二ヵ月前、

一度だけセッションさせてもらった

とあるファンクバンドのベーシストさんから

聞いた話。

 

 

「うちのバンドは

 クリック音とベースだけの音源を渡して、

 それで練習してきてもらうんです。

 ボーカルさんもね。」

 

 

当時私は、

「なるほど、

 リズムの練習になるもんね。」

くらいにしか思っていなかった、

愚かモノでした、

ゴメンナサイ。

 

 

 

 

先日バンドメンバーと入ったスタジオ練習。

ロック&ブルースな曲を歌っている時に、

突然、

二ヵ月前に意識がワープした。

 

 

 

「うちのバンドは

 クリック音とベースだけの音源を渡して、

 それで練習してきてもらうんです。

 ボーカルさんもね。」

 

 

 

あぁ、なるほど、

これ、

リズムの練習なんて簡単な話じゃなかったんだ。

 

 

なぜクリック音とベースなのか。

 

 

ここに答えが隠されていたんだ。

クリック音はもちろんリズム。

クリック音で小節を感じながら歌えば、

例え生演奏でリズムが走ってもついていけるし、

決め所でズレない。

 

 

そしてベース。

このアドバイスをくれたベーシストさんは

ファンクバンドだった。

ファンク創成期の曲を好んでいた彼の選曲は、

いつもシンプルで、

カッコイイ。

 

彼がベース音源を渡していた理由。

きっとそれは、

グルーヴを意識して欲しかったんだ。

シンプルな曲だから、

一人一人がベースの意図を汲んで

グルーヴを出さなければ、

けっしてカッコイイノリが生まれないと、

彼はそう考えていたのかもしれない。

 

 

 

それからもう一つ。

リズムとグルーヴを練習していけば、

スタジオの全体練習では

それ以外の練習に集中できるのだ。

 

 

個々の練習をしてスタジオ練習に入っても、

なかなか一体感とまではいかない。

 

「なんとか纏まりました」

 

止まりなのだ。

なんでだろう。

みんなそれぞれちゃんと演奏できているのに、

なぜ一体感が無いんだろう。

いったいどれほど全体練習すれば

一体感が生まれるのか。

 

そういつも思っていたのだが、

それと同時に、

歌いながら

ドラムのリズム聴いて

ベースのグルーヴ聴いて、

ギターの抑揚聴いて、

お互いがそれに合わせて、

時には補い合い、

時には同時に出して勢いを演出し、

一体となって曲を演奏する・・・

 

 

無理じゃね?

そんな同時にできないよ!!

 

 

そう思っていた。

でも全員がベースの意図を汲んでいる状態から

スタートできたら?

 

 

あとは微調整するだけでいいじゃん!!

 

 

 

あのベーシストさん、

めちゃくちゃ親切だったんだね、

今気がついたよ、

ゴメンナサイ。

それから、

私が思う彼の意図するものが正しいとしたなら、

彼のバンド、

その意図に

誰も気がついてないよ・・・。

 

 

 

 

そして、

意識はスタジオに戻る。

ロック&ブルースを歌う私の元へ。

 

 

あ、うん、

私、

ぜんっっっぜんリズムも

グルーヴも分かってないね。

全く進歩してないや。

 

理屈はなんとなく分かってきたけど、

これは体得するのに

年単位の時間が必要そうだ。