自分の歌に対して、私はネガティブだ。

だけどそれほど悪いことじゃないと思っている。

 

 

「まだダメだ」

 

 

そう思うからこそ練習するし、

その結果上達に繋がるんじゃないかと思う。

 

 

それでも時々、本当に時々だけど、上手く歌えたなと実感する瞬間がある。

「私上手くね?もう練習しなくてもいいんじゃね?」

 

 

そんな風に満足して足が止まってしまいそうな時用に、

常に携帯しているICレコーダーに入っている音源がある。

私の過去の歌い声だ。

 

CDを作る時と同じ環境で録音したその歌声は、

歌の下手さを浮き彫りにしている。

 

 

開始5秒で一時停止。

からの悶絶。

そして深呼吸5回。

覚悟を決めてもう一度再生。

たまらず吹き出す。

 

 

ここまでが1セット。

そうやって自戒の念を塩に込め、

傷が癒えてしまわないよう傷口に丹念に擦り込むのだ。

我ながらさすがにドMだ。

 

 

つい最近。

私の音楽生活に於いて大きな決断をした。

「大きな」というのは大げさかもしれないけれど、

それだけ苦渋の決断だったのだ。

 

私はもう39歳。

ダラダラやっているとあっという間に人生のピークなんて越えてしまうような年齢だ。

そんな中で下した決断は遠回りかもしれない、

無駄に終わるかもしれないし、

もしかしたら傷口に塗る塩が増えるだけかもしれない。

 

先なんて全く分からないけれど、

決断したならもうあとは前だけを見てひたすら全速力で突っ走るだけだ。

速過ぎて誰にも見えないくらいの速度で走ってやる。