4月29日 インキネン✕日本フィルハーモニ管弦楽団 14:00 サントリーホール
【プログラム】
シベリウス : クレルヴォ交響曲 op.7
〈導入〉
〈クレルヴォの青春〉
〈クレルヴォとその妹〉
〈戦闘に赴くクレルヴォ〉
〈クレルヴォの死〉
ソプラノ:ヨハンナ・ルネサン
バリトン:ヴィッレ・ルネサン
男声合唱:ヘルシンキ大学男声合唱団、東京音楽大学
指揮:ピエタリ・インキネン
日本フィルハーモニー交響楽団
すんごい良かった!!
首席指揮者のインキネンさんは、2008年に客演首席指揮者として就任して以来、この日が定期演奏会としては最後のコンサートとなり、男女独唱とP席の100名にもおよぶ男声合唱団に圧倒され、あっという間の約75分でした
公演前に、音楽評論家の奥田佳道さんによるプレトークがありました
その中でいくつか、興味深かった事(個人用記録)
今回の日本フィルによる『クレルヴォ交響曲』は4月28日、29日の2日間演奏されますが、紆余曲折を得てようやく完成したこの曲は、1892年4月28日に初演。
そして4月29日は、この日で日本フィル首席指揮者として最後の定期演奏会となるマエストロ:インキネンさんの43歳の誕生日であること。(おめでとうございます!)
すごい偶然が重なりました。
この『クレルヴォ交響曲』の元となっているのは、フィンランド人で知らない人はいないと言われてるフィンランド版聖書みたいな存在である「カレワラ」というフィンランド民族叙事詩で、その中の第31章~第36章までにあたる部分。
聖書と同様、旧カレワラ、新カレワラとあり、それら両方を合わせると、なんだか辻褄が合わない箇所がけっこうあり、それがクレルヴォ交響曲の歌詞にも現れている。
(クレルヴォの家族は皆殺されたのになのに、妹が生きていた。とか、父親も後に出てくる、とか。)
参考までにWikiから、物語を抜粋。
ウンタモは兄弟のカレルヴォとのいさかいの末にカレルヴォとその一族を、身重の女一人を残して皆殺しにし、女を連れ帰る。女はウンタモの許でカレルヴォの息子クッレルヴォを出産する。クッレルヴォは揺りかごの中で早くも父を殺したウンタモへの復讐を口にし、恐れたウンタモは様々な手段でクッレルヴォを殺そうとするが、クッレルヴォは不死身であった。成長したクッレルヴォは鍛冶屋イルマリネンに奴隷として売り渡される。(第31章)
イルマリネンの妻はクッレルヴォを牛追いにやるが、悪戯で石を入れたパンをクッレルヴォに持たせる。クッレルヴォはパンに仕込まれた石で父の形見のナイフを折ってしまう。怒ったクッレルヴォが呼び寄せた野獣によって、イルマリネンの妻は引き裂かれて死ぬ。(第32-33章)
イルマリネンの許を逃げ出したクッレルヴォは、森の老婆から実は家族がまだ生きていると知らされる。クッレルヴォは母と再会し、息子は既に死んだと思っていたこと、クッレルヴォの妹が行方不明になったことを告げる。(第34章)
クッレルヴォの父はクッレルヴォに租税を納めに行かせる。クッレルヴォはその帰り道で若い娘を誘惑し、籠絡する。2人は互いの身の上を語り、初めて生き別れの兄妹であったことを知る。妹は川へ入水し、クッレルヴォも自殺を考えるが母に制止され、代わってウンタモへの復讐を思い立つ。(第35章)
クッレルヴォは家族に別れを告げてウンタモの許へ攻め入ったが、その途上で家族が全員死んだことを知らされる。ウンタモの一族を滅ぼして家を焼き払う。復讐を終えたクッレルヴォは帰還するもそこは空き家であった。悲しみに暮れた彼は、妹を誘惑した場所に行き着く。クッレルヴォは罪の呵責に耐えきれず、自らの体に刀を突き刺して死ぬ。(第36章)
いわゆる近親相姦@兄と妹、のお話し(ワーグナーの「ワルキューレ」をオマージュ?)
