原文をそのまま掲載致しますm(_ _)m
 
 
 
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本日は『川崎槙耶&白瀬元 2人のピアノリサイタル』に行ってきました。
傘を忘れて土砂降りの雨に濡れつつ、駅に着く頃には機を待っていたかのように小降りになり、会場に着いた時はすっかり乾いて一安心。
 
フライヤーの裏にはモノトーンの空間の隅に、
あえて下方に重心を置いて意味深な一言…
 
                         自由と解放。
 
普通のピアノリサイタルとは雰囲気の異なる「何か」に期待を膨らませて会場に足を運んだ。
(プログラムノートの文章がこれまた良いので全てアルバムに入れます。特に「自由と解放」の詩が好き)
 
ホールに入ると何やら調律師の方が必死にピアノを調整していたが、どうやら開場直前に弦が切れたとのこと、予定より約15分程遅れて演奏開始。
一曲目はモーツァルト/2台のピアノのためのソナタ
照明が全て消え暗闇が空間全体を覆う。そして最初の一音が響き渡ると同時にパッと舞台が明るくなり、そこには美しく輝く黄色のドレスを纏った川崎さんと、蝶ネクタイが至って似合う長身雄偉な白瀬さんの姿が鮮やかに現われた。
華やかで優しく温もりに満ちた音の掛け合いは意外にも男女の体軀や個性の違いを感じさせず柔らかに調和し、あたかも陽だまりのなかにいるような心地でホール全体を包み込んだ。
一曲目演奏終了後、暗転のなか今度は舞台の左隅から一筋のスポットライトに照らされ二人が登場。そして見事なMC。アクシデントをものともしない堂々たるスタートに心のなかで拍手。
品良く凝った照明演出にも音楽以上の何かを期待させるこの上ないこだわりを感じた。
 
二曲目のラウタヴァーラ/ピアノソナタ 第2番「火の説法」は初めて聴く曲。音が複雑な所謂現代音楽は正直苦手としていたが、初めて見る演奏技法や音楽表現を多く目と耳で感じながら楽しむことができた。演奏自体も艶やかで滑らか、特に指先の動きがとても美しく、そこから生まれる間と余韻がとても心地良く印象的だった。
 
三曲目以降、プログラムの特徴としてバッハ/パルティータ、ラヴェル/マ・メール・ロア、ガーシュウィン/3つの間奏曲、新作初演曲、ワーグナー=リスト/イゾルデの愛の死、即興演奏、ローゼンブラッド/ビゼー「カルメン」幻想曲、など古典からロマン、現代まで包含されているが、全体的に様式の枠に単純には納まらない曲を主に選んでいるところに、テーマとしている「自由」という言葉を意識して感じる。
 
そして即興演奏「自由と解放」。。。
 
1人は自由だった。そして孤独だった。
1人もまた自由だった。そして孤独だった。
そこで2人は、自由というしがらみから抜け出して、互いを解き放とうと考えた。
 
「自由」とは「孤独」であり心の渇き。
「自由」と「解放」は同義のようで真逆。
「解放」は一人では成し得ない。
   とても実感なんですよね〜ある意味人間の真理。
 
初めは白瀬さんひとりで演奏を始める。そしてフライヤー表面のデザイン性に富んだ鮮やかで印象的な赤いドレスに着替えた川崎さんが女優のように優雅に登場し、自分のピアノへ向かってゆっくりと歩を進めながら白瀬さんのピアノをサラッと横から弾き、自分のピアノに座って2人の音が合わさる。
単純なピアノ演奏ではなくさりげなく艶美で演劇的な演出にグッときた。
 
実はこれまでの曲にて気のせいなのかあえて禁欲的に音を抑えめに引いている印象があった。
それが「自由と解放」で一気に抑えてた感情が迸るように迫ってきた。この詩から連想するにこの曲で「解放」されるのかと思っていたが意外にも静かに終わる。⁇と思っていたら、次の最後の曲、ローゼンブラッド/ビゼー「カルメン」幻想曲でこれまでの雰囲気を一転させる熱演。なるほどあくまで解き放とうと「考えていた」までで、本当に解き放つのはこの曲だったのかと、全てのストーリーが自分の中で完結し繋がった。
ここでフライヤーに込められた裏面の思想が色彩を帯びた鮮やかな表面に変わる。裏が表で始まり、そして裏から表へ…深い!
 
このままアンコールはやらないのではとも思ったが、それはそれ、しっかりと聴者へのプレゼントとしてドビュッシーの「行列」を聴かせて頂いた。
 
型を無視せず、型に捉われず、更に型の外側から大らかに包み込むようなとても深い深いリサイタルでした。
言うなればピアノリサイタルという枠を超えて「自由と解放」というひとつの芸術作品を堪能させて頂きました。
 
これからお二人がどの様な音楽家、芸術家になっていくのか楽しみにしています。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ありがとうございます(((o(*゚▽゚*)o)))