祖父のノートパソコン | ペッターの話

ペッターの話

誰も見てないと思いながら書いてる

小学生の頃に読んで大好きだった

「パスワードはひ・み・つ」

という作品がある。

子供向けの推理小説でシリーズ一作目。

一作目、といいつつ

私が持っていたのはコレだけなので

以降は読んでいない。


主人公のマコトが電子探偵団へ入団する前。

新しいもの好きなお父さんか誰かが

パソコンとモデムを手に入れた。

その様子をマコトは

「きっとどうせ使うことができず

すぐに自分のところへ流れてくるだろう」

と踏んで眺めていたシーンが

印象に残っている。

マコトの目論見通り、少し経った頃

部屋にパソコンとモデムが置かれており

電子通信の環境を手に入れる、という導入だ。


このシーンにとても憧れた。

私の親は残念ながらパソコンが使えたので

流れてくる望みは無かった。

もらえるものといったら

せいぜい解約済みのガラケーくらいだ。



そんな話もすっかり忘れた大学生の時。

祖父がノートパソコンを買ったと

母から情報が入った。

富士通のノートパソコンだそうだ。

祖父はボランティア活動などで

文書を作成する機会が多いため

プリンターもセットで買ったらしい。

以前ワープロは使っていた記憶があるが

パソコンは無理だろう、と母が言った。


これは、マコトルートのチャンスでは?


早速母と一緒に祖父の家へ

パソコンを教えに行ったものの

その時点で既に祖父はお手上げ状態だった。

富士通独自のソフトが多くて

私と母もよく分からなかった。


程なくして、ノートパソコンとプリンターは

私の元へ流れてきた。

それまで自分のパソコンを持っておらず

リビングと繋がった和室で

絵を描いたり音楽を作っていたので

自部屋でパソコンを触れる嬉しさといったら。

そのおかげでゲーム実況も

出来るようにもなった。

ノートパソコンは熱がこもりやすく

本体と机の間に物を挟んで浮かせて

扇風機を当てておかないと

しょっちゅう固まってしまったが

それでも嬉しくてずっと使っていた。


弟にデスクトップパソコンを

作ってもらってからは

祖父のノートパソコンを使う機会は減ったが

Excelが入っていたため

月に1回は必ず立ち上げて

現金出納帳をつけていた。

それもコロナ禍のリモートワークのため

デスクトップにExcelを買ったあとからは

やらなくなって置物になった。


去年、実家を出る時に処分するため

ノートパソコンを置いていった。

プリンターは既に壊れてしまい

使えなくなっていた。

弟が亡くなった後、清掃業者に

私の不要物も合わせて引き取ってもらった。

祖父のノートパソコンとプリンターも

この時に処分した。


まさか、その半年後に

祖父が亡くなるなんて思っていなかった。

形見として残しておけば良かっただろうか。

断捨離がブームな昨今だが

捨てて後悔するものの方が多い気がするのは

物に執着し過ぎな証拠だろうか。