繁忙期が無い仕事をしている。
ほぼ毎日定時で帰れる。
しかし昨日は早出のうえに
3時間以上残った。
災害が起きると忙しくなる仕事をしている。
地震はその最たるものだ。
私の職場はエレベーター会社だ。
震度5強の揺れがあった直後から
テレビのニュースでは
エレベーターが停止していると報じられた。
私も既に5年以上働いているので
揺れた時には正直身の危険の恐怖よりも
エレベーターやばいな…
と真っ先に思うようになった。
翌朝、満員電車に無理矢理身体をねじ込んで
やっとの思いで出社。
既に複数回線ある電話のランプが
全て点灯してコールが鳴り止まず
カバンをおろす暇もなく電話を取る。
大抵の人はすぐに復旧できないことは
理解してくれるが
中には怒鳴る人もいる。
すぐ対応しろと怒ってくる人がいる。
すぐ確認して時間を連絡しろと言われる。
できるものなら最初からやっている。
想像力が足りない人なのだと憐れみながら
相手にしている暇もないので
なんとかやり過ごして電話を切る。
覚悟していても精神的にかなりグッタリくる。
電話が落ち着いた頃にメールを開くと
対応情報が100件近く入っていた。
遡っていくと、1番最初は
地震発生から9分後に
「これから家を出ます」
という元上司Aさんのメールだった。
流石、現場責任者。
誰よりも真っ先に、まだ受信情報も無いうちに
家を出ていた。
続くように、出社できる保守員が
続々と家を出て対応へ向かった。
23時〜0時ごろの事だ。
そこから対応連絡は途切れることなく続いた。
みんな昼間働いて帰ってきて地震が起きて
寝てないまま出動して
徹夜で現場を回っている。
そんな状況で、朝出社した私なんかが
弱音を吐いている場合ではない。
現場に出ている人からの電話も受けた。
逆にこちらから連絡することもあった。
Aさんは普段から穏やかに話してくれて
「助かった!ありがとうねー」
が口癖の人だが、電話で頼まれ事をされて
確認して折り返した時に
「いや、すげー助かったよ!ホントありがとう!」
と言ってくれた。
寝不足と疲労で元気は無かったが
普段以上に明るく穏やかに話してくれた。
多分、余裕があるのではなくて
意識してくれているのだろうということがわかった。
48歳で徹夜はキツくないはずがない。
Aさんだけでなく、現場の人たちで
ピリピリした人は1人もいなかった。
「お疲れ様です!」
と電話に出ると
「疲れました〜笑」
と和ませてくれる人もいたし
遅い時間になってくると
「ペッターさんまだ残っててくれたんですか!
ありがとうございます!」
「こんな時間までお疲れ様です。
早く帰った方が良いですよ!」
など皆さん口を揃えて労ってくれた。
この時点で現場の方々は20時間以上
働きっぱなしだというのに。
私はこの仕事が大嫌いだが
職場の人たちが良い人ばかりだから
続けられるなぁと改めて思った。
一方。
死ぬほど忙しいこの日にも
営業の電話が何度もかかってきた。
向こうも仕事とはいえ、こんな日に
そんな電話を相手にしてもらえると思ってる
無配慮な人とどうして契約すると思うんだ。
何も考えていないんだろうか。
それから、テレビ局からもかかってきた。
作業している様子を撮らせて欲しいと。
こんな電話もかかってくるんだなぁと驚きながら
「申し訳ありませんが、ご協力しかねます」
と丁重にお断りした。
全てが終わった時には21時を回っていた。
地震発生から22時間ほど経っている。
電話対応ができないのに残っててくれた
経理のおばちゃんが
1日中対応に追われた私と営業さんに向かって
「お疲れ様でした!本日の主役はお2人ですね!」
と労ってくれたが、間髪入れずに訂正した。
「いえ、主役は保守員です」