一方で生徒側のことを考えてみると、音楽教室に対して様々なニーズがあることもわかります。
主に子供のためのクラスで、ピアノの習得目的という視点から見てみると、大雑把に以下のような層があるように思います。
 
A.専門家を目指したい。または音楽系の学校を受験したい
B.専門家になるわけではないけれど、音楽を存分に楽しみたい。できる限り上達を目指したい
C.とりあえずピアノやらせておこうか
 
あくまでも大雑把な分け方の一例ですよ。
 
指導者ならば、自分が指導したいと思うおおよその生徒層を考えたことがあると思います。
そして、それに合わせた教室づくりを行っているのだと思います。
指導者の労力という意味では、単純にA>B>Cとなるわけでもないですが、
指導にかかる時間を考えるとA>B>Cに近くなることが多いため、レッスン料についても同じようになりがちです。
生徒のボリュームがあるのはBとCなので、そこをターゲットとした教室の数が必然的に多くなります。
 
問題はこのBとCの生徒(の家庭)が、その差を意識しているかという点です。
「とりあえずピアノやらせておこうか」という想いは、
もしかしたら「できる限り上達を目指したい」に転じる可能性があります。
もっというと、はじめは「とりあえず」くらいの気持ちの方も多いわけです。
 
そうなると、熱心な指導に見合ったレッスン料を設定したくても、
「とりあえず」程度の気持ちでも通わせやすいレッスン料を考える必要もあるでしょう。
場合によっては、「とりあえず」層をメインターゲットにした教室と比較されてしまったりもします。
 
もちろん、その差は実力で差を示していかなくてはならないところかもしれませんが、
生徒側がアンテナを張っていなければ、単純な比較で終わってしまうかもしれない。
もっというと、その実力(指導力)の見え方は、例えばコンクール入賞者を多く輩出するなどの
単純で分かりやすい結果に焦点があたりやすい。
生徒側の理解があまり深くないと、なおのこと実力(指導力)を示すというのは簡単ではなくなります。
 
そして、もっと大切なことは、先ほどのAに当たる「専門家を目指したい」という層が存在する背景には、
音楽を学ぶ人に対し、質の良い教育、興味を持てるような環境、正しい解釈の元での指導が欠かせません。
 
初めから専門家を目指すといって生まれてくる子供はいません。
導入期はもちろん、ある判断をつけようと決心するまでの間に受ける刺激(教育や環境)が、
指導者側の一時の「経済活動」でしかなかったとしたら、
もしかしたら音楽の魅力は伝わらないかもしれません。
 
良い看板を立てられるようになる指導者の努力もさることながら、
多くの教室が、個性に向き合った指導を行うことで、
時間をかけて生徒側のアンテナも磨かれるかもしれません。
そうなれば、もう少し労力や熱意に見合ったレッスン料への理解も
受け入れてもらいやすくなるのかもしれない。
 
※このブログに記載していることは、あくまでもひとつの見解です。
指導者、教室、生徒それぞれに様々な背景があり、考えや見え方が異なります。
何かを非難したり、否定する目的はありません。
世の中たくさんの音楽教室があり、様々な背景の先生が教えています。
特にピアノは習う人も多いけれど、教える人も多い。
さらに、その指導者が目標としてきたものの違いもかなり大きいものです。
 
そして経営的に成功している教室もあれば、副業的な先生もいます。
 
経営面を重視して教室を開けば、経費との兼ね合いでレッスン料の基準ははっきりしますので、
ある一定以上のレッスン料をいただかなくては成り立ちません。
 
一方で副業的に教室を行うと、必要な経費に何を含めるかという基準もあいまいにでき、
ある意味指導者側の裁量次第で、色々なレッスン料の設定ができます。
 
本業と副業が混在することは、大半の教育分野でありうることだとは思いますが、
ピアノは特にその層が厚く、副業的指導者も多いように思います。
もちろん副業だからレベルが低いとか、副業だから稼ぎが少なくて良いということではありません。
「演奏活動が主体で」という方もいれば、「子育て期だから」などということで
高い実力をもっていても、良心的な金額で熱心に指導されている先生を多数知っています。
 
