神奈川県の横浜市から鎌倉や茅ヶ崎方面に向かったJR大船駅のすぐそばにある湘南のピアノ百貨(大船店)からお送りします。
中古ピアノをお探しの方から要望の多い木目調のヤマハピアノが入荷しました。
YAMAHA W103
間口151:奥行61:高さ121(cm)
チーク材の天然木を使用したオイルフィニッシュ仕上げという艶消しのピアノです。チーク材は水に強く経年による反りも少なく頑丈な高級木とされています。
現在は世界のチーク材減少により、日本では輸入も制限されているそう。
このピアノが作られたのは、1975年とそれなりに年数は経っていますが、内部・外部共に良質な造りです。
ピアノの音色や弾きやすさ(鍵盤タッチ)、そしてこれから何十年と安心して使用していくために、念入りな整備を施すことがピアノ百貨の各部門技術者や私たちスタッフの努めと考えています。
ピアノ選びを始めると良く耳にすると思います。
「ピアノは昔の方が使っている素材や造りがいい」。でも注意が必要なことは、古くなればなるほど傷みも出てくるということです。どんないい楽器でも。
中古ピアノは、その整備内容がとても重要です。今回はこのピアノの整備内容の一部を少し詳しく案内してみます。ピアノ店巡りでの参考にしてもらえたらうれしいです。
演奏時の連打性を良くするためアップライトピアノならでは部品「ブライドルテープ」(上部写真で白と赤のテープ状のもの)に劣化が見られたため新しいものに交換しています。
弦をたたくハンマーフェルトなどが付いている内部器械(アクション)の裏側。こちらも連打性を補佐するための部品、腐蝕していたバットフレンジコードも交換が必要です。
写真をズームアップしてみました。腐蝕すると褐色になり切れると連打ができなくなります。白い糸のようなコードが分かると思います。すべて新しいコードに交換しています。
ピアノ正面に戻って。この年代のヤマハピアノに多い、白鍵盤手前の変色した木口部分も新しいものに張り替え済み。表面と合わせてきれいに磨きあげています。
さて、今度は鍵盤の奥(下)。ピアノ内部の清掃はもちろん、鍵盤を支えるキーピン。ピアノに向かって手前側がフロントピン。奥側がバランスピン。ここも経年により錆が出てきて弾き心地に影響します。
すべてを一本づつ丁寧にさびを取り、磨きあげています。
さてさて、もう一つは鍵盤そのもの。そのキーピンが鍵盤に刺さる穴です。そのピンと鍵盤(木材)とのクッションとなるクロスがブッシングクロスといいます。
フロントピン側の鍵盤穴(フロントキーブッシングクロス)。こちらも前使用者の摩耗などによりすり減ってきますので念のため両方すべてを交換しています。
こんなことまでするのか!と思うかもしれませんが、実はそれ以外にもっと重要なハンマー(フェルト)整形(ファイリング)や鍵盤深さの調整、アクションや鍵盤の整調・整音、調律などさまざまな技術者が分担して念入りな作業が施されています。
末永く可愛がってもらえますように。そんな想いで一台の中古ピアノが仕上げられていくのです。
中古ピアノは、その整備内容が重要です。ショールームにお越しの際は、気軽にお声を掛けてくださいね。