内容は貧乏人には高いピアノの練習室を借りるのは大変という内容
だった。
その中で近頃、妻のかっちんさんが我家に出入りしている業者さんや
知り合いの人に、グランドピアノを安くで弾かせてくれそうな人は知ら
ないか?と声をかけていると書いた。(※この安くでというのは厳密には
２時間５００円)
それを聞いたとある業者の方が一人思い当たる人がいると言ってくれた。
その思い当たる人とは、我家から車で２０分程の場所にある一戸建て
に住んでいるという年配のご夫婦で、旦那様は油絵を嗜み奥様は元
書道の先生で、とても上品そうなご夫婦だという話だった。
いつも業者さんが出入りしているリビングには、古いヤマハのアップ
ライトピアノが置いてあり、話を聞くと毎年キチンと調律までしてある
らしい。
毎年調律をしているのは、ご結婚して今は関東のほうに住んでいら
っしゃる娘さんが盆と正月に帰省した際、必ずピアノを弾くからという
ことだった。
そこまでは、まぁよくある話って感じなんだけどここからがさぁ問題～
ある日、業者さんがいつものようにリビングに通される際、いつもは
閉まっている部屋の扉が空いていて何気にチラッとその部屋の中に
目をやると、そこにはなんとグランドピアノが置いてあったそうな。
「グランドピアノもあるんですか !!」
驚いた業者さんが声をあげると上品そうな奥様がこう言った。
「ええ、それも娘の弾いていたものなのよ。娘は今ピアノの講師をしているの。」
っとまぁ、こんな話を以前何かの時にかっちんと話していた業者さん
だった。
なのでかっちんはこの業者さんに何気なく、このご夫婦に２時間５００
円でグランドピアノ弾かせてって頼んでくれへんかな?と言ったら、な
んとこの業者さんはふたつ返事でOKしてくれたのだった。
「明日聞いてみます～。」
ほんでその結果駄目だったというわけなのさ。
しかしかっちんは最初からそうなるだろうと予測はしていたようだった。
なんで金持ちの老夫婦が得体の知れない４０男を家の中に入れるん
じゃいと。
何が悲しくて、そんな金持ちがたったの５００円で娘の大事なグランド
ピアノをわけわからん４０男に貸すんじゃいと。
それと間に入った業者さんが、自分とは違ってごり押し弱そうなタイプ
なのでまぁ無理じゃいと。
ほんだら最初から頼まなきゃ良さそうなものなのだが、まぁ９９パーセ
ント無理だと思ってても残り１パーセントに懸けてみたようだな・・。
だけどこのご夫婦は僕にグランドピアノを貸さなくてホント正解だった。
だって、９９パーセント無理だと言ってたかっちんは実はこんな悪い事
を企んでたんだ。
かっちんの企み～
「そこの老夫婦がもしあんたにグランドピアノ貸してくれて仲良くなった
ら、最終的にはそのグランドピアノあんたにタダでくれるんと違うか?
だってもうかなりの年寄りみたいやし、娘は関東に住んでてピアノの
先生やってるんやったら、既に良いピアノ持ってるやろうから古いグ
ランドピアノなんかいらんやろうしな。ほんで娘が盆と正月に帰って
きてる時を狙ってあんたが練習しに行ったらタダでピアノ教えてくれる
かもしれへんな。ふふふ、いいじゅねーか、いいじゃねーか!」
悪どいかっちん。しかしこんな心配もしてた。
かっちんの心配～
「だけどそこの老夫婦の家、わりと一戸建ての密集地やのに防音とか
してる感じと違うみたいやねんて。まぁ娘ももう５０歳過ぎてるみたいや
からピアノやってたんも大昔で、その頃はピアノの音漏れなんか大した
ことなかったんやろうけど今は違うからな。今あんたが行ってヘタクソ
なつまりつまりのベートーベンなんか何時間も弾いててみ? あんたが
帰った後に近所に住んでる狂ったヤツが包丁持って老夫婦に襲い掛
かってくるかもな。どうすんねん? あんたのヘッタクソなピアノのせい
で親切な老夫婦が包丁で刺されたら。間に入ったあの業者も可哀想
に事情徴収やで。ついてないやっちゃ!」
みなさん、わかりましたか?
このように、変な男に好意でピアノなんて貸してあげたら大変な事に
なりますよって話なんですよ。
っと言うわけで僕は自分ちの弱音ピアノと電子ピアノで毎日練習に
励むのであった。
夜の練習風景
(電子ピアノを使ってベートーベンの２０番を片手(左)練習中!)
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