ただ副業的な層が多いと、指導者側の「少しの我慢」で、
レッスン料の基準を下げてしまいやすくなることもあり得ます。
 
生徒さん側には大変ありがたいことですが、先日の書き込みにもあるように、
音楽教室にかかる経費というのは、特に設備面においてかなり高いものです。
楽器の購入金額を含めると、一般的な学習塾よりも数倍かかります。
それなのに、学習塾ほど効率的な時間当たりの指導は難しい。
 
ですから、熱心で良心的な指導者であっても、あまり安価に自分の能力を売ってしまうのは、
持続的な指導という意味においても危険だと思います。
 
☆☆長くなってしまったので続きは次の記事に☆☆

なんだか教室選びの書き込みに反応が・・・

やっぱりそういう季節なのですね。

 

というわけで、今日もピアノ教室を探す方への参考をもうひとつ。

特にお子さんのピアノ教室をさがすときのこと。

 

一番に考えたいのは「通える場所かどうか」です。

その条件は人それぞれです。私の教室にも片道一時間かけて通ってくれる子供さんが数人います。

ひとりはもうかれこれ5年。いつも楽しそうに元気に通ってくれます。

そんな熱心な生徒さんですから、こちらも多少遅刻したり早く着いたりしても良いように

スケジュールを調整しています。

それは経営的にはロスですが、どこかで吸収できる程度といえばそうです。

もちろん、近くなければ無理という方もいるでしょうから、

少し先のことまで予測して、通える範囲というものを考えてみるとよろしいかと思います。

 

そして、もうひとつ、体験レッスンをきちんと受ける。

有料だったり無料だったり様々ですが、有料だからすごい先生なわけではありません。

無料で体験レッスンが受けられるというのは、何かの商法ではなくて単純に講師の努力です。

ホームページやブログがある今の時代、指導者側から様々な情報を発信することができますが、

それでも実際はひとりひとりに違う指導をします。

ですから、実際にレッスンをしてみなければわからないことがあるのは、生徒も先生も同じことです。

その労力を金銭に換算するかどうか、有料か無料かはその考え方の違いです。

 

その体験レッスンの時には、親御さんは先生とお子さんのコミュニケーションを見てください。

初めて会う先生ですから、小さなお子様は逃げてしまうこともあるでしょう。

でもそこであきらめず、促して子供の反応をよく観察してあげてください。

先生が伝えようとしていることは何なのか、それもよく聞いてください。

ご自分のお子さんに、その指導者の思いが合致するかどうか、

そこがそのお子さんにとって良い先生かどうかのポイントです。

 

先日も書きましたが、大切なことは教える方法ばかりではないです。

例えば道具を駆使しない先生だと、幼児の興味はそこまで集中しないかもしれない。

でも、その先生とコミュニケーションがとれていて、その指導の方針が納得できるものであれば、

今はゆっくりしか進めなくても、小学校などで回りの状況が変わり自覚が出てきたときに、良い結果につながるかもしれません。

逆に、今は他の方法でないとどうしても興味を持てないということであれば、

別の教室で興味の湧くことを学んでから、再び教室を移ることも考えられるかもしれない。

真面目にやっている教室であれば、去る者を追うような真似はしません。

(私を含め音楽家は変人が多いですから、もしかしたら中には非常識な引き留めをする方もいるかもしれませんが)

皆様が良い指導者と出会えますように。

先日レッスンのお問い合わせの電話がありました。

お引越しで前の教室を辞められて、教室をさがしているとのこと。

 

電話口に出ているのが講師本人だとわかり、状況を説明していただくのは結構なのですが、

とにかく自分の希望や、以前の教室でやっていたことへのご自分の感想や、知りたいことを次々と話してくる。

生徒さんによって、こちらの対応が変わるということを伝えて、

無料の体験レッスンの時にお話をする時間をとりますからと言っても、

とにかく電話を切ってくれない。

おかげでお昼休憩の30分がほぼすべて奪われました・・・

 

強制的に話を終わらせるということもできたのですが、

久しぶりにこんな感じの方と接しましたので、様子を観察してみようと思い、

今回は30分間のお電話にお付き合いしました。

 

