ピアノはスタインウェイD型、かつて馴れ親しんだドイツ製の相棒(チューニングハンマー)を久しぶりに使用しました。
先ずは444Hzまで上昇していたピッチを442Hzに調律してから細部のチェックへ。
整調、整音でばらつきを修正した他、浮いていた鍵盤筬も調整(ベディングスクリュー調整)。ロスのあった打鍵時のエネルギーがアクションにしっかりと伝わるように土台の設定からリセット。最後にペダルの軋み音を処理して出演者に無事お引き渡ししました。
鍵盤を掌で軽く叩くと内部でコトコト雑音が…
湿気でベディングスクリューが浮いてしまったのが雑音とふわふわした弾き心地の原因。鍵盤の力が逃げることなくアクションにきちんと伝わるようスクリューを微調整していきます。
ベディングスクリュー調整の風景。各スクリューを張りすぎないよう慎重にリセット、ソフトペダルとダンパーペダル使用時のチェックも忘れずに。都度ひとつ前を確認しながら適切なポジションを作ります。ベースが安定することでスタインウェイも本来の性能を発揮。
こちらのピアノは2週間前に調律記録あり。状況によっては短期間で狂うこともあります。
「最近調律入ったのなら大丈夫だろう」とコンサート時に調律を省く音楽家も時々お見受けしますが、本番このようなリスクも伴うので注意が必要。折角の演奏に傷がつくだけではなく足を運ばれたお客様も気の毒です。ピアノはそれほど変化し易いデリケートな楽器です🎹
力の加わる方向によってペダルからギーギーと雑音が発生💧
コンサート本番前に無事処理しました👍
どんなピアノも高い次元で整備されていることが大前提!
コンサートホールのスタインウェイが弾きやすいといわれるのも、弊社から一般家庭やホールに納入したペトロフが高い評価を得られているのにも理由があります。
ブランド、価格、コンサート調律師の肩書は安全を保証してくれるものではありません。実際そのピアノに対して音楽的かつ適切な仕事が為されていること、そして何よりピアニストに違和感なく気持ちよく演奏して頂けることが重要、「言葉」よりも「結果」がすべてです。
一般ユーザーの皆様にはブログを通じて「調整の大切さ」への理解をより深めて貰えると嬉しいです。