimo e Perfetto !!
 ほぼ恒例となったサンレモ音楽祭の93年出品作でもあり、本国ではいまだに愛される曲である。
 このような良質なポップスがワールドワイドに評価されないことは悲しい事実である。
 マティア・バザールは、ラウラのヴォーカル体制で98年まで活動したのち、幾度かヴォーカリストをすげ替えながら失速してゆく。
おわり

※ 99年に帰還したオリジナルメンバー:Piero Cassano により精気を取り戻した彼らの本国人気曲のカヴァーシリーズ(2007,2008)は極めて力強い出来栄えで巻き返しも期待されたが、実り薄く、要のゴルツィが死亡、遂にカッサーノ翁も2017年に失脚。現在オリジナルメンバーを失い低迷を続けている模様。

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