蕎麦屋のバイトの話 | ペッターの話

ペッターの話

誰も見てないと思いながら書いてる

先日、選挙の投票に行った際に

久しぶりに昔バイトをしていた

蕎麦屋の前を歩いて

色々と思い出した。

 

この蕎麦屋は元々お客さんとして

よく行っていた。

不在がちの親からお金を渡されて

小学生の弟を連れて

2人で食べに行っていた。

 

高校2年生の9月後半。

藤岡藤巻のライブへ行くために

人生初のアルバイトを探した。

家の近くをフラフラしていると

この蕎麦屋にバイト募集の

貼紙があり即電話。

というのも、お店に食べに行くと

いつもガラガラで

あまり忙しくない印象だったから

未経験でも働けるのではないかと思った。

 

面接は平日夕方だった。

学校が終わってそのまま行くつもりで

カバンに履歴書も入れていたところ

そんな大事な日に限って

ペットボトルの蓋がちゃんと閉まっておらず

カバンの中で大洪水を起こした。

慌てて家に帰り書き直して

面接に向かったので

初めてのバイト面接だったが

記憶が殆ど無い。

 

その場で採用が決まり

10月から働くことになった。

勤務は土日祝の17時~21時。

部活が16時まであったので

帰宅してすぐバイトなのが辛くて

半年くらい経ってからは

18時~21時に変更してもらった。

 

制服はなくエプロンのみ持参

という指示だったので

部活帰りに学校の制服の上から

エプロンだけつけて働いていた。

 

店主(旦那さん)は

多分そんなに年齢は

いってなかったと思うが

小さくて細くて

雰囲気はお爺さんという感じだった。

厳しくて、寡黙で、でも色々気にかけてくれる

優しい方だった。

 

それから、店主の奥さん。

表情で感情を読み取れない人だった。

笑ってると思ったらめっちゃ怒られたり。

旦那さん以上に厳しくて

随分怒られたが

自分の夕飯を作るついでに

私にもおかずを分けてくれたりした。

 

もう1人のバイトのお姉さんは

私と2個くらいしか年齢が変わらなかったが

超ベテランでとても仕事ができた。

優しくてよく笑う人で

とても可愛がって頂いた。

 

最後に、出前のお兄さん。

基本的には出前を届けに

出払っているのであまり関わらないが

閉店後の掃除の時などは

話しかけてくれたりした。

不思議な雰囲気の人だった。

 

働いてみてわかったのは

確かにお店に来る客は少ないが

出前の電話がとにかく多かった。

ここの売上はほとんどが

出前なんだと思う。

そして、私の仕事は

このひっきりなしにかかってくる

出前の電話の応対だった。

電話が鳴ったら基本的に私が出る。

 

で、温かい蕎麦ならレンゲとか

冷たい蕎麦なら薬味とワサビとか

メイン料理以外のものを準備する。

お客さんが来店すれば

ホールの接客も私がやる。

お水を出して注文を聞いて

配膳してお会計、片付け。

 

あれから色々な仕事を経験したが

蕎麦屋はなかなかハードだった。

毎週末が憂鬱で憂鬱で

日曜日の夜は終わった開放感で

お菓子を買って帰った。

 

ただ、当時は滅茶苦茶嫌だったが

初めてのバイトとしては

とても良い職場だったとも思う。

厳しかったけど、本当に可愛がってもらった。

接客や電話対応の基礎を

みっちりと叩き込まれたし

食品を扱う場所でのルールも

しっかりと教わった。

家族経営みたいなお店だったから

派閥争いとか陰湿なイジメとかもなかったし

(逆に飲み会とかもなかったけど)

人間関係で悩むことは無かった。

 

そういえば、変わったルールもあって。

当時は気付かなかったけど

「お疲れ様です!」

と挨拶して奥さんに怒られたことがある。

「"お疲れ様"は雇用主が言う言葉であって

バイトが雇用主に言っちゃダメよ」

「では、何と挨拶したら良いでしょうか?」

「普通に"こんばんは"で良いのよ」

他の職場では言われた事が無い。

 

あと、ご飯物にはお漬物をつけていたのだが

その漬物はバイト中に

自由に食べて良いと言われていた。

と言われても仕事中に食べるのは気が引けて

あまり頂く事はなかったが

特に好きな柴漬けの時は

コソコソ食べてた。

 

年末は、本当に地獄だった。

6連勤。最後の3日は昼も働かされた。

昼働いて、まかないを頂き

2時間くらい家に帰って

また夜働いて。

大晦日は高校生でも

深夜1時までだと言われた。

ちなみに時給は800円。

深夜でも変わらなかった気がする。

その辺はちょっとブラックだった。

(当時の高校生の時給は

800円でも普通だった気もする)

 

一番覚えているクレームは

年末のクソ忙しいときにかかってきた

出前の電話。

年末は入荷がストップするので

ラーメンの麺なんかは

終了次第売り切れになる。

客「出前お願いします。ラーメンと」

私「すみません、ラーメンは売り切れなんです」

客「あ、そうなの。じゃぁ・・・チャーシュー麺」

私「ですから、ラーメンの麺がもうなくて」

客「だったら何があるんだよ!!!」

うちは蕎麦屋だ。

 

嫌だ、嫌だと思いながらも

約1年働いた。

高3の夏、最後の演奏会に向けて

部活が本格的に忙しくなるので

それを理由に辞めた。

辞めたあとも何度か

客として足を運んで

従業員の方に近況をお話したりした。

3年前くらいに

気付いたら閉店していた。

旦那さんがご病気で

働けなくなったらしい、と

風の噂で聞いた。

しかし、お店自体はまだ残っていて

看板もそのままだ。

住居も兼ねていたハズだけど

まだ住んでいらっしゃるのだろうか?

 

私はどこへ行っても

決まったメニューしか食べない。

この蕎麦屋ではいつも

カツ丼セット(冷たい蕎麦)

だった。

働き始めたときに、お姉さんから

「いつもカツ丼セットだよねー」

と笑われてちょっと恥ずかしかった。

でも、美味しかったんだもの。

それまで蕎麦嫌いだったけど

この蕎麦屋のおかげで

食べられるようになった。

また食べたいなぁ。

もう食べられないんだなぁ。