希世の歌姫
レベッカ・デル・リオを廻る
ザ・ドゥルッティ・コラム
と私の共時性

 デヴィッド・リンチ監督のカルトにして絶大な人気を誇る映画「マルホランド・ドライヴ」のなかで〝ハリウッドの泣き女〟ことレベッカ・デル・リオが劇中にも登場して “Llorando [ジョーランドー]” を謳うシーンは一際劇的である。
 世界を見渡しても彼女しかいないと思われる独特のファルセット唱法で高らかに謳いあげられるその曲は、文字通り劇中の主人公共々、魂を抜かれそうになる程に引き込まれてしまう。圧倒的とは正にこの為にある言葉だ。
 原曲はロイ・オービソンの “Crying” だが、そんなことはどうでもよろしい。もう遥か彼方へ凌駕する別曲と考えたし。音楽と歌の破壊力をまざまざと魅せつけてくれるだろう。 
 彼女の別のオリジナル曲も大変良いのでおまけで貼っておく。フラメンキーなものとはまた異なる艶やかなエスパニョーラの歌姫である。

 さて、私と同様にこの曲に感銘を受けているアーティストがいた。
 私が敬愛するザ・ドゥルッティ・コラムことヴィニ・ライリーである。何と言う事であろうか‼️
 正しくユングの提唱する共時性なのだろう。

  “エスパニッシュの嘆き” と題されたこの曲は、レベッカのジョーランドーをサンプリングし、ヴィニが自らの穏やかなギターで包み込む形式により、その荒ぶる悲しみを鎮める:鎮魂歌の如く優しい無常観に満ちたものとなっている。
 DCに関しては現在健康上の理由もあり、今後は不透明であるが、それは筆者も期待を込めて待つことしかできない。しかしながら、ヴィニのアーティスト魂は真っ白になった今の彼の眼を観ても分かるのだ。。

おわり