生ピアノだからできること、できないこと
こんにちは
ここのところ、まあ、色々気付かされることが多くて、ここまで生きても、まだまだこれだけ出てくるとは、、驚きであります。
というのも、今更ながら、ピアノという楽器の凄さと、その「慣れ親しんできた音」を痛感したのでした。
3歳からピアノを始めて今まで、ズーっと弾いてきたピアノですが、先日、フッと思い出したのは、、生ピアノと10年ぐらい一緒に住んでいないということです。
ピアノを生業としていますが、このところ電気ピアノにお世話になることも多く、それは作曲の時にデータとして音を入力できるというメリットがあるから。
一方、生ピアノは、とても録音が難しい。今度発売になるピアノのソロのCDはマイクを7、8本たてて録りました。
グランドピアノは1音に対して3本ほどの弦が張ってありますが、これ、微妙に調律を変えることによって深みや倍音が複雑になって豊かな音になります。
そのピアノのどこにマイクを置くかによって広がりも違う、聞こえ方も違う、音像も変わります。
が、そのためには、1時間、、、、いくらかかるんだ????です。
スタジオ代、エンジニア代、しかもマイクを立てるだけで1時間なんてすぐ終わっちゃう。
そこが、電気ピアノはラインでパソコンに繋げば、はい、おしまい。
音色はもちろん、そんなに変わりませんが、それもシンセに繋げば、アコースティックだけでとてつもなく多い種類のピアノの音が疑似再現できます。
これで録音しても人様によっては、「あらああ、いい音ね、やっぱり生ピアノは」となるので、よほどうまくできているのだと思います。
そして最近のものは鍵盤も重く、そんじょそこらのグランドピアノより、ちゃんと弾かないと音が出ません。
我が家もマンションですし、夜中の作曲などは、これでないとご近所迷惑。というわけで、ずっと生ピアノと同居していませんでした。
が、不思議なもので、TikTokで、色々な有名曲の変奏をしていると、生ピアノならスルスルとうまくいくのに、このエレピのピアノだと撮り直しが多いということに気づきました。どうして・・
簡単なことでした。自分の耳は、生ピアノでかつて弾いた音を覚えていたのです。
ブルグミュラーや、ソナチネをアレンジする時、元になっている曲は、幼い頃、生ピアノで弾いたものです。
なるほどねええ。だからかあ。。。と思った途端、、家族として同居できなかった10年を思い起こし、グランドピアノと再び住むことをイメージしたら、すごく充実感がみなぎりました。エネルギーが湧いてきました。
そうかああ、そうかあああああ。この音が好きだったんだああ。
自分の生活に一番、あって欲しいものがなかったことに気づいたのは、とても大きな発見でしたし、なるべく早く、また家族に迎えたいと気持ちを新たにした日でもありました。