今、プロの作曲家の T 氏が、
まりなちゃんの新曲を作ろうとしている。
「 あいつは音域が1オクターブ以上あると歌えないからなぁ 」
とぶつぶつ言いながら、
彼は自分の頭に浮かんだフレーズを、
とりあえずピアノで弾いてみた。
「 うん、これはナカナカいい。
あいつには、もったいないくらいだ 」
次に、そのフレーズに、
どうハーモニーをつけるかを、
あれこれ考えはじめた。
「 ちょっと月並みだが、
ここは 3-6-2-5 で決めてみるか、歌謡曲だしな 」
とつぶやいて、
彼は五線譜をうめていくのであった。
でも、もし─、
これが近未来の話であったとしたら、
彼はピアノではなく、
ワークステーションの前に座っているだろう。
そして、まず─、
自動作曲ツールを起動するのであった。
しかし─、
彼は躊躇した。
この記事は 『 bit 別冊 コンピュータと音楽 』 に掲載された、
「 ある作曲家のつぶやき 」 ( 平田圭二・青柳龍也 著 ) を、
一部、加筆修正したものです。
尚、この記事はフィクションであり、実在の人物・団体とは、
一切関係ありません。