でもね、それを聞いて思ったのです。

音楽を学ぶということが、ご自分にとって何なのかが混乱してしまっているのだなと。

 

音楽を通して何かを育むというのは、私も大賛成です。

音楽を奏でることはとても刺激的ですし、積極性も必要です。

ご年配の方の脳トレにも、私は決して悪くないものだと思っています。

 

でもね、「教える」というのは、ただ方法を実践することではないんです。

「音符カードを使って◎◎」「速読法で◎◎」「子供の興味を持続する◎◎」などなど、

教育方法っていうのは様々あります。

中にはよくわからないものもあれば、とても細かく理論を積み上げたものも。

 

それらはひとつの教育方法であって、

一番大事なのは「何を学ぶのか」なのですよ。

それは、教える側が「音楽を通して何を伝えたいか」ということと常に一体化したもので、

「この曲が弾けるようになりました。はい良かったですね」が本当の伝えたいことではないのです。

 

もちろんピアノを弾くという行為そのものだけがクローズアップされてしまうことがあることも理解しますし、

中にはそこにものすごく大きな労力を割いて指導をされている先生がいることもわかります。

だって、弾けなきゃ楽しくもなければ、伝わるものも伝わらなかったりしますもの。

 

だけれども、そこには(真面目に教えている先生ならば)その先生が描く

音楽への愛情や、音楽を通して見つめる世界があります。

そこに共感できれば、その生徒さんにとって合った教室なのだと思います。

学ぶ方法などは徐々に変わっていくものです。

 

今回のお問い合わせの方は、私がどんな方法で教えるのかということをずいぶんと訊ねてこられました。

私はあまり道具の類を使わないので、そんなに口で説明できるような方法ばかりを有していません。

ですから、レッスンを体験していただかなくてはなんとも言えないのですよね。

でも、前の教室ではこんな方法で習っていたとか、この前体験レッスンに行った別の教室はこんな方法だったとか

そんなお話が早口でバンバンくるわけです。

で、その挙句「私は音楽の本質が知りたいです」と言われまして・・・

 

私の音楽を学びたい姿勢は、こんな方法を実践することで満たされますから、それで教えてください

といっていることとあまり変わらない・・・気がする。

それとも音楽の本質を理解するための方法がご自分でわかっちゃってるということ?

(私は「本質」がなんであるか、いまだに悩んでますけど)

 

まぁせっかく30分間もお話ししたわけですから、ご希望の体験レッスンは致しますけれど。

私の教室では、レッスンの基本時間を1時間にしています。

もちろん1時間以下ではレッスンしないということではなく、

特に幼児期などは40分くらいのレッスンです。

 

で、この前生徒さんの親御さんから言われました。

「先生、一時間レッスンだから大変ですよね」

 

んー労力的に大変だと思ったことはなくて、むしろ短い時間に伝えたいことを詰め込む方が疲れるようにも思います。

あそっか、時間が短くなったら教える量も減らせるのか・・・

 

しかし何が大変って、60分を基本にしていると、儲けにくいということでしょうかね。

例えば30分レッスンの月謝が10,000円であれば、60分では20,000円だとわかりやすいです。

でも、60分レッスン20,000円という選択肢しか提示していないと、高いという印象もあるかもしれない。

中身を見る前から、その値段によって門をたたくことを躊躇うケースもあると思います。

だから、門戸をすこしでも広げるために割安になってしまう。

 

だったら30分レッスンやればいいのだけど、やっぱり30分って短い。

教えたいと思う内容と、その短い時間とが合致しない。

だからやっぱり私は60分を基本にやってます。

 

60分を基本にしているということは、それ相応の時間を使ってレッスンを受ける覚悟のある人に来てもらう

という姿勢を示していることでもあります。

割安ですから、お遊び的に来る人ももちろんいますが、結構頑張る人がそろっています。
別にコンクールでばりばりとかではありませんが、じっくりしっかり学んでくれている。
 
はてさて、この割安レッスンはどうすれば変わるものなのだか・・・
10年経っても悩んでいます。。。