銭湯 | ペッターの話

ペッターの話

誰も見てないと思いながら書いてる

 

 

前にも書いた事があるが

私は風呂が嫌いだ。

極力入りたくないと思う。

前日の夜にお風呂に入ったのに

翌日出かけるのをやめて

1日家に引きこもったりすると

入り損だったな・・・

と思うくらいには嫌いだ。

 

今でもそれは変わっていないが

1人暮らしを始めてから

銭湯に行くようになった。

 

行くようになった、と言ったって

頻繁には行けない。

せいぜい半月に1回くらい。

 

以前にも書いたが

実家で湯船に浸かれるのは

1年に1回、あるかないか。

風呂でリラックスをするという概念と

全く縁のない生活だった。

しかしちょっと憧れもあった。

で、1人暮らしなら

誰の許可も得ずにお湯を溜められる。

 

せっかくだし

と引っ越して最初の風呂で

お湯を溜めてみた。

 

さ、寒い。

 

実家のように追い炊き機能もないので

溜めるそばから冷めていく。

全く温まれたものではなかった。

 

というのが悔しくなって

近くにある銭湯へ足を運んでみた。

(自転車で2~3分かかるので

特別近いわけでもないが

大した距離ではない)

 

その銭湯というのが

まさに昔ながらのレトロな風貌で。

幼稚園の頃に見たっきりの

デッカイ体重計なんかが置いてあり

マッサージ機や洗濯機まである。

私は使わないけど。

 

ガラリと浴場への扉を開ければ

銭湯名物の風景画が

バーンと広がっていて

黄色い湯桶が床にぶつかって

カポーンという気持ちの良い音を

響かせたりしてる。

うーん、まさにTHE銭湯。

 

水道料金を気にすることなく

ザブザブとお湯を使いながら

身体と頭を洗って湯船に入ると

これがとても熱い。

ホッカイロを貼っても冷えたままの

超末端冷え性な私の足先も

流石にじんわり溶ける。

 

腰痛持ちで病院に通っていた時に

風呂で温めたほうが良い

と先生に言われていたのもあり

これはやはり健康には良さそうだ

と、たまに行くようになった。

 

電気風呂の方は43~4度くらいあって

5分も入っていると完全に茹で上がるが

薬湯の方はもう少しぬるくなっていて

10分くらいは頑張れる。

なので先に薬湯でじんわり温まったあと

電気風呂でしっかり身体を温めて

出るようにしている。

それでも帰りに3分自転車をこげば

この季節は耳が冷たくなる。

 

 

話がそれるけど銭湯と言えば

夏目漱石の「吾輩は猫である」にも

銭湯の場面がある。

その中で好きな一文が

「白い湯の方を見ると

これはまた非常な大入で

湯の中に人が這入ってると云わんより

人の中に湯が這入ってると云う方が

適切である」

私が行く銭湯は

流石にここまでは混雑してないけど

その様子を想像して読みながら

クスッとした。で、その後に

「左の隅に圧しつけられて

苦沙弥先生が真赤になってすくんでいる」

って主人を見つけるのも好き。

混雑してない湯船の端っこで

多分私も顔を真っ赤にしてる。

 

漱石先生と銭湯といえばもう1つ

好きな話がある。

これは小説ではなく実際のエピソードで

漱石先生が銭湯で身体を洗っていた際

隣の客が思いきり水を被り

漱石先生にまで水がかかった。

一瞬で頭に血が上って

「バカヤロウ!!!」

と思いきり怒鳴りつけた相手が

屈強な、イカつい男性で。

漱石先生は怒鳴りつけたあとに

相手が反抗してきたらどうしよう

と焦ったらしいが、男性は

「すみません」

と素直に謝罪してくれて

事なきを得た、という話。

これは確か芥川が書き残していた。

 

今の時代は家に風呂があるので

銭湯に行く人も少なくなってるけど

人間模様を観察するのには

なかなか面白い場所だと思う。

 

今日、こんなことがあった。

 

お風呂から出て脱衣所で着替えている時

小学校低学年くらいの女の子が

前述のアナログな体重計に乗っていた。

その横のソファにお母さんが腰をかけたので

子「25kgだった」

と報告すると、お母さんは髪の毛を拭きながら

「あなたが産まれてきたときは

3,150gしかなかったのよ。

その体重計で言ったら3って書いてあるとこ」

と教えた。

子「それがもう25まできたの!?

太ったなー」

母「太ったんじゃなくて大きくなったのよ」

子「なんで?」

母「そりゃ一生懸命育てたからよ」

現実にこんな微笑ましい会話があるんだ。

なんて素敵な母子だろう、と

引き続き服を着ながら会話を聞いていると

お母さんが子供の髪の毛を拭きながら

「小学生になっても甘えん坊。

小学生になっても赤ちゃんみたい」

と歌うような調子で言い出した。

えっ、それは子供的には

ちょっと恥ずかしかったりしないのかな。

しかしそのあと

「でも可愛い」

と続いた。

うわー。聞いてるこっちが照れる。

 

きっとこの女の子は大人になっても

お母さんと銭湯に来たことは

覚えてるんじゃないかな。