同音連打を上手く弾くには | ピアニスト 清水信守 Nobumori Shimizu

ピアニスト 清水信守 Nobumori Shimizu

埼玉県川口市在住のピアニスト、清水信守のブログです。
埼玉県川口市の清水ピアノスクール(https://shimizu-piano-school.com/)主宰

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私はかつて同音連打が大の苦手でした。

 

指を「212121」、「321321321」、「432143214321」の様に動かし同じ音を続けて弾くと、どうしてもかすれた

り鳴らない音があったりして、その部分だけとても残念なことになっていました。

 

地道な練習と様々な先生方のアドバイスによって今では問題なく弾けるようになりましたが、個人的には以前見た「マルタ・アルゲリッチ」の演奏が一番参考になりったような気がします。

 

 

 

 

こちらがその演奏動画ですが、動画内でアルゲリッチは同音連打を弾く際に指だけでなく、腕から手首にかけてを左右に回転運動をするように動かしているのが分かるかと思います。

 

例えば「4321」の指使いで「ファミレド」と弾く場合には指を下に降ろすだけで良いのですが、「4321」で「ドドドド」と弾く場合にはそれぞれの指をドの位置まで持ってこなければ、同然弾くことができず音は鳴りません。

 

アルゲリッチは腕から手首にかけてを左右に回転運動をするように動かすことによって、それぞれの指を同じ鍵盤の位置に持っていき、その後は指を下に降ろして鮮やかに同音連打を弾いています。

 

それに対してかつての私は、手は同じ位置を保ち指だけを一生懸命に動かしていましたが、こうするとそれぞれの指は下に動かすだけではなく、何かねじるような動きをする必要があり、それによって指先が固くなりスピードが落ちたり、そもそも動かしているつもりでも実は鍵盤が下がっておらず、音が鳴らなかったと今では考えています。

 

他にも同音連打の際に回転運動することのメリットとしては、指だけでなく手首の動きも利用して打鍵できるということが挙げられると思います。

 

同音連打にも様々な種類があると思いますが、かなりのテンポで素早く弾く場合はスタッカート、あるいはポルタートのようになるのが常です。

 

これはピアノという楽器の性質からくるものに他ならないのですが、同音連打に限らずスタッカートを弾く際は指だけでなく手首の動きも利用することで非常に弾きやすくなる上に、音色も良い方向に変化します。

 

アルゲリッチの演奏を見ると回転運動以外にも小刻みに手首が上下に動いていることが分かります。

 

これにより単に同音連打で全ての音を鳴らすだけでなく、歯切れがよく美しい音色での演奏が可能となりっています。

 

ここまで主に腕から手首の動きに関して書きましたが、そうは言っても一番肝心なのは「指」に他ならないと思います。

 

アルゲリッチの演奏を見ていると、同音連打に限らず高速のパッセージにおいて、まるで下ではなく上方向に指が動いているのではと錯覚することがあります。

 

これはアルゲリッチが素晴らしいテクニックと神経伝達のスピードの持ち主であるがゆえに、「脱力」の切り替えが常人離れしているからだと思います。

 

ピアノを弾く際は指を下に降ろしますが、高速のパッセージにおいては下ろして打鍵した指を瞬時に脱力し次の打鍵に備えますが、その際に指は脱力により自然と上方向に元の位置に戻ります。

 

私はアルゲリッチはこの打鍵と脱力の切り替えが非常に速いため、下方向への打鍵と上方向への脱力がほぼほぼ同時に行われ、映像だとまるで上方向に打鍵するように見えるのではと考えています。

 

つまりは同音連打も上手く弾くためには指の脱力というのが非常に大切になります。

 

一生懸命指を動かすあまりに脱力まで気が回らず無意識に指が固くなってしまう、これは同音連打に限らず様々なパッセージにも言えることとは思いますが、同じ音という狭いポジションの中で素早く指を動かす同音連打では特に注意する必要があると思います。

 

取り留めも無く色々と書きましたが最後に、同音連打を弾く際に本当に大切なことは「耳で自分の音をよく聴く」ということに他ならないと思います。

 

注意深く耳を澄まして自分の音をよく聴き、音が鳴った瞬間に脱力をするということを地道にゆっくりとやっていき、徐々に徐々にテンポを上げていくのが王道だと思いますし、その際に腕から手首の動きにも気を配り音とリンクさせることは言うまでも無いと思います。

 

私自身を振り返ってみても同音連打が上手く弾けなかった頃は、速く指を動かすことに精一杯で自分の音を聴けていなかったと思います。

 

「ピアノは耳で弾く」と言った方がいらっしゃいましたが、正に言い得て妙だと思います。

 

 

 

 

 

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