お盆の恒例行事 | ペッターの話

ペッターの話

誰も見てないと思いながら書いてる

お盆時期と言えば、そう。

 

落語だ。

 

 

毎年この季節に

さん喬師匠と権太楼師匠の

特選集が行われている。

多分、ここ数年は毎年

足を運んでいると思う。

普段の寄席と違って

チケットが前売り制なので

仕事帰りで遅い時間に行っても

確実に入れるという安心感があって。

 

以前は月に1回くらいのペースで

寄席に足を運んでいたが

コロナになってからは

パッタリ行けなくなった。

演芸場が夜の部を行っておらず

仕事終わりに行けなかったのもあるし

チケットを取っていた落語会が

公演中止になって

すごい悲しかったのもある。

そんなわけで、実に1年振りだった。

 

1年前に行った落語はもちろんこれ。

去年はそういえば

さん喬師匠が体調不良で

喬太郎師匠が代理でやってたんだった。

 

 

 

今回も仕事終わりにいそいそと

鈴本演芸場へ向かうと

ロビーで聞こえてきたのは

喬太郎師匠の声だった。

私は1番好きな噺家さんが彼なので

実は半分くらい彼目当てで行っている。

やべぇやべぇ、と慌てて客席へ行く。

やってる最中なので席へつかず

1番後ろにポツンと立って見る。

喬太郎師匠は鮮やかな青の羽織が

大変お似合いだった。

幸いまだ噺の導入くらいだったので

内容についていくことができた。

「同棲したい」という新作落語で

聞いたのは初めてだったが

これが面白くて、面白くて。

 

出てくる小ネタの数々が堪らない。

待ち合わせはレモン画翠。

(それに対して

「学生街の喫茶店ね」

と補足のツッコミが入る)

待ち合わせに現れる格好は

ロンドンブーツにベルボトム。

白いギターを背負って額にサングラス。

同棲先の条件は

神田川沿い、貨物列車が通ると揺れる

そして裸電球。

 

他は忘れちゃったけど

つまり70年代フォークのあるあるネタが

これでもかと詰め込まれた

現代落語だった。

そんなの、藤岡藤巻に散々聞かされている

私としては大歓喜のネタで。

 

ていうか当然私は世代じゃないが

喬太郎師匠も微妙に世代じゃないのでは。

(藤岡藤巻より年下だし)

 

 

続く上方落語の新治という人は

前にも一度見たことがあるような。

と、先ほどリンクを貼った

去年のブログを遡ってみたら

あぁこの時にも出ていた。

非常に印象に残る声と喋り方。

「仏馬」という噺。

ラスト読めてたけど、それでも笑った。

 

謡曲は小菊という方。

この人も多分、何度か見ている。

私は謡曲の面白さが全く理解できなくて

三味線すげぇなかっけぇな

という演奏の方で楽しんでいるのだが

そうか。私は歌詞を聞かないからだ。

音楽に乗せて話されると

途端に頭に入らなくなるんだ。

意識して言葉に耳を傾けてみても

気付くと右から左に抜けて

えっ、なんだって?

と首を傾げてる内に

周りが笑いながら拍手するので

慌てて私も拍手する。

 

と、最後の曲(っていうのか?)の

1番盛り上がる部分で

バチン!と音がして

1番細い弦(っていうのか?)が

切れてしまった。

このまま終わるのだろうか、と

気の毒に思いながら眺めていると

小菊さんは動揺しながらも

喋りを止めることなく

テキパキとその場で弦交換を始めた。

「お客様、良い時にいらっしゃいましたね」

なんて笑顔を客席に向けたりして。

「などと言っておりますが私

背中が冷や汗でビシャビシャです」

なんてボソリと呟いたりして。

交換を終えたあと

何事も無かったかのように再開した。

これがプロか。

本当に、良いものを見させて頂いた。

 

さん喬師匠は去年見てないので

いつ振りだっただろう。

覚えてないけど、かなり久々だ。

お変わりなくお元気そうで良かった。

 

「鴻池の犬」も初めての噺だった。

っていうか、昨日の寄席で聞いたの

全部初めてだった。ニワカなので。

色々な種類の犬が出てくるが

どれも性格が全く違くて

特に主人公のシロの可愛さったら。

「船場!船場!」

と、トットコトコトコついていく

無邪気さが大変可愛かった。

さん喬師匠の落語は

本当にその風景とか登場人物が

目の前に現れるかのようで

一気に世界へ引き込まれる。

さん喬師匠が犬に見えるんだから凄い。

違う、悪口じゃなくって。

 

紙切りの正楽さんはよく見る。

この独特な雰囲気がクセになる。

今回リクエストがあったのは

「茶の湯」と「七夕」だった。

「茶の湯」はこのあとに権太楼師匠が

やる予定だった噺。

私はこの噺も全く知らなかったので

ご隠居と小僧が向かい合って座る形で

切られた紙を見て

2人で茶を楽しむ内容なのかな

なんて思っていた。半分は合ってるけど。

「七夕」は切る前にお客さんへ

「普通の七夕でよろしいですよね?

仙台の七夕とか、平塚の七夕とかじゃなくて」

と確認をしたところ

「仙台の七夕で!」

と言われ、目を真ん丸にして

「は?」

と驚きつつもしっかり

「仙台の七夕」を切ってみせたのが見事。

寄席の色物の中では紙切りが1番好きだ。

 

トリの権太楼師匠は、出てくるときに

ぬっ

という効果音が聞こえるような貫禄。

しかし枕から存分に客席を笑わせ

また師匠自身も笑顔なので

一気に寄席がパァッと明るくなる。

本編が始まっても、底抜けに明るい。

この持ち味が私は好きで。

 

ところで「茶の湯」は

想像していたのより何倍も

トンデモない噺だった。

茶道について知識がないご隠居が

小僧と一緒に茶の湯をすることになり

「青きな粉」と「ムクの皮」を使って

到底人の口に入ってはいけない茶を点てる。

作法もクソもあったもんじゃない。

私も茶道は一度教わったきりで

ぼんやりとしか覚えてないが

それでも間違っていることはよくわかる。

トンデモ作法を繰り返し、茶を口に含むと

トンデモない味に悶絶する。

その仕草、表情がおかしくておかしくて。

やっとのことで飲み干し

ゼェゼェと汗をぬぐいながら

額をパンと叩き

「風流だなぁー!!」

と笑顔で言い放った時には

我慢しきれず声が出てしまった。

 

座っているのが辛いほど腰が痛くて

途中まで足や背筋を伸ばしたり曲げたり

モゾモゾ動きながら見ていたが

腰の痛みも忘れるくらい面白くて

後半はあっという間に過ぎた。

終わった後に時間を見ると

予定より10分以上も

オーバーしていたけれど

長いとは全く思わなかった。

 

いやぁ楽しい。

次は腰の心配がないときに見たい。

来年は職場が変わってる予定なので

仕事帰りに寄席に足を運ぶことは

もう無理かもしれないが

やっぱ定期的に行きたい。