独唱のヨハンナ・ルネサンさんとヴィッレ・ルネサンさんは、本当の姉弟(作品の兄、妹とは逆)
フィンランド語の歌詞なので通常字幕を出す事が多いが、マエストロの希望で、それだとお客さんが字幕を読むことに熱中してしまって演奏を楽しめないので、無料パンフに翻訳を載せてあるので、事前に読んでザックリとしたストーリーだけ把握しておいて欲しい。
第1楽章の出だしの盛り上がりが、大河ドラマのテーマ曲のよう。出来ることならシベリウスにいつかテーマ曲を書いてほしい(←奥田さんの勝手な願望だそうです)
他にもあったような気がするけど、忘れました。
まぁ、いいや
合唱は最初から入場
ヘルシンキ大学男声合唱団と東京音楽大学、それぞれ50名ずつ。
市松模様に1人置きに配置。
ヘルシンキ大の方たちがすごいガタイが良い。
そして、クレルヴォ交響曲を歌わせたら世界一上手い方たちだそうです。
ステージにインキネンさん、登場。
スゴイ拍手
実は私はインキネンさんはお初です。
なぜか今までご縁がなく、コロナ禍中には2公演が中止となってしまいせっかくのご縁が残念でしたが、最後の最後で会えました。
確かに大河ドラマのオープニングのようは華やかな出だしでした
そして、近親相姦~からの~悲劇、と言うストーリーの割りにはあまり絶望的なメロディーはなく、かろじて独唱の2人がお互いが兄妹である事が分ったところは少し悲愴感漂ってましたが、それ以外はただただ男声合唱の圧倒的パワーに推されてた私。
第九でもコロナ禍前は100人近い合唱でしたけど、女性がいない男性だけ100人の声はなんとも言えぬ重さがあって、でも時々、女性的な声もあり、むしろ華やかに聞えたり。素晴しい
独唱のお二人も、2階席までよく声が通って聞えてました。
オケは木管がとても繊細で、ところどころでキラっと光感じで存在感があり(個人感)、私好み
金管は思ってより華やかさはなかったけど、上手かった。
インキネンさんはオケ、合唱にと細かに指示を出していて、なかなか軽やか。
初めてみましたけど、気持ちのいい指揮をされる方ですね。
もう少し聞いてみたかったです。
最後の〈クレルヴォの死〉では終盤、渾身の合唱となり、オケと友に荘厳のラスト。
インキネンさんも指揮をあげたまま、オケの余韻に浸る…
ホールも静寂。
…と思ったら!
1階席前方の数名が、フライング拍手
インキネンさんは指揮棒を下ろすタイミングを逸した感じになり、何となく手を下げて、客席へ半身を振り返って「ありがとう」みたいに会釈。
それを見て客席からも拍手が起りましたが、完全に彼らのせいで最後ぶち壊しになった感は否めない
せっかくのマエストロの最後のステージなのに、なんか残念。
それでもブラボーも飛び交い、気がつくと始ってから75分近く。
それを感じさせない演奏でした
終演後の撮影OKでした
私がシベリウスの曲としてイメージしてるような壮大な北欧の景色が浮かぶ~みたいな感じとは違ったけど、とても楽しかった
シベリウスの交響曲制覇を目標にしている私。
この『クレルヴォ交響曲』は番号は付いていませんが、曲の構成から言うと交響曲と言われる事が多い、との事で聞いてみることにしました。
演奏機会もあまり多くないようなので、聴けて良かったです
インキネンさん、一般参賀あり。
日本のオケのために素晴しい指揮をしてくださって、ありがとうございました。
そしてそして、ヘルシンキ大学男声合唱団の皆様が着ているTシャツを激写!!
— 日本フィルハーモニー交響楽団 (@Japanphil) April 27, 2023
クレルヴォ!!
カタカナ!!! pic.twitter.com/rP6awwI67Z
本日4月29日は、我らが首席指揮者ピエタリ・インキネンさんのお誕生日!
— 日本フィルハーモニー交響楽団 (@Japanphil) April 29, 2023
おめでとうございます!
Happy Birthday, Mo. Pietari Inkinen! pic.twitter.com/oKskvhyAJ9
マエストロ・インキネン最後の東京定期でした!シベリウスの大作《クレルヴォ》を満場のお客様にお聴きいただきました。ご来場ありがとうございました!
— 日本フィルハーモニー交響楽団 (@Japanphil) April 29, 2023
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そしてインキネンとのフィナーレは来月第九で!!https://t.co/ZKquBihtYw pic.twitter.com/TvXKHWz5QX