柳家さん喬一門本 | ペッターの話

ペッターの話

誰も見てないと思いながら書いてる

 

 

電子書籍の普及により

本屋さんが苦しい状況になっているのは

よくわかるのだけれど

改めて、今後も本屋さんは

なくなって欲しくないと思った。

 

こんな本が発売されていたなんて

全く知らなかった。

たまたま本屋さんをフラフラと歩いていて

落語コーナーで見つけて

ウワーッ!と飛びついて即決し

帰ってそのまま一気に読んでしまった。

 

と、言うと滅茶苦茶落語ファンのように

聞こえるけれど、全く詳しくない。

この一門本に連なってる名前も

片手で数えられる程度しか

顔と名前が一致しない。

寄席も頻繁に行っているわけではないので

噺家さん自体、あまり知らない。

ただ、知らないながらも

この人はすごいなー!!

と感動したのが

柳家喬太郎、そして柳家さん喬の

お2人で、即座に名前と顔を覚えた。

他に噺家さんがわからないから

基本的にこの2人のどちらかが

高座にあがってるときに寄席に行ってる。

 

そんな、ニワカもニワカなのだけど

去年、一門会のチケットをとった。

楽しみでワクワクしてたのに

コロナで潰れた。

その悔しさもあって、この本を見た瞬間

買わねば!と思った。

 

この本では

お弟子さんたちがそれぞれ各々の

入門時の話を振り返って書いている。

1人1人のページはそんなに多くないので

さながら短編集を読んでいるようだった。

前述のとおり、噺家自体そんなに知らないので

ビックリしたんだけど

お弟子さんたちの中には結構

「落語とは無縁の人生だった」

という人が多い。

学生時代にやりたいことがなくて

就職もどうしようかと思っていたときに

なんとなく出会った落語にのめりこんで

さん喬師匠へ弟子入りした

というパターンが、結構多い。

もっと、大学で落研に入って

ずっと落語に親しんできた人が

落語家になるんだと思ってた。

某ジャパン大学出身の方みたいに。

 

中には、私のように

初めて聞いたさん喬師匠の落語に

感動して、他は知らないまま

弟子入り志願した

なんて人もいた。すげぇな。

 

すごく共感したのが、何人か書いてたが

さん喬師匠の落語は

気がつくとその世界の中に

飛び込んだかのように

目の前に風景が広がり

登場人物が現れて

さん喬師匠が消える、ということ。

私も、実はさん喬師匠の落語で

すごいなー!!

と思ったのが、この体験だった。

親子会で聞いた、文七元結。

あと、去年3月の独演会で聞いた

・・・・なんていう演目か忘れたけれど

とにかく、この2つの噺の時に

ぶわーっと客席が、ステージが

さん喬師匠が消えて

その世界が観えた。マジで。

私は1番好きなのは喬太郎師匠だが

この体験をしたことがあるのは

今のところ

さん喬師匠の落語だけだ。

大袈裟じゃなくて、マジなんです。

終わった後、暫く動けなくなった。

 

学生時代に何も熱中出来ず

就職もせず

やりたいことも見つからず

フラフラしているところまでは

言ってしまえば自分と一緒だ。

もうちょっと追加すると

初めて行った寄席で

さん喬師匠の落語に

震えたところまで一緒だ。

しかし、だからといって

20回も30回も出待ちして

弟子入り志願する根気は

私には無い。

(その根気があるのなら

他でも成功しそうなものだけど)

 

弟子入り志願者に対する

さん喬師匠の返事がまた良い。

決してピシャリと無下にせず

「うん、気持ちはわかった」

とやんわり断る、この感じ。

弟子入り志願の手紙に

数日~1週間で

丁寧に返事を出す、気遣い。

で、ちゃんと身の上話を聞いて

落語界の厳しさもしっかり伝え

一時のテンションに身を任せて

破滅しないように何度も諭して

それでも折れなければ弟子にする。

(もちろん、しなかった人もいるだろうが)

1人の人生を預かる、という

師匠の責任の重さを感じた。

 

それぞれの文章が始まる前に

さん喬師匠からお弟子さんへの

文章も1ページ分掲載されている。

これがまた良い。

弟子入り志願された時の

思い出を語ったり

今後の期待をユーモアたっぷりに添えたり。

自分が弟子の立場だったら

この文章は滅茶苦茶嬉しいだろうなぁ。

 

間に掲載されている

入門前の写真も良い。

さん喬師匠は若い頃から

全然変わらないなぁ。

この人、歳を重ねるって言葉を

知らないのでは?

と思わず表紙の帯にうつっている

現在の写真と見比べてしまった。

 

寄席に、行きたい。